最近、ホーチミン市内の中華街近辺でちらほらと見られる「Cơm phủ trứng(コムフーチュン)」という料理をご存知でしょうか。チャーハンに、多めの油で半熟気味に仕上げたオムレツをトッピングしたもの…つまり、天津飯です。
まあ、日本の天津飯というよりは、おそらく香港の「滑蛋飯(半熟卵と中華あんをご飯にかけた料理)」が元になっているとは思うのですが、日本人的には天津飯を連想してしまうこと間違いなし。
余談ですが、こちらの「Cơm phủ trứng」、直訳すると「卵乗せご飯」となるシンプルな名称ゆえに、日本のオムライスの説明にも使われることもあります。
そんな「Cơm phủ trứng」ですが、贅沢にもカニをトッピングしたものを食べられるお店を見つけてしまいました。「カニ」+「卵乗せご飯」…そう、カニ天津チャーハンです。
本記事ではホーチミン市10区の食堂「Thuận Ký」をご紹介します。
「Thuận Ký」の場所・雰囲気

ホーチミン市10区・グエンラム (Nguyễn Lâm) 通りへとやって来ました。この辺りは10区でも南西の方であり、直ぐ側の大通り・バータンハイ (3 Tháng 2) 通りをもう少し進むとそこは11区。

まだ日も沈みきらない時間ながらコンスタントに人が訪れ賑わいの予感を見せるお店。こちらが今回ご紹介する「Thuận Ký」です。
なお「Thuận Ký」という店名は、特に中華系のお店でよく見られる名前なので、他の店と混同しないように注意。漢字では「順記」と書くようです。
10区の南方面と言えば、ホーチミン市の中華街・チョロンを有する5区6区のすぐ近くということで、漢字が書かれたお店を多く見かけます。例に漏れずこちらも、中華系のお店である模様。

赤色の看板、そして黄色いユニフォームからも中華な雰囲気が漂いますね。2人がかりでジャッジャッと鍋を振るっては、ものすごい量のチャーハンを強火で炒めています。もう美味しい!(?)炒めたチャーハンは巨大な容器(番重)に移されていきます。
「Thuận Ký」のメニュー


「Thuận Ký」のメニューはこちらの2枚。ローカル食堂にしてはしっかりとした作りのメニューです。また、メニューのバリエーションの豊富さにも注目!
中華系のお店らしく漢字と、あとは小さいですが英語も併記されています。ただまあ、何となくでもベトナム語のメニュー名から意味が理解できるようになるとめちゃくちゃ楽だし、ベトナム生活が何倍にも豊かになります。
「Cơm phủ trứng」のトッピングについては、海老・海鮮・カニ・しじみの4種類が用意されています。
実食。これはもう天津カニチャーハン

5分ほど待ち、注文した「Cơm cua phủ trứng」がやって来ました。そう、天津カニチャーハンです(2回目)。
価格は69,000ドンということで、ローカルフードとしてはちょっぴりお値段が張りますが、ごろごろとトッピングされたカニ肉のことを考えたら安いものでしょう。

さらに、このオムレツ。仕上げに箸でくるっとかき混ぜたような、凝った出来栄えです。これ、少し前に日本で流行った「ドレスドオムライス」みたいじゃない!?

そして、別添のソース。褐色の見た目ととろみのあるテクスチャは、完全に餡掛けの「餡」です。

「Cơm phủ trứng」を注文していた周りのお客さんを見ると、少量ずつ餡をかけて食べ進めているようだったのですが…。

だばあ、と一気にかけてしまいました。良く見知った天津飯の出来上がりです。では、実食。

おっほw …えっ、美味すぎるな…。
口に入れた瞬間広がる、リッチな卵の味わいと、カニの身の旨味。オムレツの真ん中部分は半熟に近い仕上がりであり、絹のように滑らかな食感です。

チャーハンはおそらく作り置きされたものかと思いますが、それによりパラパラ感は残りつつも程よくしっとりとした食感が生まれ、卵やソースとよく馴染む。
なお、ソースはチリソースでした。天津飯の餡みたいに甘い味を想像していたのですが、酸っぱ辛い感じです。これはこれで合う。

見てください、この大ぶりなカニの身を…。幸せとはこのことですか…。たったの69,000ドンでこんな贅沢な体験が出来るとは。

ところで、卓上には色々と調味料があるので、味変も自由自在です。無難なのは、赤いチリソースやベトナム醤油、ですが…。


せっかくなのでケチャップをかけてみました。これはもう完全にオムライス。中華風の味付けも洋食に変えてしまうケチャップの強さよ。
いやあ、ローカルフードでこんなに感動できたのは久しぶりかも。まだまだ知らない料理が沢山あるのだなあ。

Googleに★5のレビューを投稿すると目玉焼きかTrà tắc(金柑ティー)が無料で貰えるそうです。Googleマップの口コミ平均がやけに高いと思ったらそういうことね…。

ちなみに、海老バージョンの「Cơm tôm phủ trứng」はこんな感じ。こちらもまた、海老がごろごろと入っており美味そうだ…。同僚Yさんから写真をご提供いただきました。
まとめ&「Thuận Ký」の店舗情報
ホーチミン市10区の「Thuận Ký」をご紹介しました。
看板メニューは「Cơm phủ trứng」だと思っていたのですが、周りのお客さんを見ていると、麺料理など他のメニューを注文している人も多かったです。また別のメニューも試してみたいですね。

あと、この通りは夜になるとちらほらと屋台が出るようです。ストリートフード通りなのだろうか…?色々と気になる、楽しそうなエリアでした。