ベトナムの松屋で食べられる醤油ラーメンは、万人を受け容れる寛大な味だった

日本料理

2024年11月、ホーチミン市にベトナム1号店をグランドオープンさせた松屋。これをもって、日本の牛丼チェーン3社がベトナムの地に揃い踏みすることとなりました。

ホーチミン市1区での1号店オープンから少し間を開けて、2号店が同市ビンタイン区にオープン。とりわけ大きな話題にはならず、いつの間にか開業してすんなりと街並みに馴染んでいた印象なのですが、今更ながらそちらも訪れてみることにしました。

思い返すと、松屋、1号店のオープン当初に何度か行って以来訪れていませんでした。1号店が入居する1区のmPlaza、あんまり用事が無いものだから。そして訪れた2号店で、「あるもの」を発見するのでした。

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「松屋の醤油らーめん」との出会い

やって来ました、ビンタイン区・グエンザーチー (Nguyễn Gia Trí) 通り。近隣には大学があるためか賑やかな街並み。そして、トゥードゥック市とホーチミン市中心部方面を行き来する人でいつも大渋滞。

ドライバー達の小腹満たし需要に応えるためか、夜になると歩道には屋台がわっと溢れかえります。これはこれで趣ある風景ですが、多量に路駐されたバイクも相まって、歩行者的には車道を歩かなければならず少し怖い。

で、松屋2号店ですね。1号店のオープンから1カ月後、2024年12月24日に開業したそうです。

5つ星ホテル併設のラグジュアリーな商業施設に店舗を構える1号店とは異なり、2号店はローカルなエリアの路面店としてオープン。ベトナム人的には「松屋は行ってみたいけど、駐輪が面倒だしわざわざmPlazaまで行かないよ」という人も多そうだし、良いアンサーなのでは。

そして目についた看板。ほお、「松屋の醤油らーめん」とな…。

いえ、ベトナムの松屋がラーメンを出し始めた、というのは知っていました。そして、その味が日本人にも好評であることも。

でも、避けていた。だって、松屋にラーメンのイメージ、無くないですか。一応、日本には松屋の中華業態として「松軒中華食堂」というものがあるのですが、本家松屋でラーメンがメニューに加わったことは無かった筈。

そんな、メニューの埋草みたいにラーメンを出すくらいなら、カレーとハンバーグ売りなさいよと、そう思いました(※カレーは一時期提供していたのだがいつの間にか終売していた)。だけど!今日、松屋のラーメンと向き合います。

…と、ここまで書いて、念の為調べてみたところ、同じく2024年に進出した香港の松屋でラーメンを出していました(参考:香港松屋の公式インスタ)。

まあ、あちらはインスタントラーメンの「北海道一丁(出前一丁のプレミアム版)」とのコラボメニュー、という様相だったし、松屋ベトナムのラーメンとは別物として良いでしょうか?(聞くな)

香港松屋の話題を出してしまったので余談となりますが、松屋は同年モンゴルにも進出しています。モンゴルの松屋、インスタの公式アカウントを見ると、内装はなかなか高級路線だし、メニューも「びっくりドンキー」のハンバーグディッシュ的なやつがある。行ってみたいぞ…。

松屋ベトナム2号店の様子

さて、自動キオスクでオーダーしようとすると、知らない焼肉丼がいました。2色焼肉丼に、挙げ句は3色焼肉丼まで。これも気になりますが、また今度。初志貫徹で「醤油ラーメンドリンクセット」と、あとちょっと日和って「ミックスサラダ」を注文しますよ。

ちなみに、ベトナムの松屋が日本のメニューをそのまま持ってきたかというとそうでもなく、唐揚げやとんかつなども扱います。むしろ、揚げ物を推しているまである。

店内は…平日19時くらいに訪れたのですが、ちょっと閑散としていました。一応、このあと何組かお客さんが入ってきましたが。

すき家・Nguyễn Gia Trì店

ちなみに、松屋2号店のオープン後、その近隣に当てつけのようにすき家がオープンしました。すき家の方は大変賑わっているのですが…。

ちなみに、ざっと思い付く松屋とすき家の違いは以下の通り。すき家はかなりローカライズが進んでいます。

  • 松屋は先払い、すき家は後払い(日本と同じ)
  • 松屋は日本語話者の店員さんが必ず居る(すき家の店員さんは日本語通じない)
  • 松屋の店内では至る所に日本語が併記(すき家はメニューにすら日本語併記無し)
  • 松屋の方がすき家より高価格帯(吉野家よりは少し安い)
  • 松屋の店内BGMはJ-POP(すき家の店内BGMは洋楽かベトナミーズポップス)

セルフオーダーであることは日本の松屋と共通していますが、番号が呼ばれたら自分で注文の品を受け取りに行く必要があります。

実食。器の大きさを感じさせる(物理的にでは無く)味

醤油ラーメンドリンクセット」と「ミックスサラダ」…って、サラダとサラダでダブってしまいました。ドリンクセットにサラダも含まれていたのか。サラダが大好きな人、もしくはラーメンの罪悪感を全力で軽減しようと悪あがきしている人に見えてしまったかな。

なお、トレーを受け取って席についた瞬間、入り口付近に立っていた店員さんからすかさず「調味料はあちらからお取りください」と日本語でご案内いただきました。私、店に入って一言も日本語を発していなかったのに、どうやって見抜いたんだ…?

さて、肝心のラーメンですが、ザ・ラーメン的な安心感ある見た目をしています。「こだわりの一品」というよりは、「こういうのでいいんだよ」と言いたい素朴な醤油ラーメン。

まずはスープを一口。すっきりしつつ甘みもあり、出汁の旨味も感じられる美味しいスープ。

最近、ベトナム人経営のラーメン屋も増えてきていますが、どこのお店も、ベトナム人の好みに合わせてか薄味のスープが多いように思います(勿論お店によります)。一方、日本人や日本在住経験のあるベトナム人など、客によってはしょっぱい味を求めることもあるでしょうから、お店によってはスープの味の濃さを選べるところもあります。加えて言うなら、スープ熱さもぬるめであることが多い気がする。

一方、松屋のラーメンのスープなのですが、「しょっぱすぎず薄すぎず」「熱すぎずぬるすぎず」という、バランス感覚を持った仕上がり。

実は、ベトナムのすき家も醤油ラーメンを出しているのですが、スープはぬるめ、かつ「東京醤油ラーメン」を謳いながら背脂がたっぷり浮いているなど、日本人からすると少し尖った出来でした。それもあって「松屋のラーメン、どうかなー」と思っていたのですが、杞憂でしたね。

バランスが取れているのは麺も同じ。固すぎず、柔らかすぎずの中太ストレート麺。程よく感じられるコシが心地良い。

煮卵。これまで訪れたベトナム人経営のラーメン屋では、スープと相反して、それ単体では食べられないようなしょっぱい煮卵に出会うことが多く、「しっかり浸かった煮卵がベトナムでは好まれるのかな」と思っていたのですが、これまたしょっぱすぎず薄すぎずの絶妙な浸かり具合でした。

チャーシュー。口の中でほろほろとほぐれ、脂身のバランスも良い。豚肉特有のツンとした匂いも感じつつ、このちょっとチープな感じがオーソドックスな醤油ラーメンに合いますね。

ごちそうさまでした。ラーメン、量的にはあまり多くないので、揚げ物などのサイドメニューを足すと良いかもしれませんね。私は草(サラダ)を二皿も食(は)んだので、お腹いっぱいです。

まとめ&松屋ベトナム2号店の情報

結論、松屋のラーメンは、日本人向けに振りすぎず、かといって過度なローカライズもしない、万人を受け容れる度量の大きな味でした。絶妙なバランス感覚。

今後も松屋のベトナム独自メニューは登場するのだろうか。サイゼリヤやリンガーハットのベトナム進出も予定されていますし(※リンガーハットは再進出)、ネタが溜まったらまた「日本には無いシリーズ」の記事を書きたいですね。

お店の名前 MATSUYA Nguyễn Gia Trí
住   所 89-91 Nguyễn Gia Trí, Phường 25, Bình Thạnh, Hồ Chí Minh
営 業 時 間 10:00 〜 22:00
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本記事でお借りしたもの:Icon-rainbow

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