東京・渋谷の喧騒から少し離れたエリアに位置する高級焼き鳥店「焼鳥酉乃洲」。2022年4月開業のこちら、モダンな焼き鳥カルチャーを牽引するお店としてよく知られているようです。
で、そんな「焼鳥酉乃洲」が2026年5月、ベトナム・ホーチミン市に上陸を果たしたとのこと。一見、何のお店か分からない外観に引き寄せられ興味本位で訪れたのですが、これがもう、めちゃくちゃ良かったのである…!
本記事では、ホーチミン市旧3区(現スアンホア街区)の焼き鳥専門店「Torinosu Saigon」をご紹介します。
「Torinosu Saigon」の場所・外観

やって来ました、旧3区(現スアンホア街区)・フインティンクア (Huỳnh Tịnh Của) 通り。タンディン市場からほど近く、街路樹が通りを覆い、バイクの往来がありながらもどこか落ち着いた情緒が漂うエリアです。実はこの周辺、オシャレなカフェやレストラン、ショップが点在しており、散策しがいがありそう。

で、こちらが件の「Torinosu Saigon」。…えーと、バーか何か?壁面にはグラフィティアートが大胆にも描かれており、一見すると焼き鳥専門店だとは気づかないほどにエッジの効いた雰囲気。

なお、建物全体で見るとかなり大きい。隣のカフェも最近オープンしたらしく、この近隣に住む同行者曰くここ数ヶ月で一気に工事をしていた様子だったとのこと。

外観の世界観は内部の階段まで続きます。やんちゃな雰囲気が漂いますが、2階まで上りきると…?

あらン、お上品。照明を巧みに落とした木目調のレセプションに迎えられ、外観とのギャップに掴みはバッチリ。余談だけど園山真希絵さんの名前ひさびさに見たな…(※カウンターの書籍)。
「Torinosu Saigon」の内装・雰囲気

ということで店内。座席はカウンター席、テーブル席、そして個室の3つのエリアで構成されており、利用シーンに応じて異なる魅力を楽しむことができます。なお、こちらのフォームから事前予約も可能。

カウンター席には木目が美しい重厚なテーブルが。目の前にはオープンキッチンが配置されており、ベトナム人の職人さんが炭火を操り火入れをしていく様子や盛り付けする手元をリアルタイムで眺めることができちゃいます。

テーブル席のエリアは壁一面に広がる大きな窓が印象的。通りを彩る街路樹の豊かな緑が眼前に迫ります。夜が更けるにつれて、間接照明と外の景色が溶け合い、隠れ家らしいロマンチックな雰囲気が際立つこと間違いなし。

個室も1室あります。6〜8人くらいで利用できそうな感じ。日本人のマネージャーさん曰く、「奥の方がトイレなどで席を立たれる際の出入りが大変かもしれないので、仲の良い方同士で利用いただくのがいいかもしれません」とのこと。

箸置きがおにぎりみたいで可愛い。箸先が滑りにくい加工がされているのも好印象。
「Torinosu Saigon」のメニュー


メニューは2種類のおまかせコースが基本となっています。手軽にお店の世界観を体験できる「OMAKASE TOKYO」は390,000ドン、ご飯または麺から選べる締めの一品が追加される「OMAKASE SAIGON」は590,000ドンです。
コースに加えて単品の追加アラカルトもあるので、「あの串お代わりしたい!」なんてときに良いですね。
ドリンクも充実のラインナップです。サッポロの生や黒生、ハーフ&ハーフが75,000ドン、サワー類はレモンや梅干し、各種お茶ハイ、オリジナルのトリノスモヒートなどが各90,000ドン。さらにハイボール、グラスで楽しめる作やいづみ橋、七賢といった日本の銘酒、芋や麦の焼酎、各種果実酒、ボトルワインまで網羅。
実食

では実食。まず供されるのはあさり入りの鶏スープ。これから出てくるお料理もそうなのですが、素朴な絵付けの器(おそらくバッチャン焼き)に心がくすぐられる。一口飲むと濃密なうまあじがじんわり広がり食事への期待感をぐっと高めてくれました。


続いて運ばれてくるほうれん草のおひたしは、瑞々しい仕上がりながらも出汁が芯まで染み込んだ丁寧な一品。海外にいると恋しくなる味です。色彩が美しい鶏の南蛮漬けは、程よい酸味と甘みのバランスが絶妙で肉の旨味を引き立てます。

箸休めとして登場した白菜とセロリの浅漬け。こちらもまた、シャキシャキと心地よい歯応えが残りつつも程よく浸かった絶妙な仕上がり。白菜とセロリを合わせるという天才的采配により、爽やかな風味が口内をリセットしてくれます。無限に食べられるな…。

そして、焼き鳥。最初に登場した「だき身」は、胸肉を皮で包んで焼き上げた一品。炭火によって香ばしく仕上げられた皮目と、胸肉とは思えないほどのふっくらジューシー食感との対比が見事です。

ハツ。今までの人生食べたハツの中で一番美味しかった…。ハツってもっと硬い印象だったのですが、ものすごいプリプリ感。臭みはなく、噛むほどに旨味が溢れ出てきます。


焼き野菜2種。野菜の、野菜の味が濃い…!本来の力強い甘みが引き出され、驚くほどのジューシーさ。

もも肉。外側はカリッと香ばしく、中は驚くほどにジューシー。鶏肉って美味しいんだなあ…とストレートに思わせてくれます。

トリノスサラダ。葉野菜やトマトの中に、キウイの酸味やサツマイモチップスの甘みが散りばめられた洗練された一品。お花さんも乗ってるよ。花型にカットされた人参がびっくりするくらい甘くて美味しかったのですが、あれは一体何だったんだろう…。

ぼんじり。口に運ぶととろけるような脂の甘みが広がってはスッと溶けていき、贅沢な余韻を残します。肉の脂にありがちな臭みなどが無いのもポイント。

厚揚げ。色鮮やかな小皿に載せられ、瑞々しいスプラウトがこんもりと盛られています。特製のタレが全体をまとめ、カリカリ感と滑らかさのコントラストが秀逸。

クリエイティブな海苔巻きは手渡しでいただくスタイル。小さなシャリの上には軽やかに揚がったささみの天ぷらが載せられ、さらにその上にはきらきら輝くいくらが。…一瞬で手元から消えたんだけど、誰か勝手に食べた?(ちがいます)

手羽中。パリッと焼き上げられた肉からはジューシーな肉汁が溢れ出します。添えられたきゅうりのスライスとともに、ライムをきゅっと絞ることで爽やかな後味で堪能できちゃいます。

本日のハイライトの一つ「マクラ」。つくねにニラを巻き付けた一本ですが、仕上げとして職人が目の前で鮮やかな黄色のチーズをたっぷりと削り落としてくれるライブ感あふれる演出が行われます。味覚にも視覚にも強烈なインパクトを残してくれる一品。

最後にデザートのアイスもちで締め。大満足でした。
「Torinosu Saigon」の店舗情報

「Torinosu Saigon」をご紹介しました。オープン間もないことと、在住者向けメディアでの紹介もさほどされていないからか、我々の滞在時間中は貸切状態でした。徐々に宣伝にも力を入れていかれるのかもしれません。おまかせ寿司とか行ってるようなベトナム人インフルエンサーも気に入りそう。
渋谷の高級焼鳥店としてのこだわりを再現しながらも、ストリートカルチャーを意識した外観や、現地の豊かな緑を取り入れた開放的な空間デザインなど、ここでしか味わえない独自の価値があります。あえて日本人街を外して旧3区に出店するチョイスも絶妙。

最後にはマネージャーさんにお見送りいただき恐縮。皆さんも要チェックの新店ですよ!

