見た目も味も涼やか、夏を感じさせてくれる麺料理と言えば「冷やし中華」。時折無性に食べたくなる一品であり、それが常夏のベトナム・ホーチミン市ともなれば、尚のことですよね!?
ホーチミン市でも、冷やし中華を食べられるお店は多くないながらもいくつか存在します。それらは日本人経営のお店が中心である一方、ベトナム人経営の所謂ローカル日本食店でも冷やし中華を出すお店があるのです。
そこで今回は、「お値段10万ドン以下」という縛りを付けて、ホーチミン市内で冷やし中華が食べられるお店を特集したいと思うよッ!お手頃価格ながら各店舗の個性が光る、創意工夫溢れる一品の数々をお楽しみください。
その① 8番らーめん@1区
まずご紹介するのは、先日「ボーコーらーめん」を取り上げた、石川県発の日系ラーメンチェーン「8番らーめん」。執筆時点で、ホーチミン市内には3店舗を展開しています。

今回やって来たのは、1区・ビンコムセンタードンコイ (Vincom Center Đồng Khởi) 店。旅行者にとっても馴染み深い、ホーチミン市の超一等地エリアです。

8番らーめんの冷やし中華は、「冷めん」というメニュー名で提供されています。併記されているベトナム語を訳すと「特製レモンソースとマヨネーズ添え冷麺」となりますね。

「冷めん」がやって来ました。価格は78,000ドン(+税)。今回ご紹介するものの中では最安です。
トッピングは、きゅうり、メンマ、海老、チャーシュー、紅しょうが、煮卵、そしてお馴染み「8カマ」。一見、量は少なく見えますが、麺をほぐしていくと案外ボリュームがあります。

つるつるっとした喉越しがたまらない細麺。冷水でキュッと締めたような、強い弾力を感じます。麺にはゆるやかなちぢれがあり、スープもよく絡む。
メニューの説明でもレモンをアピールしている通り、柑橘特有の酸味がアクセントとなり、醤油ベースのタレの旨味を引き出しています。甘み・酸味のみならず、レモンのフレッシュな香りも楽しめる一品。

タレの甘み・酸味は強すぎず、とにかくすっきりとした味です。タレと言うよりもスープと表現したほうが適切かもしれない。なお、マヨネーズを溶かすと酸味がさらにやわらぎ、マイルドな味わいに。二度楽しめます。卓上のラー油を加えても良し!

肉々しさがあるものの、硬すぎない仕上がりのチャーシュー。この安定感はやはり日系チェーンですね。

錦糸卵ではなく煮卵。どうやら日本の8番らーめんのトッピングには煮卵が存在しないらしく、それを食べられるというのはある意味貴重かも?
「8番らーめん(1区店)」の店舗情報
その② Peco Peco@ビンタイン区

お次に紹介するのは、ビンタイン区にある日本食レストラン「Peco Peco(ペコペコ)」。障子を思わせる装飾と、瓦屋根のような庇が目を引きます。
お店が位置するのは、第二の日本人街・ファンビッチャン (Phạm Viết Chánh) 通りすぐ近くのグエンコンチュー (Nguyễn Công Trứ) 通り沿い。「縦ビッチャン」なんて呼び方をする人も居るらしいですが…まあそれは置いといて。

シンプルながら、明るい木目の椅子・テーブルで統一された、まるで日本の食卓のような居心地の良い雰囲気の店内。


「Peco Peco」のメニューはこちら。ラーメン・うどん・カレー・鰻丼がメインの他、一品料理もいくつか扱います。10万ドン以下の各種ラーメンもさることながら、カツカレーがわずか8万ドンとな…?

「Ramen lạnh(冷やし中華)」85,000ドン。トッピングは、チャーシュー、ハム、レタス、きゅうり、わかめ、ゆで卵。盛り盛りでボリューミーな一品です。

タレは別添えである他、辛子とレモン汁が別に付いてきます。酸っぱいものクラブ会員(何だそれは)としては酸味をどんどん足したいので、こういう形で提供してもらえるのは嬉しい。

タレを全てかけていただきます。麺は太く弾力があり、食べ応えのあるもの。「ワシワシ」という擬音が良く似合います。もっちりとした食感で強いコシが感じられますが、口当たりは良く、なめらかです。
タレの味は、小さな子供から大人まで楽しめる甘めの仕上がり。ごま油の風味が効いています。

チャーシューは、煮豚を割いたような見た目。脂っぽくはないのに、柔らかくて美味しいです。味は薄めなので、タレを良く染み込ませて食べるべし。

錦糸卵でも煮卵でもなく、ゆで卵。半熟気味の、ぷるぷるの仕上がりですよ。

レモン汁、やっぱりかけますよね。甘い味付けのまま食べて良し、酸っぱくしても良しと、間口の広い冷やし中華でした。
「Peco Peco」の店舗情報
その③ Ramen Hachi@ビンタイン区

最後にご紹介するのは、同じくビンタイン区にお店を構える「Ramen Hachi(ラーメン八)」。「8番らーめん」からのインスピレーション…は、特に受けていないはず。ニエウロック=ティゲー運河沿いのチュオンサ (Trường Sa) 通り沿いに位置する、オープンエア・スタイルの日本食レストランです。


壁に貼られたイラストがKawaiiですね。「日本の旅 Welcome to Japan」ですって。間違ってないはずなのに可笑しみを覚えるのは、富士山・東京タワー・大仏が一箇所に存在することがあり得ないからだろうか。

一方、反対側の壁には手書きのメニューがずらりと。かなり達筆であり、もしかしてこれを書いたのは日本人なのだろうか。お店の雰囲気や価格設定的にはベトナム人経営っぽいのだが…。


そんな「Ramen Hachi」のメニューはこちら。ラーメン以外にも、うどん、刺身、寿司、一品料理と、幅広いメニューを扱います。
気になることはいくつかあるのですが、まず、天かすを「たぬき」と表現するのがスゲー日本人っぽいな、ということ。やはり、日本人が関わっているのだろうか。店員さんは日本語もお話しになる方だったので、聞いておくべきだった。
あとは、数量限定のヅケ丼が気になりますね。量にもよりますが、9万ドンというのはかなりの破格。次はコレを試してみよう。
ご飯とサラダが付いたセットも安いですね。海老フライがあるというのも珍しい。

色々と気になりつつも、「冷やし中華」が提供されました。価格は89,000ドン。トッピングは、きゅうり、錦糸卵、わかめ、かにかま、茹でもやし、天かすと、今回取り上げる冷やし中華の中では一風変わったチョイスです。なお、肉は具材に含まれないため、欲しい場合は別に注文が必要(チャーシュー:30,000ドン)。

麺は中太。これまで取り上げた、「8番らーめん」と「Peco Peco」の中間くらいの太さですね。弾力とコシがあることに変わりはなく、やはり冷やし中華の麺としては、それがマストなのでしょう。

タレの味は、甘みは強くない一方、しっかりと酸味が感じられるもの。酸っぱい冷やし中華が好きな人にお勧めしたい!

あと、卓上には酢があるので、さらに酸っぱくすることも出来てしまいますよ。
肉が無いから物足りないかなー、と思ったけど、そんなことはなく。天かすのおかげで、サクサクとした食感が楽しく、どことなく和の雰囲気も漂う面白い冷やし中華でした。

最後に、壁に貼られていた「みんなの笑顔 0ドン」。え、「スマイル0円」みたいなこと…(※古い)?このセンス、やはり日本人なのでは。
「Ramen Hachi」の店舗情報
まとめ
ホーチミン市内で、10万ドン以下で冷やし中華を食べられるお店を、3店ご紹介しました。強引に表にまとめると、以下の通りとなります。
項目 | 8番らーめん | Peco Peco | Ramen Hachi |
---|---|---|---|
価格 | 78,000ドン(+税) | 85,000ドン | 89,000ドン |
麺の太さ | 細 | 太 | 中太 |
甘さ | 普通 | 強い | 普通 |
酸味 | 普通 | 普通 | 強い |
備考 | 唯一の日系チェーン | タレ別添え。レモン汁・辛子付き | 肉無し。天かす入り |
それでは皆様、良き麺ライフを。See you next 冷やし中華!(誰だよ)