2023年11月に開業したばかりの、バンコクMRT(都市鉄道)ピンクライン。ノンタブリー県・ノンタブリーシビックセンター (Nonthaburi Civic Center) 駅を起点として、バンコクの北部を走りつつ東部・ミンブリー (Min Buri) 駅に至る路線です。
路線図を見ていると、あえて観光客が乗る用事は無さそうな路線ではありますが、むしろそういうところにタイリピーター向けの穴場スポットがあるのでは!?と考えました。
そんなわけで、1日MRTピンクラインを乗り倒して見つけた素敵なスポットを紹介させてください。…3駅しか回ってないけど。
厳かな一級寺院「ワット・プラシーマハタート」
まず訪れたのは、ワット・プラシーマハタート (Wat Phra Sri Mahathat) 駅。BTS(高架鉄道)スクンビット線との接続駅です。
なお、ピンクラインはBTSと運営会社が同じであるため、BTSが発行するタイ版Suica「Rabbit Card(ラビットカード)」がそのまま利用可能。これがMRTブルーライン・パープルラインでは使用不可となります。ややこしい!
…なお、記事の意図的には起点のノンタブリーシビックセンター駅(パープルラインとの接続駅)から乗車すべきであったところ、横着してBTSで直接こちらの駅まで乗り付けたことをここに懺悔します。
さて、駅名にある「ワット」はタイ語で寺院の意。この近辺にある寺院の名前がそのまま駅名になっているようです(と、いっても2020年にBTSの駅として開業していたのだけど)。
駅の高架から見える、まるで神殿のような建造物。プラナコーン・ラチャパット大学という、教員養成のための師範学校が前身である大学…の施設であるようです。
ちなみに、大学の公式サイトを見てみたところ、まさかのいらすとや素材が使用されていたことをご報告します。世界に羽ばたくいらすとや。
そしてこちらが、駅名にもある寺院「ワット・プラシーマハタート (วัดพระศรีมหาธาตุ)」。タイにおいては「一級寺院」という区分に指定されており、重要な寺院の1つであるとのこと。
そういえばサイアム駅で、南アジア系っぽい人に「この電車はワット・プラシーマハタートまで行くのか?」と英語で尋ねられたため、外国からの仏教徒にとっても是非訪れたい場所のよう。現在のパキスタンで発見された仏舎利が祀られているらしいので、もしかしたらそれと関係しているのかもしれませんな。
円形に囲まれるようにしてそびえ立つ、白い仏塔が見どころです。平日でしたが、中では沢山の人がお祈りをしていました。
仏塔の裏にある、荘厳な雰囲気漂う僧房。
寺院の傍らには緑が広がり、池の中心には仏教の聖樹である菩提樹が聳え立ちます。
橋を渡った先、菩提樹の下には仏像が。仏陀が菩提樹の下で悟りを開いたことになぞらえているのかもしれません。対岸から多くの人がお祈りを捧げています。
ハトの数が多すぎる。タンブン(喜捨)の一貫で魚に餌をあげている人が多いので、そのお溢れを狙っているのか…?
二つのショッピングモールが連結!「Fashion Island」&「The Promenade」
それでは次の駅に向かいます。それにしてもピンクラインの車両、かっこいい。開放的で未来の電車ってカンジ。
続いてやって来たのは、ウォンウィアン・ラムイントラ (Outer Ring Road – Ram Inthra) 駅。カンナーヤーオ区に所在する駅であり、ラムイントラ通りとカンチャナピセーク通りの交差点上に位置します。
こちらの駅周辺で訪れるべきスポットは、大型ショッピングモール「Fashion Island(ファッション・アイランド)」。総店舗面積は350,000㎡で、世界のショッピングモール大きさランキングの29位…だそうです(ソースはWikipedia)。まあ、それ以上に大きいショッピングモールがバンコクに複数あるのだけど。
さらに、隣にあるショッピングモール「The Promenade(ザ・プロムナード)」とも連結しています。二つ合わせると一日遊び倒せるくらいの広さですね。
…そもそも、バンコクはショッピングモール多すぎというか、こんなに乱立させて採算が取れるものなのだろうか。イオンモールみたいなもので、この手の庶民〜中流層向けモールの差別化って難しいだろうし。
モールに入ってみるとこんな感じ。1995年開業ということで、オープンから結構時間が経っているため、中心部の煌びやかなモールと比較すると少し地味に感じてしまうかも。
…まあ、前日にアイコンサイアムを訪れたせいで、感覚が麻痺している可能性があるけども。
それでも「駅」をイメージしたであろう内装はなかなか豪華。今は中央駅の地位から退いた、国鉄フアランポーン駅を思わせるドーム状のデザインが特徴です。
なんとなく、横浜のワールドポーターズを思い出す雰囲気ですね。
せっかくだからベトナムに無いチェーン店へ、ということで「やよい軒」で遅めの昼食。味噌カツ煮膳、美味です。
注文用のタブレットは日本語対応…なのですが、ガバガバ日本語を見て日本本社はもう関わっていないであろうことを察する。
縦書き\オタク/すき。
こちらはガジェットコーナー。ベトナムよりも実店舗での選択肢が多くて羨ましい。
隊長(誰?)!DON DON DONKI(ドン・キホーテ)を発見しました!バンコクで店舗数を増やしているのは知っていましたが、てっきり中心部だけだと思っていたので、郊外にも出店網を広げていたとは驚き。
「The Promenade(ザ・プロムナード)」の方にも行ってみます。Fashion Islandとの間に通路があり、直接行き来が可能。
こちらは2012年オープンということで、比較的新しいモールですね。ただ、入っているお店の殆どは、飲食店か女性向けの服飾店。レストランの選択肢には困らないかも。
こういうドーム状の構造見ると絶対写真撮っちゃう。
気になったタイローカルの日本食レストラン「一人しゃぶ」。「Shabushi(しゃぶし)」のような一人鍋のお店は既にありますが(というかベトナムにも「Kichi-Kichi」がある)、それを本格・高級路線に落とし込んだ、という点で興味深い。一人鍋文化の土壌自体はできていますもんね。
あと、The Promenadeのトイレはウォシュレット完備であったことをご報告します。うお〜、TOTO〜、TOTO〜(心の中のTOTOファンによる叫び)。
地元民に混ざって楽しもう「リアップドゥアン・ナイトマーケット」
気が付けば日が西に傾く頃。ウォンウィアン・ラムイントラ駅から引き返して、ワッチャラポン (Vatcharaphol) 駅までやって来ました。バーンケーン区に位置する駅です。
…まーじーで、駅前には何もありませんが、気を強く持って10分ほど歩きます。
目的地に到着しました!「リアップドゥアン・ナイトマーケット (Liab Duan Night Market / ตลาดเรียบด่วน)」です。こういう、地元民に愛される夜市こそバンコクリピーター向けですよね。
それにしてもだだっ広い駐車場。早速行ってみましょう。
まずは、雨が降っても安心な屋根あり屋内ゾーン。屋台からレストランまで多くの飲食店があります。「全品20バーツ」をアピールするレストランも。
外国人は殆ど居らず、メニュー表記は大抵タイ語のみ。値段は大体の店で明記されているので、指差しで「アオアンニー(これください)」が言えたら何とかなるかと。
トイレはありますが、有料。3バーツです。
屋外スペースは服飾雑貨類の屋台が中心。この時点ではまだ準備中みたい。ところで中央のクリスマスツリーは年中設置されているのかい…?
11周年…だそうです。2013年オープンということ?
聳えるトランスフォーマー。「なんで?」感は否めない。
怪しいタグのついた靴下。「無印直角靴下」であり、「無印良品」とも「MUJI」とも謳っていないのでセーフ!
それでは夕食。まずはこちらのお店で牡蠣の揚げ焼きオムレツ「ホイトート」を頂こうかしら。
ホイトート、90バーツ。揚げ焼きというか、完全に「揚げ」です。ガリッガリ。塩胡椒がたっぷりかかっていて、これにチリソースもかけると滅茶苦茶ジャンキー味。
スイカスムージー「テンモーパン」。…唯一タイ語の名称を知っているスムージーがテンモーパンだけなので、こればっかり注文してしまう。
それにしても35バーツって安い!アイコンサイアムのストリートフードエリアで売ってたスムージー、80バーツとかだったよ。それを言ったら空港では180バーツだったのだけど。
タイのみならずベトナムでも、見かける度にスルーしていた屋台のスシ…今日、チャレンジしちゃっても良いですか?「旨みすし カオホム」だそうです。
綺麗に並べられた寿司。安いものであれば10バーツ以下のネタもあります。やけにサーモンのバリエーションが多い、タイあるある。
4貫取って、70バーツだったかな。醤油とわさびも付いてきます。
水は、こちらの売店で10バーツで販売しています。アオナームノーイカッ(水ください)。
それではいただきます。こんなに水っぽい練りわさび、初めて見た。
食べてみると…ワハハ!思わず笑みが溢れます。まず、シャリは酢飯ではなくただの白米。そして、シャリが四角い。多分、ご飯を何らかの型に押し込んで成型しているものと思われます。
つまりはただの四角いおにぎりの生魚乗せですが、その分低価格にできるし、大量生産も容易だから、これはこれで良いのかも。握りたてだったのでネタの鮮度も悪くありません。
日が落ちるにつれ、平日ではありますが、徐々に人が増えて活気づいてきました。この辺りに住む人はここを普段遣いしているのかな。
平行世界の自分に思いを馳せてみた
そんな感じで、1日、バンコクのMRTピンクライン沿線で過ごしてみました。
…全然旅行客っぽくない1日でしたが、むしろ結果として「ベトナムではなく、タイで就職して生活する、ありえた別の世界の自分」を体験できた気がする。
帰りはワット・プラシーマハタート駅まで戻り、BTSに乗り換えてホテルに帰りました。ピンクラインの駅舎がピンクの光でライトアップされていたよ。