「サイゼリヤ」の「ミラノ風ドリア」や、「ガスト」の「チーズINハンバーグ」、「天下一品」の「こってり」など、有名飲食チェーンの店名を聞いて誰もが思い浮かべる看板メニュー。ですが、その人気の影に隠れた「○○じゃない方」のメニューにこそ妙味があるものと考えます。
私の暮らす、ここベトナム・ホーチミン市では、日本でもお馴染みの飲食チェーンが多く出店しています。今回は4つのチェーン店を巡り、ベトナムならではの「○○じゃない方」なメニューを堪能してきましたよっと。
マクドナルド (McDonald’s)
まずやって来たのはマクドナルド。こちらは記念すべきベトナム1号店である、1区・ダーカオ (Đa Kao) 店です。ちなみにマクドナルドのベトナム進出は2014年と、ごく最近の出来事。
タッチパネルで注文しましょうね。備え付けの端末からカード決済やコード決済も可能です。
ベトナムのマクドナルドにおける「○○じゃない方」、それはフライドチキン。さらに、米の付いたフライドチキンライスもあります。ベトナム人はチキン(それも骨付き)大好きですからね。
期間限定の「Korean BBQ & Cheese Sauce BIC Meal」59,000ドン(≒363円)。何と、箱に入ってやってきましたので期待が高まることですよ。
フライドチキンと米。そのまんまだ。
やっぱりベトナムのチキンは美味しいですね。若干パサパサしている気もするけど、まあ好みの問題か。Korean BBQソースは甘めの味。
米は…褒めるところが無いな。まあ、トータルすると路上で売られている35,000ドンのコムガー(チキンライス)の方が旨いことは確かだ。チキンライスを注文したら冷房が効いてWi-Fiの使える空間が付随してきた、と考えよう。
時間帯が悪かったのかもしれませんが、店内はなかなか清掃がされず大荒れです。ベトナム1号店の矜持を保ってくれ…!
丸亀製麵 (Marukame Udon)
お次にやって来たのは丸亀製麺の1区・ハイバーチュン (Hai Bà Trưng) 店。ブランド名は「まるがめ」ではなく「まるかめ」なのがポイント。マクドナルドと同じく、ベトナムへの進出は2014年です。
店内に足を踏み入れると、日本のうどんチェーンでお馴染みの光景。巨大なメニューによく目を通してみると…
ご飯ものがあります。ということで、ベトナムの丸亀製麺の「○○じゃない方」は丼もの。写真の大きさ的に、「焼肉丼」と「鳥照り焼き丼」を推しているのかな?
「焼肉丼(キムチ)」を注文。サイズはレギュラーで、価格は105,000ドン(≒647円)。あとはサイドメニューのサラダやらほうじ茶やら。
アツアツといった感じではなく、まあレンジ調理かなー、と思いつつも、「焼肉味」って感じの甘辛味でおいしい。
日系なだけあってちゃんとご飯が美味しいです。お米の粒感を感じる、すこし固めのご飯。
惜しむらくは、全体的にえらく油っぽかったことかな…
すき家 (Sukiya)
3店目に訪れたのはすき家。3区・パスツール(Pasteur。ベトナム語ではパスター)店にやって来ましたよ。ベトナムへの進出は2016年です。
店内は外観以上に広いです。私の背後にはこの3倍以上のスペースが広がっています。
ベトナムのすき家には、とじ丼(カツ丼)や北海道豚焼肉丼など、多くの「○○じゃない方」なメニューがあります。ちなみにフリスビーことまぐろたたき丼は無く、残念。
一番「○○じゃない方」なのはこれでしょう、ということでベトナムのすき家にはラーメンがあるんだ。みんな知ってるね?
牛丼のアタマや、極めつけにはとんかつが乗ったラーメンまであります。なんだろう、ベトナムの人はこれを見て「ラーメンの上にとんかつ乗っとるやん!これにしよ!」ってなるんですかね。まあ、富士そばのコロッケそばみたいなものか…
一番オーソドックスと思われる「Tokyo Ramen」を注文。単品であれば79,000ドン(≒487円)ですが、セットメニューも付けました。そのお味は…?
細く縮れた麺に、澄んだ醤油スープ。メニュー名の通り「東京醤油ラーメン」ですね。郷愁を誘う味であり、「あの時出会った味だ!」と存在しない記憶が生成されています。
ただ、スープは背脂たっぷりで妙にこってり。
あと、ベトナム人の好みに合わせてなのか、スープは熱々ではありません(決してぬるいわけではない)。まあ確かに、ベトナムで熱々の食べ物って揚げ物くらいだよなあ。
メンマ、というより「たけのこのメンマ風」だ、これ。しゃくしゃくと歯切れよく瑞々しい食感で、メンマとは違った良さがある。
なんやかんやで完食。ごちそうさまでした。
ちなみに、店内Wi-Fiのパスワードが「sukiyasukisuki(すき家好き好き)」だったことをご報告いたします。「sukiyapasteur」とかじゃないのか… パスワード考えたの絶対日本人でしょ。
吉野家 (Yoshinoya)
最後にやって来たのは吉野家。こちらは2024年5月にオープンしたばかりの、10区・カックマンタンタム (Cách Mạng Tháng 8) 店です。
吉野家は2015年にベトナムへ一回進出していたのですが、その後撤退。公式サイトでも触れられていないため、一度目の進出は完全なる黒歴史と化した模様です。その後、現地企業と改めてフランチャイズ契約を締結し、2020年に再度ベトナム進出を果たしました。
すき家だけの独擅場でも面白くないし、吉野家には頑張ってほしいナー、と思いつつ入店。
2階席に通されました。新しい!綺麗!…って当然ですね。新しい建物の匂いがする~
メニューですが、すき家と比べると、日本のメニューとの違いは大きくないように思います。チキン南蛮丼も日本の吉野家にありますものね。あと、鍋メニューが通年で注文できます。
ベトナム独自の「○○じゃない方」メニューといえば、こちらのあぶり鍋。これは美味しい(確信)
「あぶり牛焼肉」のレギュラーサイズ、85,000ドン(≒524円)です。セットメニューも付けました。オープンしたての店舗の割りに、提供が早く好印象です。(ベトナムでオープンしたばかりの店は大体オペレーションぐだぐだで超待たされる羽目になる)
ねえ見て、この照りっ照りの艶(つや)やかな焼肉ソースを纏った牛肉と、白いご飯の対比。
鍋の下には固形燃料が。いつまでも熱々です。85,000ドンのメニューだと思って甘く見てたけど、ここまで手が込んでいるなんてね。
焼肉でご飯を巻いてパクリ、と… うんまい!
本記事で食べた「○○じゃない方」の中で一番美味しいぞ。肉はちょっと硬いですが、まあそこまで気にならないレベル。甘辛いタレは、野菜や果実のコクが分かる奥深い味でご飯が進んでしまう。
あと、ご飯が美味しい。粒のハリや弾力がはっきりと感じられ、お世辞抜きで、ここ最近食べた白米の中で一番だと思う。
いやー、意外なところに伏兵が居たなあ。実はベトナムで吉野家に来たのはこれが初めてだったのですが、今後はもっと行きたいと思います。
完食しました。
吉野家に対してはさほど突っ込みどころが無かったので、代わりに隣にあったドリンクスタンド・7LEAFの写真を載せておきます。配色がどう見てもあのコンビニ。
まとめ
ベトナム・ホーチミン市で、日本でもお馴染みの飲食チェーン4店で「○○じゃない方」のメニューを食べ歩いてみました。
感じたこととしては、ベトナム進出から年数が経ったチェーン店ほど、本国の意向が徐々に薄れてメニューのローカライズが進行していくのかなという点。味やサービスの品質が落ちるとかでなければ、その方が面白いのでむしろ歓迎したいところです。
ベトナム在住者のみならず旅行者の皆さんもたまには趣向を変えて、よく見知ったチェーン店を訪れて、日本との違いを楽しむのも良いかもしれません。