独自の文化で知られる、ホーチミン市の中華コミュニティ。
特に、「チョロン」と呼ばれる5区の中華街を訪れると、その賑やかさや他では見られない中華建築、本格的な中華料理に圧倒されるはず。
さて、話は変わるのですが、かいしゃの人で「美大の授業を取っている」という人がいます。
その方が「学校の課題のためガイドさんを雇って中華街を見に行く」とのことだったので、同伴してみることに。
5区の観光名所に加え、テト(旧正月)前ならではのそわそわした雰囲気を楽しんできましたよ!
①三山會館(Chùa Tam Sơn Hội Quan)
朝8時、Triệu Quang Phục(チュウ・クアン・フック)通りに集合しました。
この日は土曜でしたが、まさか平日よりも早く家を出ることになるとは…
中華街巡りは、まず「三山會館」からスタート。
ベトナムの華人は福建省ルーツの人たちが多いと言われています。
こちらの「三山會館」はホーチミン最古の福建系寺院と言われ、1800年代に福建省からの移民によって建立されたとのこと。
寺院には子授けの女神、航海・漁業の女神が祀られており、安産や航海の無事を祈るため多くの人が訪れます。(超ざっくり説明)
中に入ってすぐのところにある門。中央を通ることができるのは王様のみとのことで、一般の人は左右を通ります。
線香(1万ドン)を購入し、それぞれの神様の元を回ります。
何やら唱えつつ、黄色いお札で参拝者の身体の周りを掃うような動作をしている人たち。
彼(彼女)らはこの寺院の人たちで、「悪いものを代わりに祓ってあげている」みたいな話だったかな…(ふんわりとした説明)。終わったらお気持ちを渡すとのことで、金額は決まっていないものの、少ない金額ではないとのこと。
門に取り付けられている龍の取っ手がやけに可愛いな…
余談ですが、こちらの寺院の近辺は刃物街となっておりました。こんだけ気軽に刃物が売られていれば、そりゃ日常的に夫婦喧嘩で包丁が飛び出すよね。
商品のはさみのパッケージ裏。見るからに日本製品ではない。「警告!保護機器を着る」に趣きを感じると同時に、「そして、あなたかもしれません」という謎メッセージが物騒すぎるな?
②明鄉嘉盛會館(Minh Hương Gia Thạnh Hội Quán)
次に訪れたのは、「明鄉嘉盛會館」。
どうやら、ホーチミン最古の共同住宅とのことです。最古が集まりすぎている…!
こちらは、明王朝の崩壊後に中国から亡命し、ベトナムに定住した華人により17世紀に建てられた会館。彼らは「明の子孫」を意味する「ミンフン(Minh Hương)」と呼ばれるコミュニティを形成しました。祀られているのは、明最後の皇帝・崇禎帝。
寺院等を訪れる際は露出を控えた格好をすることが望ましい…とされつつも、場所によってはあまり厳しく見られないこともままありますが、こちらは明示的にショートパンツや短いスカート禁止。
ホール内部に漂う厳かな雰囲気に圧倒されつつ見学していると…
???「あんたら、外国人かい?」
突然奥から現れたお婆さんが、色々な説明をしてくれました。しかも、ベトナム語・中国語に加え、英語までお話しになるトリリンガル。(ENGLANDポーチはそういうこと!?)
結果、ガイドさんは手持ち無沙汰になったのか、警備のおっちゃんと話し出す始末。
会館の奥は今もなお住宅として使われているようですが、このお婆さんが住人ではなくただ歴史に詳しい単なる近所の人だったら面白いな…。
なお、会館の向かいには服屋があったのですが…
そちらのマネキンがセクシー過ぎたことをご報告します。というかモロ出し
③漢方薬通りを歩く
お次は、様々な種類の漢方薬が売られているLương Nhữ Học通り・Hải Thượng Lãn Ông通りを歩いて回ります。
これらの通りの名前はそれぞれ、かつて伝統的な中国医学を実践していた、二人のベトナム人医師にちなんでいます。
知識がないと名前も使い方も効能も分からんな…
基本的には、お茶として服用するようです。
こちらは羅漢果(らかんか)。甘味料として名前を聞いたことがあるぞ。
菊と混ぜて服用すると、胃にいいのだそう。
こちらはバナナ。普段食べるものとは違い、種がいっぱいある品種です。ベトナムにはバナナ酒なるものがあるのですが(※甘くない)、それに使われるのと同じ品種のようです。腰にいいとかなんとか。
色々な薬膳食材の詰め合わせ。何かと思ったら、参鶏湯の鶏に詰めるやつだ!
ばら売りされているお茶を発見。これならお湯を注ぐだけでいいし、手軽に試せそう。
3つ買ってみました。1個3000ドンと破格。
綺麗にディスプレイされています。ラベルが貼られていて分かりやすいので、購入のための敷居も少しは下がるかな?(名前だけ見てもほとんど何か分からないけど)
韓国食材店を見つけたので、一緒に参加していた韓国人の同僚に聞くと「あれは偽物ですよ!」と憤慨していました。うん、怒る気持ちは分かる…
道中、ガイドさんが道端に落ちていた紙を拾い上げ、見せてくれました。
これは冥銭と呼ばれ、死者のために用意される金銭や金銭を模した紙のこと。あの世でお金に困らないよう、副葬品として棺桶に入れる習慣があるそうです。確かに、「冥府通用」ってものすごいドストレートな文言が書かれてますね。
道端で漬物にするための野菜を干していました。絶対塵埃被ってるでしょ…
④テト飾りが売られている通りを歩く
Hải Thượng Lãn Ông通りを歩いていると、テト飾りが多く売られているエリアに差し掛かりました。
不思議なのですが、ベトナムって同業の店が一箇所に固まりがちですよね…。競争、というよりは、同業での互助的な意味合いが強いのだろうか?
ちなみに、テト期間以外は何が売られるのか?という話ですが、ハロウィンのときはハロウィン飾り、クリスマスのときはクリスマス飾りと、時期によって柔軟に変わるそうです。フッ軽!
⑤キムビエン市場(Chợ Kim Biên)
キムビエン市場にやって来ました。
建物の内外に多くの屋台や店舗がひしめき合います。
かいしゃの人は、先ほど紹介した「冥銭」を買いたいそうなのですが、この市場では見当たらず…ということで。
近くにあるビンタイ市場に移動しました。
一応観光客も多く訪れる市場ではありますが、こんな裏口から入る観光客は間違いなく我々だけ。
生鮮品、お菓子、服飾雑貨、食堂…なんでもあります(ピンクのTシャツのお姉さんの躍動感よ)。こんな巨大な市場が家の近くにあったら楽しそう。
そうこうしているうちに、お目当ての冥銭を発見。ベトナムドンを模したものの他、USドルを模したものもあります。サイズデカ過ぎでは?
無事冥銭を購入できた同僚さんに用途を聞くと、「コレクションします!」とのことでした。燃やすんじゃないんだ…(がっかり)
⑥チャータム教会(Nhà thờ Cha Tam)
最後に訪れたのは、カトリック教会。
通称「チャータム教会」と呼ばれますが、正式な名前は「聖フランシスコ・ザビエル教会」です。
カトリック教徒の華人のために20世紀初頭に建てられた教会なのですが、ゴシック建築に中華風の装飾があしらわれており、とにかくユニーク。
なおこの教会は、南ベトナム初代大統領でもあるゴ・ディン・ジエムさんが、1963年の軍事クーデターで暗殺される直前に逃げ込んだ場所でもあります。思いのほか壮絶な歴史があるのだな…
教会のそばに高層マンションがあったのですが…
洗濯物一つ干されていない、生活感ゼロの謎マンションでした。プロパガンダ用の宣伝建築かな?(違う)
本来ならここでガイドさんとお別れ…だったのですが、時間が余っていたので近くのお寺に寄ってもらいました。
あまり写真を撮っていないので説明は割愛しますが…
あえて触れるとしたら、ウォーターサーバーのゾンビみたいなのがいました。シテ…コロシテ…
⑦東源鶏飯(ランチ)
今度こそガイドさんとお別れして、昼食に向かいます。
「東源鶏飯」にやって来ました。
コムガー(チキンライス)と土椀料理が有名で、大変賑わっています。
店内は割と食堂感溢れますが(とは言えローカルレストラン基準で見ると相当綺麗)、7区・フーミーフンにある支店はどちゃくそお洒落です。
メニューは割と値が張りますが、どれも美味しそう。
無難にCơm gà chiên nước mắm(フライドチキン魚醤ソースがけ+米)78,000ドンにしました。
卓上に生姜の効いたタレ?みたいなのがあって、それが美味しかった~。ただ、チキンの骨が多く可食部が少なかった…
同行者が注文したもの。煮魚とかチキンカレーとか。
⑧何記甜品店(Quán chè Hà Ký)
最後はデザートに、以前も訪れたチェー専門店へ。
大勢の日本人で押し掛けたせいか、日本語メニューを渡されました。「7回来てるけど初めて見た…!」とは主催者の弁。
私が注文したのはđậu hũ dâu 25,000ドン。日本語に訳すなら「いちごとうふ」です。『MOTHER』シリーズに出てくるアレやん!?
いちごとうふを再現しようとしたMOTHERプレイヤーは数多くいましたが、まさかその答えがベトナムにあるとは思わなかったな…
味としては「杏仁豆腐にお菓子っぽいイチゴ味をつけました」って感じで、特に奇抜さもない美味しいデザートでした。
まとめ
個人的に5区というと食事目当てで訪れることが多いエリアで、実のところ街並みや中華建築をまじまじと見たことはありませんでした。
ベトナム生活も徐々に日常と化してきましたが、そんな中でも観光客気分を忘れないようにしたいですね…
暦の上では今日からテト休暇ですね。私の身の回りにはどこにも行かず、ホーチミンに留まるという人も意外といる印象。
私は日本から来る友人とカンボジアに行く予定です。テト期間は治安が悪くなりがちとも聞くので、在越邦人の皆さんは戸締り等充分注意しつつ、休暇をお楽しみください。
良いお年を