言わずと知れた日本の牛丼チェーン・すき家。ベトナムにおいては、2016年の進出後、順調に出店を進めています。今や日本人が殆ど訪れない地域にも店舗があり、ローカライズに成功した貴重な日系チェーン店のひとつと言えるでしょう。
そんなベトナムのすき家にて、新商品「大阪お好み焼き牛丼」を発見。日本のすき家にて2020年に期間限定で発売、2024年には一時復活しながらも終売した「お好み牛玉丼」と同じものが、ベトナムでも楽しめます。

ホーチミン市3区・すき家パスター店 (Sukiya Pasteur) へとやって来ました。

この日は、来たる2025年4月30日のベトナム南北統一50周年パレードの予行練習日。ホーチミン市中心部が軒並み通行止めとなりここから身動きが取れないため、夕食を食べて時間を潰そうという魂胆です。

テーブルに着くと…おや、新商品。


そういや直近の新商品には、サーモン丼があったなあ。店の外にのぼりを出すなどプロモーションには力が入っていたものの、いざ注文しようとするとどの店舗でも軒並み売り切れで、何だかなあという気分になりました。あと、「日本産サーモン」ってどういうこと?生食できる鮭は日本で捕れないはずだが…最終加工地が日本ということなのだろうか。

話が脱線しました。今回の新商品は…「大阪お好み焼き牛丼」。前述の通り、日本では過去に期間限定メニューとして販売され、2024年を最後に現在では取り扱いのないメニューです。それがベトナムで食べられる、とな。

注文しました。「Gyudon vị bánh xèo Osaka trứng hồng đào(=半熟卵乗せ大阪お好み焼き味牛丼)」のSサイズ、お新香セット(お新香・味噌汁・ドリンク)を付けて価格は110,000ドンです。温玉があれば日本の「お好み牛玉丼」とほぼ同じということになりますね。

牛丼に、ダイスカットのキャベツとお好みソース、マヨネーズ、鰹節をトッピングした一品。青海苔のトッピングがないのはコストを抑えるためでしょうかね。

温玉と紅しょうがをトッピング。紅しょうががあるとよりお好み焼き感が出ますね。

これは…完全にお好み焼きの味わいである。鰹節とお好みソースの組み合わせは偉大だな…。そこにさらに、温玉をからめた牛丼のアタマと合わせれば、気分は完全に牛玉お好み焼き。キャベツも、ほどよく火は通しつつも歯応えが残っており、噛むほどに甘みが出て美味。

しかしまあ、何故このタイミングでベトナムのすき家にお好み焼き牛丼を投入したのか。
現在すき家がベトナム国内で出店している地域はホーチミン市をはじめとする南部エリアのみ。南部では甘めの味付けが好まれる傾向がありますし、お好み焼き自体の知名度も日本食の中では比較的高い方なので、ベトナム戦略の一環として投入されたのかもしれませんね。完全なる推測ですが。
お好み焼き(大阪の、ですね)の知名度がどれほど高いか?という話ですが、日本人経営ではないベトナム人経営の日本食店でも一般的に見られる程度にはポピュラーなメニューです。その場合、何故かガリッガリに揚げ焼きされていることが多いですが。
ベトナム風クレープ「バインセオ」が日本において「ベトナム風お好み焼き」と説明されるように、お好み焼きもまたベトナムでは「日本風バインセオ (Bánh xèo Nhật Bản)」と表現されることが多いです。
バインセオと言えばたっぷりの油で生地を揚げ焼きしますから、お好み焼きについても同様に調理する方がベトナムにおいては受け入れられやすい、ということなのだろうか…。

なんて、あれこれ逡巡しているうちに完食。一見奇抜なメニューでしたが、その実、意外と真っ当に美味しかったです。皆さまも機会があればお試しください。日本の「お好み牛玉丼」ロスに苦しむ方(いるのか?)も是非。