石川県発祥のラーメンチェーン「8番らーめん」。北陸三県を中心に120店舗以上を展開する「石川県民のソウルフード」です。
ここ、ベトナム・ホーチミン市にも2019年に進出し、現在は3店舗を展開中。ちなみに、ご近所さんのタイにも進出しているのですが、その店舗数はなんと160店舗以上。日本国内よりも多いじゃないか！
そんなベトナムの8番らーめんで、予想外な新商品を見つけたので食べてみましたよ。
8番らーめん・ホーチミン市1区店
やって来たのは、8番らーめんのホーチミン市1区・ビンコムセンタードンコイ (Vincom Center Đồng Khởi) 店。
他には、タンフー区・イオンモールタンフーセラドン (Aeon Mall Tân Phú Celadon) および8区・パルクモール (Parc Mall) 内にも出店しています。
以前は10区・スーヴァンハイン (Sư Vạn Hạnh) 通りにも路面店があったのですが、最近見に行ったら閉業していました…。頑張ってほしい。
昼食どきのピークは過ぎたであろう午後1時の訪問でしたが、それなりに賑わっておりました。
8番らーめん、1杯1,000円近くするようなラーメンほどに尖った特徴は無いので、ラーメンフリークのベトナム人にとっては物足りないかもしれませんが、言い換えれば癖がなく価格も安価なので、「とりあえず日本のラーメン食べてみたい！」という人にとっては最適だと思うのですよね。
そして、気になる8番らーめんの新商品はこちら。「ボーコーらーめん」です。
「ボーコー (Bò Kho)」、それはベトナムの代表的な牛肉の煮込み料理。フランス料理に影響を受けたとされ、香草・香辛料や魚醤（ヌクマム）によるエスニックな味わいが特徴の、言わばベトナム風ビーフシチューです。それを、日系チェーンの8番らーめんが扱う、とな？
確かに、ボーコーはパン（バインミー）と合わせる他にも、フォーやブンなどの米麺のスープとして使われることもありますし、何なら中華麺と合わせた「ミーボーコー (Mì Bò Kho)」もあります。ただ、「ボーコーらーめん」という字面の初見でのインパクトが大きすぎてな…。
注文後もなんとなくそわそわしてしまい、卓上の調味料を見つめてみたり。一体どんなものがお出しされるのだろう。
ボーコーらーめん、実食
「ボーコーらーめん」、着丼。価格は88,000ドンです。
具材は、大ぶりにカットされた牛すね肉・じゃがいも・人参。そして、8番らーめんお馴染みの「8カマ」とノコギリコリアンダーがトッピングされています。
注目すべきは、別添えの金柑・塩胡椒・唐辛子。ローカル麺食堂を訪れているような気分になってきました。
まずはスープを一口…。えっ、思った以上に本格的。
爽やかなレモングラスの香りに加え、シナモンやスターアニスなどのスパイスによるものと思われるエキゾチックな香り。魚醤による独特の塩気や魚介系特有の旨味も感じられます。ラーメンと合わせるにあたって多少のアレンジをしているのかと思いきや、真剣（と書いて「ガチ」と読む）のボーコーだった。
じゃあラーメンと合わないのか？と言われたらそんなこともなく。そもそもボーコー自体、前述の通り、麺と合わせて食べられていますからね。
8番らーめんと言えば太麺…という印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、ボーコーらーめんに使用されているのは、ほどよいちぢれが特徴の細麺。スープ自体がとろみのないさらっとしたものなので、細麺と相性が良いです。
そして牛すじ肉。これがまた、ほろほろに煮込まれていて柔らかいのです。さすがに「とろけるような口触り」と言う程ではないのですが、口の中で繊維がほどけていくような感じ。
そして、別添えの小皿でレモン塩を作るなど。具材にちょっと添えると美味しいです。
それ以外にも、金柑を直接丼の中に絞って入れたり、唐辛子をスープの中にさっとくぐらせて辛味を足しても良いですね（唐辛子を入れっぱなしにすると辛いので注意）。
ごろごろとしたじゃがいもと人参。少し「しゃりしゃり」とした食感があったので、これは別調理かな。まあ、一緒に煮込んでたら溶けてしまうからね。
そんなわけで、日越の食文化が融合した「ボーコーらーめん」のご紹介でした。オチ？無いよ！
まあ正直なところ、ローカル食堂でボーコーを注文すれば、市内中心部でも50,000ドン程度で食べることが出来てしまうのですが、あえてそれを日系チェーンで食べることに可笑しみを覚えられる方は是非お試しください。
