生きる化石こと「カブトガニ」と、そのメカニカルな見た目で近年人気の「ダイオウグソクムシ」。食べたらどんな味がするか…気になりますよね?
日本では、カブトガニは天然記念物のため食用に供すること能(あた)わず(※岡山など一部地域を除く)。ダイオウグソクムシについては、日本固有種・オオグソクムシであれば食べられる場所および機会はあるっぽい。
ですが、ベトナムなら両方とも、それも圧倒的に低いハードルのもと食べられちゃいます。まあ、決してポピュラーな食材では無いのだけど。
そんなわけで、今回はホーチミン市旧10区のグルメストリート「ホーティーキー市場」にて、深海よりの使者を喰らってきたのです。
カブトガニ&ダイオウグソクムシ探し

ホーティーキー市場。生花市場として有名ですが、夕方以降になるとストリートフードの屋台が一斉に並び、活気を見せる場所に変わります。我々が市場に到着したのは18時頃でした。市場自体の紹介は過去記事をご参照ください。

◆この男(達)の目的は…!?この日はちょうど激しい雨が断続的に降っていたのですが、まさかの雨天強行。おかげでさほど混み合っていなかったのですが、それでも外国人の団体をあちこちで見かけました。欧米人向けのバイクツアーがあるみたいですね。

お目当てのグソクムシとカブトガニを陳列している海鮮レストランがあればそこに入ろうと思っていたのですが、早速入口近くの屋台「Hải Sản Bình Dân」で取り扱っているのを確認。価格も明朗かつ想定よりは安かったので、ここに決めました。
カブトガニとグソクムシを観察

設置された多段式の生け簀には、新鮮なロブスターやエビ、カニが並びますが、その中でも一際目を引くのがカブトガニ。重なり合うようにして動いていておる。

小ぶりのものは1匹15万ドン(約900円)、大きなものは1匹45万ドン(約2,700円)とのこと。かなり開きがあるな…。今回は小サイズのものを注文することに。


生け簀から持ち上げて見せてくれるお兄さん。サービス精神ばっちり。
ちなみに、カブトガニによく似たマルオカブトガニという生物がおりまして、稀に混入することがあるらしい。マルオカブトガニはフグと同じような猛毒を持っているため、現地でも食中毒の報道が時折なされます。食べるのも命懸けである。

そしてそして、その生け簀の脇にある氷の上に並べられていたのがダイオウグソクムシ。ベトナム語ではBọ biển、直訳すると海の虫。分かっていたとしてもかなりのインパクトがありますな…。こちらは時価で、小サイズは30万ドン、大サイズは40万ドンとのこと。まあ、実際の値段は違ったのだけど…(※後述)。

勿論、普通のシーフードメニューもあるのでご安心を。と、言いつつメニューの1ページ目からダイオウグソクムシだけど。
実食(してしまった)

そんなわけで最初に運ばれてきたのは、カブトガニの葱油焼きです。価格は前述の通り15万ドン。

名前にカニとついていますが、実際にはクモやサソリに近い分類の生物。そのため、一般的なカニのようにハサミや脚の身を食べるのではなく、甲羅に詰まった卵を食べるのが主。…自分で書いててぞわっとしてきたわよ。
なお、当然ながらオスのカブトガニに卵はないので、その場合はマヂで可食部がありません。汁を飲むくらい…?

スプーンで中の卵をすくい上げて口に運ぶと…う、うーん、何とも微妙。食感は、水分が少なめでホロホロとした、硬めの弾力がある。味は、何だかケミカルな苦み。同行者の一部からは「絵の具の味」「絵の具を洗ったバケツの味」という意見も。ちょっとよく分からない
ただ、何だかんだで、ベトナムの定番調味料である葱油、そして砕きピーナッツがたっぷりと敷き詰められていることもあって、割と味は誤魔化されます。

続いて、本日の主役であるダイオウグソクムシ。今回は2つの味付けでお願いしました。なお、金額は35万ドン/匹。…あれ、5万ドン高いけど調理費込み?ままええわ。

ということでご対面。1つ目は葱油焼きです。甲羅の内側には…意外にも真っ白で肉厚な身が!

食感はふわふわと柔らかく、ちょっと水っぽい白身魚、あるいはエビやカニのような感じ。「海の掃除屋」と呼ばれるくらいの雑食さんなので、てっきり泥臭さや臭みがあると思ったのですが…何とも上品な甘み&旨味。
いやはや、完全に裏切られた感覚。これは食べてみないと分からないです。ダイオウグソクムシ食べてない在住者、ガチで危機感持った方がいいと思うよ…みたいな謎マウントの一つでも取りたくなってきます。

2つ目は、チーズ焼きです。グソクムシの身を覆うチーズがお布団みたいで可愛いね♡葱油焼きと比べるとビジュアルから受ける忌避感は控えめか…?
ただまあ、ベトナムの海鮮屋台ではよくある、甘みの強いチープなチーズソースであるが故に、グソクムシの味が全て上書きされてしまっている。「ダイオウグソクムシを食べるときはシンプルな味付けの方が良い」…また、不要な知識が増えてしまった。

丸くなるグソクムシくん。冒涜!こう見るとちゃんと虫だな…。

カブトガニ vs ダイオウグソクムシの異種対決。
普通の海鮮メニュー

あ、普通に海鮮も食べました。まずは「マテ貝と空芯菜の炒め物(Ốc móng tay xào rau muống)」です。価格は5万ドン(約300円)です。コリコリとしたマテ貝と、シャキシャキ感を残したまま炒められた空芯菜のバランスが絶妙。

「ハマグリのレモングラス蒸し(Nghêu hấp sả)」も5万ドン。レモングラスの清涼感ある香りと唐辛子のシャープな辛みが効いたスープは、濃厚な貝出汁が凝縮。砂抜きが甘かったのは御愛嬌。

さらに、エビのガーリック焼き(Tôm Sú)を2皿注文しました(1皿10万ドン)。皮ごと食べられるくらいにカラッと揚がったエビであり、フライドガーリックのパンチのある風味がビールの進む味に仕上がっています。結局、一番美味しかったのがコレ。

海鮮メニューに混ざって異彩を放っていたのが、牛骨髄のグリル(Tuỷ Bò nướng)。こちらは14万ドン(約840円)でした。
縦に割られた大きな牛骨がそのままグリルされており、中央の骨髄部分が熱でとろとろに溶けています。これをスプーンですくって食べると、口の中で濃厚な牛の脂が一気に広がります。脂を飲んでいるかのようだ…。
まとめ。在住者は食べるべし?

8人で飲み食いして、お会計は1,455,000ドン。
こういう、モロに観光地の海鮮屋台ってぼったくりで鮮度も怪しいものだと思っていたのですが、ちゃんと美味しくて良かった。お店の人も親切だし、外国人観光客が多いという場所柄、英語でのコミュニケーションも可能なのでハードルは低いです。
基本明朗会計ではありましたが、生け簀の価格が「1匹単位」なのか「1kg単位」なのかだけは注意が必要ですね。
何にせよ、皆さんもホーチミン市の夜に少し刺激的な冒険をしたくなったら、是非このディープな海鮮の世界を体験してみては。こういうのはチャンスがあるときに食べておかないとね。

最後に、食後のテーブル。このグループ、碌なもの食ってないな…。


