時折無性に恋しくなる日本の居酒屋。しかし、本格的な日本食レストランに行くとどうしても気になるのがお会計。一方、ローカル日本食屋は、あれはあれで良いものですが居酒屋を求めると「コレジャナイ」となりがちだし、そもそも居酒屋にしては閉店時間が早い。
そんな折、旧ビンタイン区の学生街に日系居酒屋がオープンしました。本店は日本人街のレタントン通りにあるということで「お高いんでしょう…?」と穿ってしまいましたが、イヤイヤ、ローカルエリアに出店するだけあってその辺りも配慮されています。
本記事では、旧ビンタイン区(現タインミータイ街区)の居酒屋レストラン「UTAGE Yokocho」をご紹介します。
「UTAGE Yokocho」の場所・雰囲気

何回来るねん、という感じですが、旧ビンタイン区のグエンザーチー (Nguyễn Gia Trí) 通りにやって来ました。近くに大学があることから、安くて美味しい飲食店やカフェ、ファッションショップがひしめき合う、ホーチミン市屈指の若者街です。日本人的には、「松屋」2号店、「JAPADOG」、「ラーメンきむら」2号店などもこの辺り。

夜になるとバイクの波が押し寄せ、凄まじい熱気に包まれるこの通り。歩道はサイゴンっ子の小腹を満たすスナックやミルクティー屋台で溢れかえります。その一角に、ひときわ明るい光を放つお店が。

こちらが「UTAGE Yokocho」。レタントンエリアにある1号店「Izakaya UTAGE」に続く2号店です。

目に飛び込んでくるのは、軒先にずらりと吊るされた無数の赤提灯。そして、五角形の大きな看板に力強く書かれた「宴」の文字。日本人街ではないエリアということもあり、近隣のビルとの不思議なコントラストを生み出しています。

店頭の電飾看板には、「寿司9,000ドン」「串9,000ドン」「ラーメン89,000ドン」など驚きの数字。お店は通りに対してフルオープンな造りになっており開放的です。吸い込まれるように入店してしまったわ?

ということで店内。ただ日本のレトロを意識しただけでなく、ベトナムのローカル感とうまく融合した「ネオ居酒屋」的な遊び心が満載です。テーブルの土台がビールケースで作られており、プラスチックのチープな質感が横丁スタイルにはぴったり。

奥には靴を脱いで上がる小上がりタイプのボックス席も。お子様連れのご家族でも使いやすそうです。

ちなみに注文は卓上のQRコードをスマホで読み込むスタイル。あと、日系のお店というだけあって、日本語をお話しになる店員さんも何名か居ます。
「UTAGE Yokocho」のメニュー








メニューはGoogleマップから確認可能(公式サイトのメニューPDF間違ってますよと伝えたい)。1号店のメニューを公式サイトから確認できたのですが、それと比べると圧倒的に安くてカジュアルです。場所代やターゲット層の違いからか、こちらの店舗の方が安く設定されているのかも。
- 醤油ラーメン: 1号店 129k → 2号店 89k
- 鶏の唐揚げ: 1号店 89k → 2号店 69k
- 串盛り合わせ: 1号店 189k → 2号店 149k
「寿司1貫 9,000ドン〜」「串焼き 9,000ドン〜」といった激安メニューが見られるのも特徴。安く飲みたい日は2号店で決まりじゃよ。
実食
というわけでここから実食。

「Trà tắc xí muội(ゆず梅干しティー)」39,000ドン。 金柑(タック)の爽やかな香りと、塩漬けプラムのしょっぱさがクセになります。甘じょっぱい味が好きな人にはぜひ試してほしい一杯。もう1杯は「Trà sâm mũ trôm(砂糖きび茶)」39,000ドン。

「宴串盛り (10種類)」149,000ドン。串盛り、それも10種類も乗ってこの価格は破格!もも、皮、砂肝といった定番はもちろん、うずらの卵やソーセージなど、バラエティ豊かです。特に何も伝えなかったところ、タレで提供されました。
炭火の香ばしい香りと、甘辛いタレが食欲をそそります。1本あたり約15,000ドンと格安ですが、素材のクオリティも良し。
ただ、この後出てくるお料理全般に言えることですが、全体的に薄味の仕上がり。ローカルエリアへの出店ということで、ベトナム人にとってしょっぱいと思われる味付けは避けているのかも。レタントン本店とレシピを変えているのかどうか、気になるところです。
とは言え、決して淡白というわけではなく、つまみとしては十分しっかりした味付けであることはお伝えしたいと思います。

スピードメニュー「叩ききゅうり(39,000ドン)」。ごま油の風味が効いたうま塩あじ。乱切りにして叩くことで味がしっかり染みており、料理の合間の箸休めとして良い仕事をしてくれます。

「ポテトサラダ(49,000ドン)」。とろっとろの半熟卵が添えられておりビジュアル優勝。ポテサラ自体は、コクよりも酸味を押し出した、ちょっと意外な感じの味付けで好みでした。

「焼き餃子(59,000ドン)」。羽根付きの本格派です。パリパリというよりはしっとりした食感で、モチモチ感を重視した感じの仕上がり。噛むと肉汁が溢れます。低価格にもかかわらず高クオリティ!

「とん平焼き(89,000ドン)」。あえてお好み焼きを外してのチョイス。大阪の鉄板焼きの定番であり、何と言ってもソース×マヨの暴力的な旨さ。

ふわふわの卵の中には、豚肉とキャベツがたっぷり入っています。お好み焼きよりも軽いので、おつまみとしてペロリといけちゃうわね。

ということでお会計。金額は2名で約50万ドン。一人当たり大体1,500円くらいかしらね。酒を飲んでないとは言え、日系のお店でお腹いっぱい食べたにしてはお安く済みました。
ランチもあります

こちらの「UTAGE Yokocho」、お昼も営業しています。ということで、ランチをお目当てに再訪。

客はさほどいなかったものの、Grabなどのシッパーの姿をそれなりの頻度で見ました。デリバリー需要もあるのだなあ。


ランチメニューはこちら。グランドメニューからの注文も可能ですが、注文できるメニューは限られます(一品料理、サラダ、ご飯もの、麺類など)。

「牛すき焼弁当」99,000ドン。味噌汁付きです(飲み物は別途注文が必要)。

すき…焼き…?まあ、牛肉の玉ねぎの甘辛炒めって感じですわね。名称は「焼肉弁当」とかでも良かった気がする。おうちで食べる感覚を思わせる、安心できる味です。

ポテサラがたっぷり入ってるの、嬉しい。上述したとおり、酸味の効いたさっぱりとしたポテトサラダです。

