ホーチミン市中心部の1区から約7kmの距離に位置する11区。
11区はチョロン(中華街)を有する5区・6区に隣接することから、華人系の人々も多く暮らす地域であり、中華料理店が並ぶ多くの通りがあります。
なぜ11区を取り上げるのかというと、「Gà ác tiềm thuốc bắc」という料理に興味を持ったため。「ác=悪」という意味があるので、直訳すると「邪悪なチキンの漢方煮込み」となってしまうのですが、別に悪魔の食べ物というわけではなく、そういう名前の品種の鶏がベトナムには居るのです。
「Gà ác tiềm thuốc bắc」は黒い烏骨鶏の一種を漢方薬で煮込んだ、良くも悪くもインパクト大の料理ですが、その見た目に反して味は優しく栄養もたっぷり。そんな邪悪なチキンを食べに11区まで行ってきたのです。
本記事ではホーチミン市11区の中華料理レストラン「Gà tiềm Chấn Phát」をご紹介します。
「Gà tiềm Chấn Phát」の場所・雰囲気
14番のバスに乗って、11区・バータンハイ (3 Tháng 2) 通りで下車しました。3区と10区を結ぶラウンドアバウト(民主広場)からはるばる伸びる通りです。
そこからさらに10分ほど歩いてやって来たのはファンシックロン (Phan Xích Long) 通り。「ファンシックロン」と言えば、日本食店が多く軒を連ねるフーニャン区・ファンシックロン通りが在住者的には馴染み深いと思うのですが、同名の通りが11区にもあるのですね。
そんな「じゃない方」のファンシックロン通り。「グルメ通り」として整備されたフーニャン区の同名の通りと比べると一見地味に見えますが、こちらはこちらで中華料理店が立ち並んでいて、もしかしたら隠れた美食通りなのかもしれない。
今回お目当ての「Gà tiềm Chấn Phát」はこちら。
もっと小ぢんまりとした食堂を想像していたけど、意外と席数は多かった。よくあるローカルレストランの様相ですが、清潔さは保たれています(店内にバイクが駐輪されていることからは目を背けつつ)。
「邪悪なチキン」を実食する
メニューはしっかり作られており、レストランのそれ。40万ドンをゆうに超える高級料理もあり、幅が広い。「豚の脳のスープ (Súp óc heo)」など、日本人の感覚からしたらちょっと驚いてしまうものも。
一方で普通のメニューもあります。このお粥やチャーハン、美味しそうね。
「Gà ác tiềm thuốc bắc」65,000ドン。鶏さんを丸々煮込んだ料理であるものの、比較的小さめの品種の鶏ということもあり、一人でも食べ切れる量なのが嬉しい。
真っ黒な肉に真っ黒なスープのインパクトがすごい。箸で持ち上げると(当然ながら)ずっしりと重い。どうやって食べてやろうか…
少しずつ身を取っていただきましょう。食べてみると…
ん、美味しい!肉はぷりぷりで弾力があり、新鮮であることが分かります。味も、漢方煮込みということで癖があるのかと思っていましたが、ほのかに酸味がありコクのある、黒酢のような味でした。これ、好きです。
あと、小骨が多いので、間違えて飲み込むことは無いと思いますが一応注意を。
軟骨はホロホロ。じっくり煮込んだからこその柔らかさです。
レモンを絞ると味が締まります。ところでベトナムのローカル食堂で黄色いレモンが出てくるの、珍しいな…。
いよいよお頭とご対面。安らかな顔をしていらっしゃる…
ちなみに、保険として無難なメニューも注文していました。「Há cảo」30,000ドンです。鶏の煮込みが普通に美味しかったので、結局保険は不要だったのだけど。
海老と豚肉がみちみちに詰まった蒸し餃子。ちょっと独特の味。
頭の部分を除いて、身や皮などの食べられる部分は完食しました。ごちそうさまでした。命をありがとう…
まとめ&「Gà tiềm Chấn Phát」の店舗情報
ホーチミン市11区の中華料理レストラン「Gà tiềm Chấn Phát」をご紹介しました。
鶏肉の漢方煮込みは、その見た目のインパクトに反して癖が少なく、食べやすいお味。一人でも完食できるちょうど良いサイズであり、なにより疲労に悩む人はこれを食べたら元気になること間違いなし(←薬事法違反)!次は豚の脳のスープ…にチャレンジする?
ちなみにベトナム人の友人に「Gà ác tiềm thuốc bắc」を食べたよと言ったところ、何故か褒められてしまい、自己肯定感が上がったことをご報告いたします。