在住者・旅行者ともに、日本人的には殆ど用が無いであろうホーチミン市8区。
「ノミヤCafé」に行くついでに、何か食べて帰ろうとベトナム語のサイトを調べていたところ、「Bún Riêu Bạch Tuộc」がおすすめされていました。
「Bún Riêu(ブンリュウ / ブンリエウ / ブンジウ)」とは、ベトナムの麺料理の一種で、トマトで作ったほんのり酸っぱいスープに、ブン(細く丸い米麺)を入れたもの。「Bạch Tuộc(バックトゥオック)」とはタコのことです。
カニのすり身を入れる「ブンリュウクア」や、魚をトッピングした「ブンリュウカー」は食べたことがあったのですが、タコを入れるブンリュウは初めて見ました。11区にタコ料理専門店があるくらい、ベトナムはタコも美味しいのです。これは気になる!
お店は市場「Chợ Rạch Ông」の敷地内
ホーチミン市8区の東部、グエンティタン (Nguyễn Thị Tần) 通り沿いにある市場「Chợ Rạch Ông(ラックオン市場)」にやって来ました。お目当ての店は、こちらの敷地内にあります。
普段の生活ではほとんど縁が無いローカル市場。旅行先くらいでしか訪れない場所をずかずかと進んでいきます。
お店はこちら。「Canh Bún – Bún Riêu Bạch Tuộc」とあります。扱う料理名をそのまま店名にしてしまうのはローカルの食堂あるあるですね。デリバリーも対応しているらしく、ShopeeFoodでの店名は「Chị Thủy(チ・トゥイ)」となっていました。日本語にすると「トゥイ姉さん」って感じかしらね。
味付きのタコがワゴンにディスプレイされていますよ。肢体をでろんと投げ出したような様が何とも淫靡ですね(せやろか)。
ゴミ箱は無く、皆地面にゴミを捨てています。ゴミが溜まったら店員さんが箒で掃除。地方(クイニョン)へ旅行したときはこのような光景を見たことがあったのですが、ホーチミン市では初めて。てっきり都会ではローカル食堂とてゴミ箱にゴミを捨てる文化が根付いているものだと思っていたのですが、そんなことなかったよ!
いやー、ちょっとキツイな…。
「あーし、ローカル食堂とか全然行けちゃうんだよね~」というギャルマインドで居たつもりだったのですが、何だかんだ自分って潔癖だったんだなーと気付かされました。何というか、「衛生面で許せるライン」をゆうに飛び越えていた。
そうこうしている間にも、隣の席のオッサンが、食事に使ったであろうスプーンを小鉢に突っ込んで刻み唐辛子を取っていたのを見て(備え付けの取り分け用スプーンもあるのに!)、卓上の調味料は絶対に使うまいと決意。
お店のメニューはこちら
「Canh Bún – Bún Riêu Bạch Tuộc」のメニュー。見方があんまり分からない。注文のとき、ベトナム語で何か質問されたのですがよく分からず、とりあえずふんふん頷いておきました。多分、注文失敗してる気がする。
様々なハードルを越え、絶品タコに多幸感
着丼。とにかく具沢山のブンリュウで、これは美味しそう!
具材は、豚の骨付き肉に、豚の皮に、揚げ豆腐に、カニのすり身に、練り物に、豚の血のゼリーに…。あれ?タコが入ってない!
はい、やはり注文時にミスコミュニケーションが発生していました。「Thêm bạch tuộc(追加のタコください)」とオーダーして、何とかタコにありつけました。「タコのブンリュウ」を食べることが今回の主目的だからね!
まずは麺(ブン)をズズっと…。わ、これは熱々。ベトナムの麺料理でここまで熱々なのってあんまり無いんじゃないか。出来立て感があって美味しい。
スープもねー、トマトのグルタミン酸に加え、海鮮出汁や動物性の出汁が複雑に混ざり合い旨味の暴力!それでいて後味はさっぱりとした酸味で、いくらでも飲み進められてしまう。これ、スープの仕込みは相当手間が掛かっているのではなかろうか。
そんなスープが染みた厚揚げだって最高です。噛みしめると、じゅわっと広がるスープ。
そして何といってもタコです。これがもう本当に、最の高である…!
肉厚のぶつ切りタコですが、とにかく「むっちり」と柔らかい。かと思えば、「サクッ」とした歯応えを感じる部分や、コリコリした部分もあり、とにかく多様な食感を持つタコです。タコそのものの旨味も感じられるため、きっと新鮮なタコを使って上手く仕込んでいるのでしょう。タコ自体の素材の良さでガンガン殴ってくるような感じ。
骨付き肉も、ジューシーで美味です。歯で刮(こそ)げば、ほろほろっと骨から肉が外れます。ベトナムに来てから「骨の周りの肉が一番美味しい」ということを実感しています。
ごちそうさまでした。あ、豚の血のゼリーはごめんなさい、半分だけ食べてあとは残しました…。食べられないことは無いのですが、ニュースで「豚の血のスープを食べてブタレンサ球菌に感染した」みたいな話を見てから、あまり食べる気がしなくてね…。もちろん、豚の血のゼリーは充分に加熱されていれば安全なのだけど。(感染症にかかるのは、生の血を食べていることが原因)
ちなみに、会計は60,000ドンでした。結局、自分が注文したのがどのメニューなのかはよく分からなかったな…。中心部から離れたローカル食堂であることを考えると強気な値段に思えるかもしれませんが、旨味が複雑に絡み合うスープと絶品タコに見合う価格です!
「Canh Bún – Bún Riêu Bạch Tuộc」の店舗情報
ホーチミン市8区「Chợ Rạch Ông(ラックオン市場)」内のお店「Canh Bún – Bún Riêu Bạch Tuộc」をご紹介しました。
中心部から場所も遠ければ、慣れていない人には衛生面もキツイ…ということで、色々とハードルの高い店ではありますが、それでもぶつ切り&厚切りのタコは極上でした。興味のある方は是非お試しください。私は…もう行かないかなあ~…どうだろう。
喉が渇いたので、市場内で「Nước mía(ヌックミア / サトウキビジュース)」を飲みました…が、これが1杯15,000ドン。ホーチミン市内中心部と同じ値段じゃん!ぼったくられては無いとは思うのですが、てっきりこのエリアなら1杯1万ドンだと思ってたよ。