ベトナム北部ハノイの名物料理として名高い「チャーカー (Chả Cá )」。
ターメリックやガランガルといったスパイスで丁寧にマリネした白身魚(ラン魚)を、卓上に用意されたフライパンを使い、たっぷりの油とディルやネギなどの新鮮なハーブと一緒にその場で炒めて仕上げる一品。米粉の細麺であるブンや、香ばしいローストピーナッツを合わせ、ベトナムの発酵エビペースト「マムトム」に絡めて食べるのが一般的なスタイルです。
発祥は「チャーカーラヴォン (Chả cá Lã Vọng)」というお店ですが、こちらの料理を提供するお店は他にも数多く存在します。そのひとつが「Chả Cá Đế Vương」。ベトナムで著名なMC(らしい)がオーナーであるこちらのお店、ハノイだけではなくホーチミン市内の中心部にも複数の店舗を展開しています。
本記事では、「Chả Cá Đế Vương」のホーチミン市旧3区・Kỳ Đồng店をご紹介します。
「Chả Cá Đế Vương」Kỳ Đồng店

やって来ました、ホーチミン市旧3区(現ニエウロック (Nhiêu Lộc) 街区)・キードン (Kỳ Đồng) 通り。夜にこちらを訪れると、「Chả Cá Đế Vương」の外観は一際存在感を放ちます。無数に施された電飾が煌びやかですね。

通されたのは3階の座席。壁面は温かみのあるマスタードイエロー、天井からは竹編みのランプシェードなどなど、古き良きハノイの情緒を意識したであろう、レトロモダンな空間です。


テーブルは既にセッティング済み。料理を仕上げるための白い卓上コンロもあります。
「Chả Cá Đế Vương」のメニュー

「Chả Cá Đế Vương」のメニューはこちら。ベトナム語・英語併記であり、イメージ写真もあるので何となくわかる…かな?掲載価格はすべて付加価値税であるVATが除外された表記です。
単品メニューに目を向けると、主役のチャーカー「Chả cá Đế Vương」は「1」から「3」までバリエーションがあり、ランクに応じて具材が変わる感じ?価格は159,000ドンから239,000ドンの範囲に設定されています。メインはラン魚が主に選ばれていますが、追加具材として「Cá tầm(チョウザメ )」も用意されているのがユニーク。なお、使用されるラン魚は、肉質が引き締まり適度な脂が乗った3キログラム以上の新鮮な個体を厳選して仕入れているとか。
その他、魚の胃袋の炒め物やお粥、タケノコの酸味を効かせたラン魚の鍋といった、魚のポテンシャルを活かした専門店ならではのラインナップ。サイドディッシュには魚の皮のサラダ、魚の揚げ春巻き、魚のソーセージなどがあり、様々なアプローチで魚の味わいを堪能できそう。
デザートにはポメロを使った甘味であるチェーや豆腐プリン、ドリンク類も各種フレッシュジュースやビールのほか、ハノイのウォッカや何故かチョーヤ梅酒まで幅広く揃っていました。

複数での食事の際に適したコンボメニューも充実。2人向け、3人向け、4から5人向けといった利用人数に合わせた全8種類のセットが用意されています。
実食

今回注文したのは、「Chả cá Đế Vương 2」189,000ドンに「Bao tử cá」159,000ドンをトッピング。調理は客側でやらないといけないみたい。

ということで同行者が全部やってくれました。山盛りのディルとネギを加熱するにつれて、フライパン全体から食欲をそそるスパイスとハーブの芳香が立ち上り始めます。

う、マムトム…。苦手なんだけど、思い返すとただの食わず嫌いなんだよね。ということで今回チャレンジします。

別途用意されたクムクワット(金柑)を絞りよく混ぜ合わせ、一口舐めてみると…あれ、美味しいじゃん!イカの塩辛の味だ。たまたまこの店のマムトムが特別美味しかったからなのか、どのマムトムでも食べられるようになったのかどうかは現状不明。

すべてが整ったら、個別のお椀に盛ったブンの上に、フライパンからラン魚、魚の胃袋、油の旨味を吸ったディルとネギを移します。その上にローストピーナッツを適量振りかけ、先ほど準備したマムトムのソースを回しかけて、完成!

口に運ぶと…うんまい!なんといってもラン魚の質感と旨味。肉厚な身はふっくらと柔らかで、噛みしめるたびに脂の甘みが広がります。川魚にありがちな泥臭さもありません。
そこに合わさる魚の胃袋の、コリコリプリプリとした歯応えが楽しい。こちらも臭みやクセはありません。
そんでもって、ライムの酸味で角が取れたマムトムの塩気&コクが、ブンやピーナッツとなんとも複雑に絡み合い、力強くも繊細な味わいの調和に。

追いディル。ディルは南部料理では見ない食材ですが、この爽やかなほろ苦さがいいのよ。

初チャーカーでしたが、ローカルフードとしては少々お高めではあるものの、クオリティを考えれば納得。おすすめの一軒ですわよ。

