釈迦の誕生を祝う仏教行事である「灌仏会(かんぶつえ)」。
日本では毎年4月8日に行われることが一般的で、関東地方以西で桜が満開になる時期であることから「花祭り」とも呼ばれています。
一方、ここベトナムにおいては、毎年旧暦の4月に合わせて灌仏会が行われます。期間中は各地の寺院でたくさんの提灯が吊るされ、夕方になると美しい光が輝き、幻想的な雰囲気が辺りを包みます。
2024年の旧暦4月8日は、5月15日。灌仏会に合わせて、ホーチミン市3区にある「ファップホア寺院 (Chùa Pháp Hoa)」を参拝しました。
対岸からファップホア寺院を眺める
ホーチミン市中心部からほど近い、3区・チャンクオックタオ (Trần Quốc Thảo) 通りにやって来ました。
眼前の「レヴァンシー橋 (Cầu Lê Văn Sỹ)」を渡ったすぐそこにファップホア寺院があるのですが、まずは対岸からライトアップの様子を眺めてみたいと思います。
はあーーどえりゃあ綺麗だがね(唐突な名古屋弁)。
数多の提灯を遠目から見ると、まるで星が光り輝いているよう。
あ、どうも私です…と、突然の自己顕示欲。雨季ということで夜でも蒸し暑く汗が止まりませんね。上着を脱げという話ですが…
レヴァンシー橋を渡ります。
橋の上からのアングルでも写真が撮れたら良かったのですが、自由奔放に成長した草木に遮られ、それもなかなか叶わず。
ファップホア寺院の外観
どこか可愛らしい誕生釈迦仏立像が、ファップホア寺院入り口の目印。
誕生仏像に柄杓で水を掛ける参拝者たち。
釈迦の誕生時、天から竜が清浄の水を注いだという伝説を再現しています。(天が甘露の雨を降らし、誕生を祝福したという説もあり)
敷地内では、写真撮影に勤しむ多くの参拝客の姿が。お寺って、それくらいライトな気持ちで訪れて良いものなんだな…。
寺院を訪れるバイクが引っ切り無しに行き交うので、写真撮影に夢中になり過ぎて周囲の確認が疎かにならないよう注意しましょう。
綺羅びやかな提灯。
黄は燦然と輝くお釈迦様の身体(=金剛)、赤はお釈迦様の情熱ほとばしる血液の色(=精進)を表します。
寺院向かって正面にも、誕生釈迦仏立像が。
両手で天と地を指す様は、釈尊が誕生時に「天上天下唯我独尊」と唱えた、というエピソードに基づきます。
「Chùa Pháp Hoa(チュア・ファップホア)」は漢字で書くと「法葩寺」。「葩(は)」は花びらの意であるということで、蓮の花の装飾がこれほどまでに似合う寺院も中々無いな…
ファップホア寺院、その歴史
せっかくここまで来たのだから、お寺の中も拝観しましょうかね。
ファップホア寺院が創建されたのは、1928年のこと。約100年前の出来事です。
当初は簡素な寺院でしたが、激動の歴史の中、多くの浮き沈みを経て何度も修復と装飾が行われ、現在の姿へと至ります。特に、1932年、1965年、1990年、1993年には大規模な修復が行われました。
2015年、文化スポーツ観光省によって「歴史的遺産」として認定。
今日では人気の観光地となっていることは勿論のこと、入れ替わり立ち替わり祈りを捧げる参拝客の姿から、仏教がベトナムに暮らす人々の精神的支柱を担う一端であることを垣間見られるハズ。
期間中には灯籠流しの開催も
灌仏会で賑わう、ホーチミン市3区の「ファップホア寺院 (Chùa Pháp Hoa)」の様子を紹介しました。
なお、旧暦4月12日、つまり5月19日の午後6時半から、眼前を流れるティゲー運河にランタンを放流する灯篭流しのイベントが行われます。
例年のニュース記事(参考)によると当日は大変混雑するようですが、もし近くを通りがかる機会があれば見に行ってみてもいいかも。
ところで、日本における灌仏会では「甘茶」と呼ばれるあじさいの一種の葉を煎じて作った飲み物が、無病息災を願い振る舞われます。流石にベトナムでは手に入ら無さそうですが…?
えーと…
ピーチティーで代用します。甘いし、黄褐色だし。今年一年、健康に過ごせますように!