フランス文化の面影が色濃く残るベトナム。かつて持ち込まれたパン食文化が根付いているというのは皆様ご存知の通りですが、現在トレンドに敏感な人々から熱い視線を集めているのが、フランスの伝統菓子である「カヌレ」。
私の住むホーチミン市において、カヌレは最近こそ街なかのローカルベーカリーでも見かけるようにはなったものの、どこでも手に入る身近な存在ではありません。外国人が集まる、お洒落なカフェ文化を牽引する一部のエリアから広まり始めた、進化系パティスリーとでも呼べる存在。
今回は、外国人駐在員のハブ・タオディエンエリアに位置するカヌレ専門店「Poin Canelé(ポワン・カヌレ)」をご紹介します。
「Poin Canelé」の場所・雰囲気

タオディエン半島の西端、サイゴン川沿いのグエンヴァンフオン (Nguyễn Văn Hưởng) 通りにやって来ました。

お店が位置するのは、こちらから一本入った54番 (số 54) 通り。どこか突き放すような、味気のない通りの名前ですが、路地に入れば穏やかでローカルな生活感が息づいています。

そんな通りの一角で、深いグリーンの外壁と温かみのある赤レンガが目を引く「Poin Canelé」。
「BAKES CANELÉ DRINKS」と控えめに記されたオーニングは、まるでパリ(※行ったことはない)の街角にある隠れ家パティスリーのような雰囲気を醸し出しています。

扉を開けて店内に入ると、外観とリンクしたフォレストグリーンがアクセントになったミニマルな空間が。カウンター越しには、宝石のように並ぶカヌレを間近で選ぶことができ、店内の随所には枝物が飾られています。

テーブルが3つと、座席数は多くない。運よく先客が居なければ、静かにティータイムを楽しむことができそうです。

厳選されたプレミアムな原材料への徹底したこだわりが、こちらのお店の特徴。
「Poin Canelé」のメニュー

ということで、「Poin Canelé」のメニューはこちら。AOPバター(※認証済みの高品質バター)やタヒチ産バニラビーンズ、ダークラムなど、最高級の素材を使用しています。
カヌレのラインナップは、定番のバニラやアールグレイ(各45,000ドン)から、抹茶やマンゴー(各50,000ドン)といった個性豊かなフレーバーまで揃っています。

ドリンクメニューもあります。きな粉クリームや団子をトッピングできる抹茶・ほうじ茶ラテのほか、柚子やアプリコットを使った爽やかなコールドブリュー系も充実しており、濃厚なカヌレを美味しく食べさせるためのペアリングが充実。
実食

元々はホームパーティーの手土産購入のために寄ったのですが、せっかくなので店内でもいただいていくことに。

「Vanilla」45,000ドンと、ドリンクの「Sparkling Apricot」70,000ドンを注文。

まずはカヌレを割ってまじまじと観察。外側は厚めにキャラメリゼされており、しっかりと硬いのですが、それを越えたら「スッ」とナイフが入っていきました。

一口食べて驚いた。圧倒的な外のカリカリ感に対して、中は驚くほどしっとり、まるでカスタードのように瑞々しい生地が広がります。そして鼻腔に残るラムの香り。
お菓子作りに縁の無い私でさえ、外カリッ、中しっとりを完璧に両立させるのは至難の業だと分かります。
外を焼けば中が乾き、中を瑞々しく残せば外がフニャっとしてしまいがちであり、今まで食べたカヌレはそのどちらかに寄っていることが多かった。しかしながら、こちらのカヌレ、その相反する食感が絶妙なバランスで保たれている。

ペアリングに選んだアプリコットのスパークリングドリンクは、チアシードのプチプチ感と程よい酸味がカヌレの濃厚なバニラの余韻をさっぱりと整えてくれます。素晴らしい計算だった(自画自賛)。

そして、手土産として購入した「MIX COMBO 4」180,000ドン。先ほどの「Vanilla」に加え、3種類を選んだのですが、他のフレーバーの完成度にも驚き!
- Matcha:炭を練り込んだ漆黒の生地の中に、テリーヌのように濃厚な抹茶クリームが詰まっており、大人な苦味が楽しめます。
- Pistachio:メニューには無い新フレーバー。天面に砕いたピスタチオが乗り、中のクリームのナッティな香りが口いっぱいに広がります。
- Mango:フルーティーな酸味が効いたマンゴーカスタードが、カヌレの香ばしさを爽やかに引き立ててくれます。


どのフレーバーも、中にクリームが詰まっているにもかかわらず、外側のカリッと食感がまったく損なわれていない点に、専門店ならではのこだわりを感じます。

なお、お持ち帰り用の箱の内側には、自宅でもサイコーに美味しい状態で楽しむためのリベイク方法が記載されています。
- 保存方法: 冷蔵庫で2〜3日、冷凍であれば約2週間保存可能。
- リベイクのコツ:オーブンまたはエアフライヤーを180℃に設定し、カヌレを入れてから所定の時間加熱します(電子レンジはNG)。加熱後には室温で5分ほど置いて冷ますこと。このひと手間でカリカリ感が復活します。
「Poin Canelé」の店舗情報

タオディエンのカヌレ専門店「Poin Canelé」をご紹介しました。素材と技術でカヌレを一つの「芸術」にまで高めているといっても過言ではないお店。
お世辞抜きで、ホーチミン市で一二を争うレベルでは?自分へのご褒美としてはもちろん、おもたせとしてもオススメですわよ。
なお、「タオディエンは遠いよ!」という方に朗報。グエンフエ通りのカフェアパート5階「VanillA BomB」でもこちらのカヌレを扱っていますので、要チェック。



