「ベトナム風ぜんざい」とも呼ばれるデザート「Chè(チェー)」。チェーは甘いスープの総称であり、中華風、タイ風、カンボジア風…と種類は様々です。
さて、去る2024年9月下旬、ホーチミン市ビンタイン区に新たな中華風チェーのお店「Tiệm chè KAI KAI(佳佳糖水)」が開店しました。場所は、第二の日本人街ことファンビッチャン (Phạm Viết Chánh) 通りに接するフインマンダット (Huỳnh Mẫn Đạt) 通り沿い。
まだソフトオープンの段階であるにも関わらずTikTok等で話題らしく、連日満員で大人気。私も早速行ってみることにしましたよ。
「Tiệm chè KAI KAI(佳佳糖水)」の場所

やって来ましたフインマンダット (Huỳnh Mẫn Đạt) 通り。200mほどの短い通りであり、ファンビッチャンほど名前は知られていないと思いますが、「宮寿し (Miya Sushi)」のある通りと言えば分かる人もいるかもしれない。

ファンビッチャンほど飲食店は多くない静まり返った通りの中で煌々と輝く一軒の店。こちらが「Tiệm chè KAI KAI(佳佳糖水)」です。白を基調としつつ中華らしい赤を差し色的に取り入れた、シンプルながらスタイリッシュな外観。

今、夜の9時なのですが…めっちゃ混んでない?入れるかしら。

案の定、店内に入ってみるとカウンターは大行列。客が注文を決めきれないのか、はたまたオープン間もないということでオペレーションが確立されていないのか、妙に時間がかかっている様子。品切れのメニューを誤って会計してしまい、払い戻し…という場面もありました。
「Tiệm chè KAI KAI(佳佳糖水)」の雰囲気

というわけで、こちらはある程度混雑が緩和された後の店内。あまり大きな店ではありません。タイル張りの床や壁、丸椅子&テーブルなど、古き良き香港スタイルの喫茶店…といった雰囲気に溢れています。

愛だよ愛!ラブ&ピース!愛だろっ、愛。

場をぐっと引き締めてくれる漢字タイポグラフィがかっこいい。懐かしい香港映画のポスターなどもあり、レトロに浸ることができます。店内のBGMはもちろんC-POP。

チャイナドレスを着た女性が妖艶に微笑む、雪花膏(保湿クリーム)と烏龍茶の広告ポスター。それは良いとして…

この「大阪松本竹商会製造」が超気になる。どうやらかつて実在した、大阪商工会所属の合資会社だったようです。
「Tiệm chè KAI KAI(佳佳糖水)」のメニュー

【追記】2025年3月時点のメニューに差し替えました。また、英語表記のメニューも用意してくれています。
「Tiệm chè ΚΑΙΚΑΙ(佳佳糖水)」のメニューはこちら。ベトナム語オンリーなのがちと辛いですが、可愛らしいイラスト(何故か一部実写が混じってるけど)からある程度は読み取れるかと思います。
価格はどれも5万ドン以下とお手頃ですが、どれもポーションは小さめなので、一人で2品くらい頼んでしまって良いと思います。
ベトナム人からすると「量の割に高い」部類に入るようで、「中華のもの=手間がかかっているので高い」というのが共通認識らしい。
しかし、夜遅かったことに加えこの混雑ぶりです。食べたいメニューが軒並み売り切れているという事態に。ぐぬぬ…
中華風チェー2品を実食

数少ない、売り切れではないメニューから私が選んだのはこちらの2品。「Chè mè đen(チェーメーデン)」と「Chè trôi nước(チェーチョイヌック)」です。

まずは「Chè mè đen(チェーメーデン)」から。黒ごまを使った温かく甘いスープであり、さしずめ具なしの黒ごまぜんざいと言ったところ。価格は30,000ドンです。

チェーメーデンといえば、このドロっとしたスープに溶け込んだ濃厚な黒ごまの風味。ベトナム南部は常夏ですが、むしろ冬に食べたくなるようなホッとする甘さと温かさです。食べるたびに言ってますが、これに白玉を入れたい。

続いて「Chè trôi nước(チェーチョイヌック)」。餡を包んだ団子に甘い生姜スープを合わせたチェーです。餡の種類は緑豆だったり黒ごまだったり様々ですが、こちらの餡はごま&ピーナッツでした。価格は38,000ドン。

ごまピーナッツ餡、美味い…。今まで食べたChè trôi nướcの中で一番好みかも。量は控え目ですが、軽く食べられるのでむしろ良い。

生姜スープも、生姜の風味はしっかりと感じられつつも辛すぎず、安心する味。風邪で弱っているときに飲みたい。そうしたら多分泣いちゃうかも(過言)。

完食。だけど、まだやるべきことがある…そうでしょ?
リベンジのため再訪

はい、食べたいメニューが注文できなかったリベンジを果たすべく、仲間(同僚ズ)を引き連れて再訪しました。仕事終わりに定時ダッシュし一目散にここまでやって来たことと、この日は雨が降っていたこともあり、店内は空いていました。

今日は在庫があったようで、無事に食べたいメニューにありつけました。「Dương chi kim lộ(ズォンチーキムロ)」と「Pudding hạnh nhân(プディング・アンニャン)」です。Dươngは南部アクセントで「ユォン」と発音すべし(原語的にもその方が近い)。

今回は冷たいデザートを注文したので氷が付いてきました。このカップ可愛いですね。「日本人が考えるお洒落な中華モチーフ」にも近い気がする。
このカップを指して同僚に「ベトナムのZ世代は「可愛い」のことを「Kute(クーテー、cuteのベトナム語読み)」って言うんでしょ」と尋ねたところ、「僕らの世代でも言ってましたよ(※同僚は同年代のミレニアル世代)」とバッサリ。死語じゃん…!
ところで、「ベトナム(東南アジア)で水道水や氷は絶対に避けないといけない」と考えている旅行者の方は多いと思うのですが、少なくとも氷に関してはどこのお店も氷屋さんから買っているのでそこまで神経質になる必要は無い…というのが個人的な見解です。まあ、配達された氷をどのように保管しているかはそれぞれの店次第なのだけど。
「楊枝甘露(ヨンジーガムロ)」を実食

まずは「Dương chi kim lộ(ズオンチーキムロ)」。こちらは柑橘とマンゴーを使った香港発祥のデザートで、「Dương chi cam lộ」とも。漢字で書くと「楊枝甘露(ヨンジーガムロ)」です。
光沢のあるビタミンカラーと爽やかな香りにそそられます。価格は42,000ドン。

ふわっとしてまるでムースのようなマンゴーミルクに柑橘の酸味がよく合い、さっぱりといただけます。これは食後に食べたいやつ!油っぽい中華料理のあとのデザートとしてはぴったりですね。

もちろんフレッシュマンゴーの芳醇な甘みともよく調和しています。適宜氷を加えるとキンキンに冷えてもっと美味しくなるよ!最初から氷を入れてしまうと溶けて味が薄まるので、半分くらい食べてから氷を加えることをお勧めします。

続いて「Pudding hạnh nhân(プディング・アンニャン)」。なんのことはない、杏仁豆腐ですね。価格は25,000ドンとお手頃。

こちらの杏仁豆腐はふるふると柔らかめの食感。ミルク感の中にも杏仁特有のほのかな苦味があります。5区の中華街でも色々と杏仁豆腐を食べてきましたが、こちらの杏仁豆腐もかなり好み。

あと、汁が美味すぎる…!スッキリした甘さで、いくらでも飲めてしまう。これも別添の氷でキンキンに冷やすと超絶美味しいのでやってみてください。

同僚が注文した「Chè trôi nước」。…あれ、こんなに黄色かったっけ?どうやら日によって仕上がりに差がある模様。もしくは再訪するまでの間にレシピが変わったか。

同僚の奥さんが注文した「Mè đen đậu phộng(メーデンダウフォン)」。黒ごまとピーナッツのチェーで、白玉団子が付いてきます。えー、私がChè mè đenを注文したときは付いてなかったのに…。メニューのイラストだと綺麗な陰陽模様となっていたのですが、実物は…まあしょうがないね。

同僚(日本人女性)が注文した「Chè hạnh nhân(チェーアンニャン)」。杏仁豆腐は数多く見てきたけど、杏仁のチェーは珍しい!「杏仁の甘酒みたいな味わい」とは同僚の弁(美味しかったそうです)。ちなみに彼女はこれを含め計3杯のチェーを注文し平らげていました。負けた…。

雨も上がり、徐々に店内が混雑してきたので撤退。他にも店名を冠する「Chè Kai Kai」など気になるメニューはあるので、また訪れようと思います。案外夜遅くまで営業しているので、ファンビッチャンでのディナー後などにデザートが食べたくなったらどうぞ。
「Tiệm chè KAI KAI(佳佳糖水)」の店舗情報
【2024年11月追記】黒ごま豆腐を食べました

11月13日、再訪しました。また行きたいと思い続けていたのですが、何度通りがかっても満席なものだから、空いていそうな時間を狙ったところ、功を奏しました。

今回は店名を冠する「Tàu hũ mè đen Kai Kai」45,000ドンを注文。黒ごま豆腐に、タロ芋団子や小豆、ブラックタピオカをトッピングしたものです。自家製の豆腐&トッピングたちが艶めかしくて美しい…!

別添の生姜シロップをかけていただきます。

生姜シロップは甘み・辛味共に控え目。全量をかけてちょうど良いと思います。黒ごま豆腐にも各トッピングにも甘さは殆ど無い(もしくは控え目)。黒ごまの香ばしさを思う存分楽しめる、上品なスイーツに仕上がっています。
【2025年3月追記】いつの間にかメニューがリニューアル

その後も、たまーに訪れています。こちらのお店を訪れる日本人もよく見かけますが、そのうち1割くらいは私の布教のおかげなのではなかろうか。WAHHAHHA(えらそう!)。上記の写真は2024年11月訪問。

こちらは2025年2月の訪問。平日の夕方だったのですが、仕事帰りのサラリーマンが連れ立って訪れている、っていうのが良いですね。カフェでも居酒屋でも無く、デザートを食べに行くというのがとても良い。

そして、知らないうちにメニューがリニューアルしていた!こちらは新メニューの「Trôi nước đậu đỏ」38,000ドン。小豆ペーストを包んだ白玉団子のチェー…ということで、日本人だったら皆好きでしょ、コレ。

小豆のペーストは、あんこのようになめらかなテクスチャ。これ、小豆のチェーに入れてくれやしませんかね…。もちろん、このチェーの生姜シロップも相変わらず激ウマです。

そして、2025年3月。平日の夕方にも関わらず激混みだったので、映えたい人たちの邪魔にならないよう隅っこにちょこんと座りました。トイデジで写真を撮ってる女子たちが居たもので。

これもまた新メニュー。「Tàu hũ khoai môn Kai Kai」48,000ドン。特製の豆腐プリンに、タロペーストを組み合わせたデザート。上に乗っているのは、芋圓と海藻です。

豆腐は、まるで牛乳プリンを食べているかのようななめらかさ&クリーミーさ。そこにまったりとした食感のタロペーストとココナッツミルクが合わさり、濃厚な味わいの一品です。

ここの芋圓、好きだなあ。少し柔らかめの仕上がりで、食べ始めはもちもち感が楽しめつつ、徐々に口の中で溶けていく感じ。
と、いうわけで相変わらず大人気の「Tiệm chè Kai Kai」。客足の回転が早いので「満席で座れない」ということは流石に少ないと思いますが、時間帯によっては売り切れのメニューもあるため、日中に訪れることを推奨します。