世界各地に広がる中華料理。多くの場合、それぞれの地で定着し、現地の人たちの味覚に沿うように独自の進化を遂げています。
日本式中華料理もそのひとつであり、日本人にとっては胃袋と心を同時に満たしてくれる大切な選択肢。ベトナムという異国の地で、慣れ親しんだ所謂「町中華」が恋しくなる瞬間があるわけで…。
そんな中、ホーチミン市第二の日本人街・ファンビッチャンエリアに待望の新店が誕生。本記事では、2026年6月11日にグランドオープンを迎えた「町中華すず木 (Ramen Gyoza Suzuki)」をご紹介します。
「町中華すず木」の場所・外観

やって来たのは、旧ビンタイン区(現タインミータイ街区)・グエンフーカン (Nguyễn Hữu Cảnh) 通り。ちょうど、ファンビッチャン (Phạm Viết Chánh) 通りへと繋がる交差点にほど近い場所です。

そしてこちらが「町中華すず木」。店頭には赤い拉面の提灯が灯り、レトロな木製のラーメン屋台が。まるで日本の古き良き時代に迷い込んだかのようなノスタルジー。

交通量が多く視界が開けた大通り沿いに位置しており、鮮やかな赤色で統一されたファサードは遠くからでも一目でそれと分かる佇まいです。
ちなみにこちら、レタントン通りにある「東北炉端ろっけん」を運営する会社さんが手掛けているお店だと人伝に聞きました。

なお、店頭の屋台と店内ではメニュー構成および価格が異なります。看板にある「中華そば6万ドン〜」というのは屋台での価格。
グランドオープンに先立ち、屋台での営業を開始されていたようですが、同行者曰く店内で食べるより量は少なめだったとのことなので、サクッと済ませたい2軒目利用では屋台の方がおすすめかも。
「町中華すず木」の内装・雰囲気

店内は、まさしく日本のラーメン屋を思わせる真っ赤なカウンター席が中心に据えられています。座席は12席程度だったかな。現時点では2階は使われていないようでした。外にもステンレス製の丸テーブルと丸椅子がありますが、時間帯によっては満席になりそう。

卓上には醤油や酢、テーブルコショー、ラー油といったお馴染みの調味料ボトル。そして爪楊枝、そしてガラスのジョッキにドサッッと差し込まれた割り箸が用意されており、まさしく日本にいるかのような安心感。
18時頃に入店したのですが店内は間もなく満席に。オープンしたてということもあり少々の慌しさが感じられつつも、若い日本人の男性店員さんや、流暢な日本語をお話しになるベトナム人女性店員さんが中心になってホールを回しておられました。
「町中華すず木」のメニュー

「町中華すず木」のメニューはこちら。まさしく町中華と呼ぶべき定番料理が網羅されており感動。「ちょっと (Chokotto)」無き今、庶民的な日本式中華が食べられるお店はホント貴重。
食事メニューは前菜、餃子、揚げ物、ご飯物、一品料理、そして麺類というカテゴライズ。麺類は醤油ベースの中華そばや塩中華そばが10万ドンで用意されているほか、みそラーメン、ネギ味噌ラーメン、辛みそ野菜ラーメンなど、特に味噌系のバリエーションが豊富。
前菜のザーサイやキムチ、枝豆は5万ドン、焼き餃子は6個で6万5000ドンと、現在のホーチミンの日系飲食店の中ではリーズナブルで日常使いしやすい価格帯に設定されています。

ドリンクメニューも、町中華における飲み文化を反映した魅力的なラインナップ。ビールはサッポロ生ビールやアサヒ小瓶など。
アルコール類はキンミヤ焼酎使用の酎ハイをはじめ、ウーロンハイや緑茶ハイ、ジャスミンハイといったお茶割り、角ハイボールなど勢揃い。さらに黒霧島や二階堂、日本酒もグラスだけでなくボトルで注文可能。割り用のソーダやお茶類、カットレモンや梅干しといったトッピングも充実しており、居酒屋としても十分に機能する構成になってますね。
実食

「麻婆豆腐」130,000ドン。皿の縁まで広がるラー油に、中央には散りばめられたニラが何とも鮮やかな一品。適度に崩れた豆腐が、とろみのある餡やひき肉と絡み合う様子が伝わる。

ひき肉の粒は大きく、ゴロゴロ!たいへん食べ応えのある質感であることが分かります。お味は花椒の痺れよりも唐辛子の辛みを強く感じる刺激的な仕上がり。

そんな麻婆豆腐に合わせたいのがライス。一粒一粒が立っていて瑞々しい艶があります。海外でこれだけ質の高い白米に出会えるのは嬉しい限り。

麻婆豆腐と白米を小鉢に合わせて、即席ミニ麻婆丼として楽しむ食べ方がとても良く合います。

ベトナムで中々出会う機会の少ない(※あることはある)「青椒肉絲」130,000ドン。具材全体にしっとり艶やかなタレがコーティングされており、細切りにされたカラフルなパプリカやタケノコなど、とっても色彩豊か。ほどよい油通しによりシャキシャキした小気味よい食感がちゃんと残されています。

「チャーハン」100,000ドン。これぞ町中華という王道の風格。パラパラ系ではなくしっとり系の仕上がりです。

スプーンで少し崩すと、適度な水分とふっくら感が残っている様子が分かります。程よい塩気&旨味があり、ラーメンスープを加えていたりする?

「鶏唐揚げ」80,000ドン。ゴツゴツとした見た目の衣ですが、少し白い粉を吹いたような感じもあってサクサクの軽い衣を連想させます。1枚のもも肉に衣をつけて揚げたあと、一口サイズにカットしたものですね。

断面を見ると、肉の繊維の隙間に肉汁が滲み出ているような瑞々しい艶!勿論、期待通りのジューシーな肉質が楽しめます。味付けは結構あっさりめかな。油淋鶏はこの唐揚げがベースになってると思うので、今度はそちらも試してみたい。

「焼き餃子」65,000ドン。均一に美しい焼き目がついた見事な仕上がり。底面はパリッと香ばしく焼き上げられている一方で、皮の部分はもっちりした質感があり、薄皮の中に凝縮された餡の旨味がじゅわ〜っと広がります。私は卓上の酢+胡椒だけでいただきました。

「中華そば」100,000ドン。シンプルながらも美しく整えられた王道の佇まいです。最初に注文したのですが提供されたのはかなり後になってからだったので、混み合っているときは時間のかかるメニューなのかも。

スープの表面には細かな背脂や油の層が浮かんでおり、すっきりとした醤油ベースの中にもこってりとしたコクを予感させる。

麺はスープを適度に持ち上げるストレートの細麺。バツバツ系の歯切れのよい麺を予想していたのですが、細麺ながらもっちり感もあり意外な食感!良い意味で裏切られた感じ。

トッピングの主役であるチャーシューは大ぶりで適度な厚みがあります。脂身が少なめながらも、しっとりジューシーな仕上がりであり、秀逸。あと、メンマも心地よい歯応えがあり、絶妙。自家製なのか、どこかから仕入れられているのか?

順番が前後しましたが、これらの濃厚かつパンチある料理たちを迎え撃つのが「黒ウーロン茶」30,000ドン。油分の多い中華料理を食べ進める中で、口の中をすっきりとリセットしてくれる無くてはならない存在。

氷、よく見ると透明感がすごい。良い氷だ…。
「町中華すず木」の店舗情報
ファンビッチャンエリアに新たにオープンした「町中華すず木」をご紹介しました。
サクッと中華そばを一杯すするだけの利用はもちろん、少人数で一品料理をいくつか囲みながら、キンミヤ焼酎やお茶割りで乾杯する居酒屋のような使い方も大いに魅力的。いろんなシーンで活用したいお店です。とりあえず、他のメニューも制覇したいところ。

