2024年12月22日、ホーチミン市初の都市鉄道でありベトナム初の地下鉄「ホーチミンメトロ(ホーチミン地下鉄)」の1号線が華々しくオープンしました。
メトロ1号線は、ホーチミン市中心部から外国人が多く住むタオディエンエリア(旧2区)、今後発展が見込まれるエリアを経て、新東部バスターミナルまで至る、全14駅・約20kmの路線です。運行は朝5時から夜11時半までですが、開通後6ヶ月間は夜10時まで。間もなく終電が延長されることになりますね。
乗車方法などの詳細は、下記記事をご覧ください。乗り放題チケットなども販売されていますよ。
メトロを使えば、移動手段を持たない旅行者・在住者にとって、これまでタクシーやバスがメインだった移動も少し便利になり、ホーチミン市の新しい顔を発見できる…ハズ!
ということで今回は、始点のベンタイン駅から終点のスオイティエンバスターミナル駅まで、各駅周辺の気になるスポットを(独断と偏見で)巡る旅にご案内します。
- 【L1-01】ベンタイン駅 (Ga Bến Thành)
- 【L1-02】市民劇場駅 (Ga Nhà hát Thành phố)
- 【L1-03】バソン駅 (Ga Ba Son)
- 【L1-04】ヴァンタイン公園駅 (Ga Văn Thánh)
- 【L1-05】タンカン駅 (Ga Tân Cảng)
- 【L1-06】タオディエン駅 (Ga Thảo Điền)
- 【L1-07】アンフー駅 (Ga An Phú)
- 【L1-08】ラックチエック駅 (Ga Rạch Chiếc)
- 【L1-09】フオックロン駅 (Ga Phước Long)
- 【L1-10】ビンタイ駅 (Ga Bình Thái)
- 【L1-11】トゥードゥック駅 (Ga Thủ Đức)
- 【L1-12】ハイテクパーク駅 (Ga Khu Công Nghệ Cao)
- 【L1-13】国家大学駅 (Ga Đại học Quốc Gia)
- 【L1-14】スオイティエンバスターミナル駅 (Ga Bến xe Suối Tiên)
- (無理やり)まとめ
【L1-01】ベンタイン駅 (Ga Bến Thành)


ホーチミン市のど真ん中に位置するベンタイン駅。多くの旅行者にとっては観光の拠点となるであろうエリアであり、まさにスタート地点はここから…と言ったところ。蓮の花をモチーフにした天窓が特徴です。

「ベンタイン市場 (Chợ Bến Thành)」。ホーチミン市を象徴する市場であり、外国人観光客のみならず、地元の人々も集まるスポット。特に、旧正月などのイベントシーズンになると、伝統衣装・アオザイで着飾って写真撮影に興じる人々の姿が多く見られます。

生鮮食品、衣料品、手工芸品、土産物から、多彩な屋台料理まで、あらゆるものが揃います…が、他の市場と比較して観光客向けの価格設定になっていることは皆様ご存知の通り。私も実は禄に観光したことがなーい…。

バックパッカー街として知られる「ブイビエン通り (Đường Bùi Viện)」。特に夜は多くのバー、レストラン、屋台が軒を連ね、活気に満ち溢れています。

…いや、満ち溢れすぎだろう。至る所から爆音の音楽が鳴り響きます。鼓膜破るる〜。一方、日中は比較的静かなので、ベトナムコーヒーを飲みながらのんびり過ごすのも良いですね。

ホーチミン市中心部で最大級の緑地の一つ、「9月23日公園 (Công viên 23 Tháng 9)」。市民の憩いの場ですが、夜は人けが少なくなるので注意。

パチモン市場、「サイゴンスクエア (Saigon Square)」。最近は市場管理当局による摘発が相次いでいることでお馴染み、か…?

大型ショッピングモール、「高島屋 (Takashimaya)」および「サイゴンセンター (Saigon Centre)」。都会的で清潔な空間で涼みたいならここへ。

ベトナム戦争終結の象徴でもある「統一会堂 (Hội trường Thống Nhất)」も、ギリギリ徒歩圏内。かつての南ベトナム政権の大統領官邸として使用されていました。歴史的な出来事の舞台となった豪華なホール、地下の指令室やバンカー、手入れの行き届いた庭園などを見学できます 。
【L1-02】市民劇場駅 (Ga Nhà hát Thành phố)

美しく歴史的なコロニアル建築が多く残るエリアに位置する市民劇場(オペラハウス)駅。ホーチミン市の芸術と文化の中心地です。周囲には3つ星〜5つ星ホテルが立ち並ぶので、滞在の拠点にするのも◎。ベンタイン駅からは徒歩圏内です。

駅名の通り、壮麗なオペラハウスは必見。1898年に完成したフランス植民地時代の壮麗な建築物で、パリの美術館「プティ・パレ」を参考に設計されたと言われています。オペラ、バレエ、ベトナム伝統芸能など、様々な公演が開催されており、内部の豪華な装飾も見どころ。公演を鑑賞しなくても、その美しい外観は一見の価値あり。

オペラハウスの前は、ホーチミン市内の主要観光地を巡る、2階建てバスの出発地点でもあります。

歩行者天国の「グエンフエ通り (Đường Nguyễn Huệ)」。市民劇場やホーチミン市人民委員会庁舎に面して広がる、全長約800mの広大な遊歩道です。近代的なビルやショップ、レストラン、カフェが立ち並び、特に夜は噴水ショーやストリートパフォーマンスなどで賑わいます 。

週末は多くの人々で一層活気づく、まさに「ベトナムの渋谷」。

「ドンコイ通り (Đường Đồng Khởi)」。かつては「東洋のシャンゼリゼ」と称されたエレガントな通りです。高級ブティック、ホテル、アートギャラリー、カフェなどが軒を連ね、フランス植民地時代の面影を残す美しい建築物と現代的な店舗が混在しています。ただ、コロナ禍以降はシャッターが目立ち、少し過疎気味。


ドンコイ通りには、ショッピングモール「ビンコムセンター・ドンコイ (Vincom Center Đồng Khởi)」と「パークソンプラザ (Parkson Plaza)」が位置します。特に後者のパークソンにはユニクロ・MUJI(無印良品)・コーナン・ニトリが入居しており、移住間もない在住者にとってはまさに駆け込み寺のような場所。「日本からアレ持って来るの忘れた!」という方はお立ち寄りください。

「ホーチミン市人民委員会庁舎 (Trụ sở Ủy ban Nhân dân Thành phố Hồ Chí Minh)」。美しいフランス植民地時代の建築で、かつてのサイゴン市庁舎です。精巧な装飾が施された外観は、特に夜間のライトアップ時には壮観な美しさを見せます。これまで立ち入りは出来ませんでしたが、最近になって、内部の見学ツアーが開催されるようになりました。

グエンフエ通りの北端、ホーチミン市人民委員会庁舎の前に建つ、ベトナム初代国家主席ホー・チ・ミン氏の像。市民からの敬愛の念を象徴しています。


グエンフエ通りに面した古いアパートをリノベーションした、カフェ・アパートメント。建物内には、カフェやブティック、アートスペースなどが多数入居します。

各店舗のバルコニーからは、グエンフエ通りの賑わいを眺めることができます。このような古いアパートに入居するカフェはホーチミン市内に数多あるので、ぜひ探してみてね(丸投げ)。
【L1-03】バソン駅 (Ga Ba Son)

かつての造船所跡地にできたバソン駅。サイゴン川に面し、ホーチミン市の発展を感じられるエリアです。造船所跡地には大型レジデンスも立ち並び、まさに歴史と未来が交差するウォーターフロント。

近代的なデザインの斜張橋で、ホーチミン市の新たなランドマークの一つ「バソン橋 (Cầu Ba Son)」。ホーチミン市中心部と、新興開発地区「トゥーティエム」を結び、都市の発展を象徴しています。

橋には広い歩道が整備されており、サイゴン川や市街地の景色を眺めることができます。特に夜景は美しく、写真撮影スポットとしても人気です。


「バクダン埠頭 (Bến Bạch Đằng)」。サイゴン川沿いに広がる景勝地で、市民や観光客の憩いの場となっています。リバーバスやディナークルーズ船の発着点であり、川沿いにはレストランやカフェも点在します。

オペラハウス駅からもアクセス可能ですが、バソン駅から訪れれば、交通量の多い危険な大通りを横切らずに済みます。
ベトナムの元国家主席に関する資料が展示されている「トンドゥックタン博物館 (Bảo tàng Tôn Đức Thắng)」も駅から近いです。150年以上の歴史を持つ「サイゴン動植物園 (Thảo Cầm Viên Sài Gòn)」も、まあギリギリ徒歩圏内。

あとは、「レタントン通り (Đường Lê Thanh Ton)」およびその周辺から成る日本人街もこの駅が最寄りです。タオディエン(旧2区)エリアにお住まいの方であれば、レタントンでの飲み会後、メトロで帰宅…という使い方も出来るかも?
【L1-04】ヴァンタイン公園駅 (Ga Văn Thánh)

地下駅はバソン駅で終わり、ここからは高架区間に入ります。ビンタイン区に位置するこの駅は、その名の通り「ヴァンタイン観光エリア (Khu du lịch Văn Thánh)」の最寄り駅。都会の喧騒を離れられるオアシスです。


緑豊かな敷地内には池や芝生広場があり、ピクニックやレクリエーション、スイミングプールなどが楽しめます。敷地内にはレストランもあり、季節のイベントに応じたビュッフェなどもある模様。
【L1-05】タンカン駅 (Ga Tân Cảng)

ビンタイン区に位置し、サイゴン橋とヴォーグエンザップ高速道路 (Đường Võ Nguyên Giáp) に隣接するタンカン駅。他の駅よりも大きく、プラットフォームを4つ備えます。これは将来的にはメトロ5号線との接続が構想されているためですが…どうなることやら。

駅からも見える通り、ベトナム最高層ビル「ランドマーク81 (Landmark 81)」と広大なレジデンス兼公園公園「ビンホームズ・セントラルパーク (Vinhomes Central Park)」への玄関口となる駅です。

「ランドマーク81」は、地上81階建て、高さ461.2mを誇るベトナム最高層の超高層ビル。高層階にある展望台からは、ホーチミン市街を一望できる圧巻のパノラマビューが楽しめます 。ビル内には、ショッピングモール「ビンコムセンター (Vincom Center)」をはじめとする多様な商業施設が集積しています。

そんなランドマーク81を有するのが、14ヘクタールに及ぶ広大な都市公園を備える巨大レジデンス群「ビンホームズ・セントラルパーク」。この規模、まるで昭和のマンモス団地のような発想だ…。
現状、駅からこれらの施設へ直接渡る歩道橋などが整備されていないため、少し迂回して大通りを横切る必要があります。短い距離ではあるものの、Grabなどを利用して移動するほうが安全かもしれません。
【L1-06】タオディエン駅 (Ga Thảo Điền)
ここから、ホーチミン市直轄トゥードゥック市に入ります。旧行政区分ではホーチミン市2区にあたるエリアですね。

タオディエン駅周辺は多くのヴィラや高級マンションが立ち並ぶ、ホーチミン市の富裕層エリアのひとつ。日本人を含む多くの外国人が暮らしており、多文化コミュニティが形成されています。成功した若いベトナム人(インフルエンサーなど)も、このエリアに住むことを好むとか…。

かつては寂れた郊外だったタオディエンですが、急速に変化し現在の姿となりました。そもそもタオディエンをチュノム(ベトナム漢字)で表記すると「草田」。つまり、何もない原っぱだったわけです。正直、メトロの構想段階では、このエリアが今のような姿になるなんて予想されていなかったと思うんだ。

そんなタオディエンは、散策するだけでも楽しいエリア。スアントゥイ (Xuân Thủy) 通りやチャンゴックジェン (Trần Ngọc Diện) 通りには、おしゃれなカフェ、セレクトショップ、クラフトストアなどが点在しています。 ミシュランガイドに掲載されたレストランも多く、美食体験も楽しめます。
【L1-07】アンフー駅 (Ga An Phú)

タオディエン駅の隣にあるアンフー駅。このエリアも、タオディエンと同列に扱われることの多い地域です。

駅の周辺は、特に大規模な商業施設へのアクセスが便利なエリアとして発展。結果として、アンフー駅が郊外における商業ハブとしての機能を担うこととなっています。

アンフー駅に隣接する大型ショッピングモール「ビンコムメガモール・タオディエン (Vincom Mega Mall Thảo Điền)」。隣接しているだけで接続はしていないので、雨が降ったときなんかは絶妙に困る。

ユニクロ・無印良品・ニトリが出店しています。飲食店の数は少なめですが、わざわざここで食事を取らずとも外にはいくらでもレストランやカフェがあるので、困ることはありません。

歩道橋から大通りを渡った先に位置する「メガマーケット・アンフー (Mega Market An Phú)」。タイ資本による大型スーパーであり、生鮮食品から日用品、家電製品まで、多種多様な商品が業務用サイズから個人向けサイズまで幅広く取り揃えられています 。まさにベトナム版コストコ。
その他、比較的新しいモダンなショッピングモール「エステラプレイス (Estella Place)」も徒歩圏内。
【L1-08】ラックチエック駅 (Ga Rạch Chiếc)
ここからは開発途上の新興エリアがメイン。正直、書くことが無いよ!

ラックチエック駅は一応、先述のアンフー駅周辺と商圏が被っているので、徒歩圏内にいくつかレストラン等があります。あと、駅の東側には広大なゴルフ場が広がるので、ゴルフ好きにとっては便利な立地かも?
【L1-09】フオックロン駅 (Ga Phước Long)

旧9区に位置する駅。一応、周囲には住宅街が立ち並ぶのですが、駅前に飲食店が全くと言って良いほど存在しません。どんな田舎でも食堂や路上カフェを目にするベトナムで、こんなことある…?

代わりに見えるのが、数多のコンテナ群。

駅のそばには、地場系物流大手のジェマデプト (GEMADEPT) 社による港湾ターミナルがあるのでした。2019年には住友商事が出資参画するなど、日本との関わりも微妙にあったり。地味なエリアだと思ったけど、ロジスティクスの一大拠点だったのですね。

あと、駅から徒歩7〜8分程度の距離に高層アパート群「Him Lam Phú An」があります。購入は23億ドン(≒1,260万円)程度から、賃貸であれば700万ドン(≒39,000円)くらいから借りられるらしい。外国人が入居できるかどうかは知らんけど〜…。
【L1-10】ビンタイ駅 (Ga Bình Thái)

同じく旧9区に位置する駅。まだ降りたことがないので、開業前の写真でご勘弁ください。

駅近くに「Lavita Charm」というアパートがあります。住民にとってはメトロ開通で便利になるでしょうね。今後、価格の上昇が見込まれるかも。
あと、駅の周辺にはいくつかお寺があるそうです。つまり「寺町」ということか。お寺巡りをしたい方はどうぞ。
【L1-11】トゥードゥック駅 (Ga Thủ Đức)

旧トゥードゥック区の中心地に位置する駅。特筆すべき観光地はありませんが、周辺に大学があるおかげか、中々に栄えているエリアです。メトロ開通の恩恵を受けている学生もいることでしょう。

得てして、学生街には安くて美味しいお店が集まるもの。特に駅の西側を散策すると、意外なグルメやおしゃれカフェに巡り合えるかもしれません。個人的に注目している隠れ家スポット。
【L1-12】ハイテクパーク駅 (Ga Khu Công Nghệ Cao)

旧9区に位置。南部主要経済圏のハイテク産業の開発促進を目的として、2002年に設立された「サイゴン・ハイテクパーク(SHTP)」の最寄り駅です。ビジネスで訪れる人にとっては、メトロ開通によりアクセスしやすくなったのではなかろうか。


ハイテクパークは、国内外の多くのハイテク企業が集まる大規模な工業団地。一般の観光客向けの常設展示施設やビジターセンターなどは備えていませんが、将来的に科学技術パークとしての機能拡張も計画されている模様。

駅からは「ホーチミン市科学技術大学 (HUTECH)」のキャンパスも見えます。ベトナムでは最大規模の私立大学であり、日本学部も有します。

あと、「陸の孤島」こと「ビンホームズ・グランドパーク (Vinhomes Grand Park)」の最寄り駅です…一応。それでも車やバイクで20分くらいかかる距離なので、訪れるだけなら中心部から無料バスに乗車する方が良い気もする。
【L1-13】国家大学駅 (Ga Đại học Quốc Gia)

「ベトナム国家大学ホーチミン市校 (VNUHCM)」の広大なキャンパスへのアクセス駅。駅北側の敷地内には複数の大学が含まれており、学生街の雰囲気が感じられそう。学生向けの安価な飲食店や商店が集まるエリアがあるらしく、いつか散策してみたいものですが、駅からはかなり距離がありそうです。

…が、観光客的に訪れるべきはこちらの一択、「スオイティエン公園 (Khu Du lịch Văn hóa Suối Tiên)」。大規模な遊園地であり、べトナムの歴史や伝説、仏教などをテーマにしたそのさまはまさに世界奇怪遺産。この駅…どころか9区はスオイティエン公園だけでお釣りが来るレベル。訪れる際は、熱中症にならないようこまめに水分補給を行いましょう(日陰が少ないため)。
【L1-14】スオイティエンバスターミナル駅 (Ga Bến xe Suối Tiên)

旅の終わり、そして始まり。スオイティエンバスターミナル駅です。

メトロ1号線の終点であり、2020年に開業した「新東部バスターミナル (Bến xe Miền Đông mới)」と接続します。メトロでここまで来て、バスで更に移動する…という構想みたいですね。住所はホーチミン市(トゥードゥック市)を飛び越え、ビンズオン省ディーアン市 (Dĩ An, Bình Dương)。

バスターミナルを覗いてみると…。運用自体はされているものの、フル活用されているとはまだ言えない状況。

将来的には、ビンズオン省で計画されている「ビンズオン都市鉄道」と接続します。…が、いつになることやら。
(無理やり)まとめ
いかがでしたか????(圧)
在住者ならいざ知らず、観光客にとってホーチミンメトロ1号線をフル活用することは現状難しい気がします。とは言え、人気が高まるタオディエンエリアに市内中心部からアクセスしやすくなったのは良いですね。
今回ご紹介できたのはほんの一部。各駅の周辺には、まだまだ隠れた名店や面白い発見がたくさんあるはずです。ぜひメトロに乗って、あなただけのホーチミン市を見つけてみてくださいネッ!…と、強引に締めてみる。