ますます活性化するホーチミン市のナイトエコノミー。マクドナルドおよび外資系コンビニの進出が契機の一つだとは思うのですが、この10年ほどで深夜営業のお店はあちこちで見られるようになりました。
…が、今回紹介するのは24時間営業のフォー専門店。本記事では、ホーチミン市内に複数の店舗を展開する「Phở Nhất Vị」をご紹介します。
ただの24時間営業と侮るなかれ。メニュー数が異様に豊富です。果たしてそのお味のほどは…？
「Phở Nhất Vị」の場所・内装
やって来ました、ホーチミン市旧1区・現サイゴン街区のグエンディンチュウ (Nguyễn Đình Chiểu) 通り。オフィスや他のお店も多い、主要な通りの一つです。
今回は「Phở Nhất Vị」のNguyễn Đình Chiểu店をご紹介。夜に訪れたのですが、暗闇にひときわ明るく輝く、大きな電飾看板が目立ちます。
鮮やかなイエローの枠に、くっきりと店名。その下には「Hương Vị Truyền」―伝統の風味、と書かれています。
お箸と麺をデザインしたスタイリッシュなロゴマークも印象的。
店内。テーブルと椅子は落ち着いた色合いの木製で統一され、ベトナムのローカル食堂らしい、シンプルで機能的なレイアウト。席数も十分にあり、一人でもグループでも利用しやすそうですね。
入り口隣にはオープンなキッチンカウンターがあり、大きな寸胴鍋が並ぶなど、調理の様子が見えるのも安心。
テーブルには木製のしっかりとしたカトラリーボックスが置かれ、引き出しにはお箸やスプーンが、上には調味料用の小皿がスタックされています。唐辛子やニンニク酢などが入った陶器の壺も整理されており、管理が行き届いているようで安心。
「Phở Nhất Vị」のメニュー
「Phở Nhất Vị」のメニューはこちら。ベトナムのローカル食堂はジャンルを絞った専門店であることが殆どですが、こちらはやけに豊富。
看板の「Phở Bò（牛肉フォー）」は、Tái（レア）からChín（ウェルダン）、Nạm（牛すじ）など部位別で揃い、南部では珍しい「Phở Gà（鶏肉フォー）」も完備。
さらには中部フエの「Bún Bò Huế（ブンボーフエ）」、スパイシーな「Phở Trộn Sốt Cay（汁なし混ぜフォー）」、さらには「Mì Xào Bò（牛肉焼きそば）」まで網羅。
さらに「Thượng Hạng（プレミアム）」ラインとして、Phở Bò Hokube（ホクビー牛※牛脂注入加工肉）やPhở Sườn Bò Úc（豪州牛リブ）といった高級メニュー、Lẩu Bò（牛鍋）までありました。
あらゆる麺のニーズに24時間応えるという、恐るべき専門店。しかし、メニューが多いとなるとその分クオリティが犠牲になっているのではないかという懸念も。実食して確かめていきましょう。
実食
まずは鶏肉の汁なし春雨和え、「Miến Gà Trộn」75,000ドン。運ばれてきた丼は、たっぷりのフライドオニオンと刻みネギ、しっとりとした鶏肉で覆われています。
これを底のタレとしっかり混ぜ合わせると、中から春雨が顔を出します。セットのスープを少しかけると混ぜやすいよ、というライフハック。
一口食べると…芋類から作られた春雨特有の、もっちゃもっちゃとした食感。食べ応えがすごい。ピリッとスパイシーなタレがよく絡み、頭皮からはじんわりと汗が。
フライドオニオンのサクサク感と、もやしのシャキシャキ感が良いアクセント。鶏肉も柔らかく、様々な食感のコントラストが楽しい一品です。
セットのあっさりしたスープも、混ぜ麺のしっかりした味付けと絶妙なバランスで、お口直しに良し。
プレミアムな一杯に魅せられて、「Phở Tái Thượng Hạng（プレミアム・レアビーフフォー）」を注文。価格は69,000ドンと、通常のフォーと比べてもそこまで高いわけではない。
というか、盛り付けがダイナミックすぎるだろう。どれだけ勢いよくスープを注いだのだ…。
どのへんがプレミアムなのか、という話ですが…メニュー説明によれば、ベトナムの「VINA-BEEF」と提携し、日本の飼育技術を用い、300日以上穀物で育てられた高品質な牛肉のみを使用している…だそうで。
まずスープを一口…あらン、思った以上に雑味のない、スッキリして上品な牛のお味。24時間営業のお店だしMSGドバドバなのだと思っていたけど、そんなことは無かった。甘さよりも塩気が強めで、どちらかというと北部に近いあっさり味です。
主役のプレミアムビーフとやらは…見てわかる通り、火が通りきっています。鮮やかなピンク色を残したレアビーフが、スープの余熱でゆっくり火が通っていくのが「Phở Tái」の醍醐味なのにい。
まあ、プレミアムを謳うだけあって、牛肉の柔らかさはそこそこ。とろける…とまではいきませんが、穀物牛ならではのジューシーな旨味が、このスープと一体となります。
麺は王道の平麺で、ツルツルとした喉越しも良い。
ライムを絞ったり、チリをしゃぶしゃぶして味変するなど。
そんなわけで、24時間営業のフォー（だけじゃない）専門店の紹介でした。北部スタイルに近いあっさり＆塩気のある味のフォーを求めている方にもおすすめ。
この辺りはローカルフードあり、レストランあり、カフェあり、バーありで楽しそうなエリアですね。中心部から近い一方で、ちょっとした穴場感があるのも良き。
