タイ・バンコクの中華街からほど近い「タラートノーイ(Talad Noi)」。チャオプラヤー川沿いに位置するこの地区は、バンコク最古のコミュニティの一つであり、かつては中国系移民が集まる職人の街として栄えてきました。
現在でも中古車部品の売買が盛んで、路地には油の匂いが染み付いた金属パーツが山積みになっていますが、近年はその歴史的な街並みを活かしたリノベーションが加速。鮮やかなウォールアートが描かれるなど、下町的風景とクリエイティブの対比がカオスで面白いエリアです。
本記事では、タラートノーイの路地奥に店舗を構えるカフェ「Mother Roaster」をご紹介します。
「Mother Roaster」の場所・外観

はい〜〜、ということでMRTブルーライン・フアランポーン (Hua Lamphong) 駅へとやって来ました。

チャルンクルン (Chareonkrung) 通りを南下して、タラートノーイを目指します。駅からは徒歩で大凡15分弱。まだ暑くない午前中であれば散歩にちょうど良いですね。

「Soi Chareonkrung 22」という路地(ソイ)に、「Mother Roaster」は位置します。外壁は巨大な壁画で覆われており、アメリカンツーリスターとタイの著名なアーティスト・Sahredtoyがコラボレーションしたものだそうですよ。


クラフトショップの「Elephant Parade」も1階に入居。この近辺でやたらと象さんの像を見かけたのですが、どうやらこちらが手掛けたものだったようです。

さて、モダンでポップな外観とは対照的に、入口は訪問者を困惑させるほどの無骨さ。カフェの入り口というよりは、歴史を止めたスクラップ置き場そのものなんですもの。

薄暗い空間には錆びついたエンジンパーツやスプリング、油の染みていそうな工具類が所狭しと山積みに。この空間の奥に、二階へと続く木製の階段が隠されているのです。
足元を照らすネオンや壁に描かれたイラストに導かれ、スクラップの山を通り抜けます。

階段を登りきった先に広がる空間は、一階の冷ややかで硬質な雰囲気から一変。こちらが「Mother Roaster」の入り口です。
「Mother Roaster」の内装・雰囲気

ということで店内。建物は伝統的な木造建築ということで、長い年月を経て黒ずんだ木の床が、柱が、壁面が、外から差し込む柔らかな光を吸収しています。

天井の梁が剥き出しになった空間には、ヴィンテージとモダンが交差するインテリアが配置。壁面を飾るのは掛け時計や、かつて誰かの生活を支えたかもしれない自転車が。

隅にはLudwigの白いドラムセットに、モダンな造形のアクリル製照明に…。

座席は、赤や緑といった鮮やかな原色の椅子が配された窓際の席から、大きな一枚板のテーブルを囲む席まであり、歴史ある空間の中にイマドキな彩りを添えています。

店名の由来となっているのが、通称「アンティー・ピム(ピムおばさん)」。店内に掲げられたボードによると、彼女は70歳にして現役のバリスタとしてこの店を立ち上げたそうな。若者に負けぬ情熱を持って、豊かに年齢を重ねるための一つの形として「Roasted by Mom(お母さんによる焙煎)」というコンセプトを体現しています。

カウンターには、タイ北部を代表するコーヒー産地から取り寄せた豆が。チェンライ産の「Doi Chang」や「Pangkhon White Honey」、ランパーン産の「Chae Son」など、国内の豊かな土壌で育まれたシングルオリジンの豆が中心です。もちろん、世界中から厳選された輸入豆も選択可能。
「Mother Roaster」のメニュー

「Mother Roaster」のメニューはこちら。お兄さんの横顔は偶々見切れてしまっただけで、そういうデザインでは無いです(どうでもいい)。カウンターには別途写真&値段込みのメニューもあったのですが、オープンと同時の来店したにも関わらずあっという間に混雑してしまい、写真を撮れず…。
ミルクベースの「WHITE」カテゴリーには、「Very Thai」や「Bad Sometimes Good」といった気になる名前のドリンクが。フルーツやハーブを組み合わせた「COLORS」カテゴリーは、コーヒーの新たな可能性を提案する一杯が揃います。


コーヒーが飲めない人も安心。世界中で大人気の抹茶やほうじ茶、チョコレートドリンクも用意されていますよ。

ペイストリーも扱います。小腹満たしにちょうど良さそう。

ということで私が注文したのは「Sour Garden」130バーツ。抹茶とハニーライムジュースを融合させたという、視覚的にも鮮やかなドリンク。

上層の濃厚な深い緑の抹茶と、下層のクリアなライムジュースが描くコントラストが美しい。明示はされていませんが、この自然な苦味と旨味は日本産の抹茶でしょう。抹茶の苦味・旨味に、ライムジュースの甘み・酸味が加わることでバランスの取れた味になります。

それにしても、客足が絶えない!ただ、回転は早いです。メイン客層は欧米人なのですが、彼ら、30分くらいでドリンクをさっさと飲み切って出ていくのですよね。ベトナムでもそうだけど。
話は逸れますが、ベトナムと比べると、タイのカフェは長居させるようには出来ていないですね。…いや、むしろベトナムのカフェが特異であると言えるか。電源コンセントがあちこちにあり、Wi-Fiも完備、営業時間は早朝から夜10時までなんてのが当たり前ですからね。
しかしながら、全体的に洗練されていると感じるのはやはりタイ(というかバンコク)のカフェ。どちらにも良いところがあって甲乙付けられないけどね!
「Mother Roaster」の店舗情報

タラートノーイのカフェ「Mother Roaster」をご紹介しました。スクラップ置き場という「カオス」から、二階の温もりある言わば聖域へと至る空間のギャップがユニークなこちらのカフェ。周辺散策と併せて是非訪れてみては。

なお、お水はセルフサービス。また、飲み終えたカップは自分で返却しましょう。これもまた、ベトナムのカフェに慣れていると新鮮である。

