移転リニューアル!隠れ家ビストロで楽しむベトナミーズ洋食*a thăng eatery@ニエウロック街区

洋食

ベトナムの都市部では近年、ベトナムの食文化とイタリアンやフレンチ、タパスなどを軽やかに組み合わせた「モダン・ベトナミーズ」の潮流が見られます。そしてそれは高級ファインダイニングだけでなく、カジュアルな価格帯のビストロにもアプローチが広まっているようで。

以前(2025年2月)にご紹介した、ホーチミン市旧3区のフュージョンレストラン「a thăng eatery」もその一つ。「a thăng」は音楽記号の「A♯」の意であり、さしずめ音楽を愛する若き料理人たちが立ち上げたビストロ、といったところでしょうか。

そんな「a thăng eatery」ですが、2026年8月に店舗を移転・リニューアルオープンしたとのこと。どうやらメニューも以前訪れた時から大きく変わっているようなので、これを機に改めてご紹介しちゃいますよ。

「a thăng eatery」の場所・外観

お店が位置するのは、移転前と変わらずホーチミン市旧3区のエリア内。ニエウロック (Nhiêu Lộc) 街区、リーチンタン (Lý Chính Thắng) 通りから一本入った路地です。平日の夕方ということもあり交通量が激しいですが、路地に入ると喧騒が嘘のような穏やかな住宅街の空気に。なお、リーチンタン通りは一方通行なのでGrab等で向かう際はドライバーが入口を見落とさないよう注意。

温かみのあるテラコッタ色の外壁を持つ2階建ての建物、こちらが「a thăng eatery」の新店舗です。ヨーロッパの古いアトリエみたいなクラシックな佇まい。夕暮れ時を過ぎると軒先に吊るされた電球が灯り、落ち着いた隠れ家ビストロの雰囲気を醸し出します。

「a thăng eatery」の内装・雰囲気

1階フロアは客席ではなくオープンキッチンと仕込みのスペース。パスタマシンや乾麺の箱、自家製の保存瓶が整然と並び、手仕事っぷりが伝わってきます。

実質の客席はすべて2階にあるので、奥の黒いスチール階段を上がっていきましょう。

2階の客席はアトリエかリビングルームに招かれたかのような空間。壁面にはアコースティックギターとスピーカーが据えられ、創業メンバーの音楽への愛が垣間見えますね。色鮮やかな抽象絵画が飾られるなど、音楽とアートが共存。どうやらジブリ推しらしく、店内BGMはひたすらジブリピアノアレンジ。

客席は数組分と限られていますが、移転前よりは広くなった感。テーブルによって異なるレトロな柄のクロスや深みのあるレザー調の椅子が配されています。柔らかな灯りの中で、静かに会話と料理を楽しめる居心地の良さがあります。

「a thăng eatery」のメニュー

「a thăng eatery」のメニューはこちら。軸となっているのは、ベトナム中部のクイニョンや旧ビンディン省の味付け、伝統的な魚の煮付け、ベトナムのハーブや胡椒などを西洋料理の手法に落とし込むフュージョン。さしずめ「ベトナミーズ洋食」とでも言ったところか。すべての価格にサービス料が含まれており、前菜やスープは10万ドン前後、メインのパスタも10万ドン台半ばから後半と、手の込んでいそうな料理群でありながら良心的な設定。

看板料理であるパスタはリングイネを1皿あたり140グラム使用しており、さらに麺の追加が無料という嬉しいサービスも。ベトナムの家庭料理的な魚の煮付けを取り入れたパスタをはじめ、紫芋のペーストを使ったものや、干しポルチーニ茸にヌクマムを隠し味として効かせたアーリオ・オーリオなど、素材選びの着眼点にこだわりを感じます。

最後のページはアルコールとデザート。でも、コンブチャってアルコールかな!?発酵によって微量は発生していそうだけど。

実食

とりあえず飲み物から。私が注文したのは画像真ん中の「Mulberry Soda(マルベリーソーダ)」65,000ドン。高原地帯で親しまれているマルベリー…いわゆる桑の実のシロップをベースにしており、甘みとレモンのキレのある酸味が炭酸とともに広がって爽やか~。果実感がありつつも後味が軽く、口内をリフレッシュする一杯として良い。

「Potato Crisp | Wedge – Tamarind Tartar Sauce(ポテトウェッジ タマリンドタルタルソース)」80,000ドン。大きめのくし形にカットされた皮付きフライドポテト。秀逸なのがセットのタルタルソースで、東南アジア料理で重宝されるタマリンド入り。フルーティーで角のない酸味がマヨネーズのコクに溶け込み、揚げ物の重さを感じず軽快に食べ進められちゃう。

「The “Tây Sơn” Salad | Peanut Sauce(タイソン風サラダ ピーナッツソース)」119,000ドン。旧ビンディン省・タイソン発祥の名物である巻き物料理から着想を得た…という創作サラダ。中央に盛られているのは揚げたての春巻きです。ピーナッツソースを全体に和えていただくと、生野菜の瑞々しさと、春巻きのザクザクとした香ばしさが重なり合い、前菜でありながらしっかりとした満足感。これぞフュージョンベトナミーズ。

「Pumpkin Soup(パンプキンスープ)」129,000ドン。見た目の美しさからまず目を引かれます。カボチャの甘みに加え野菜の出汁のような奥深いコクが感じられ、飽きが来ずスプーンが止まらない。

さらにはグリルパンで焼き目をつけたホットサンドが添えられており、中からは温かいチーズがとろ~りと…。パンをスープにがばちょ(謎擬音)と浸して食べれば、香ばしいパンとチーズの程よい塩気がスープの甘みを引き立てもう格別!

「Chicken Rice | “5-spice” Sauce(五香粉チキンライス)」95,000ドン。ご飯の上には、五香粉の甘辛いタレをまとわせて香ばしく焼かれた骨なし鶏モモ肉、カクテキ、素揚げケール、そして温泉卵が。ご飯はジャポニカ米を使用しており日本人にとってはこれ以上無くしっくり来そうなチキンどんぶりです。八角やシナモンが香るジューシーな鶏肉に、黄身のまろやかさとキムチのピリ辛+酸味が一体となって癖になるお味。

10万ドンを切る手頃な価格ながら、やたらとボリュームがあるところもポイント。もし一人で来てたら、これだけでお腹いっぱいになること間違いなし。

「Fish Steak | Seabass – Pepper Sauce(スズキのステーキ ペッパーソース)」265,000ドン。皿一面に広がるオレンジ色のソースと美しい盛り付けが印象的な一皿です。肉厚なスズキは皮目がパリッと香ばしくソテーされ、身はふっくらと柔らかい。ソースですが、一口目にフルーツのような甘みが広がるのですが直後に割と容赦ない辛味が追いかけてきます。パプリカのピューレに黒胡椒などのスパイスを合わせたものらしいのですが、なかなかに鮮烈でハマる人はハマりそう!?上に添えられた蓮根のピクルスはかなり甘めです。

「Sourdough | Seasonal Compound Butters(サワードウ 季節のコンパウンドバター)」66,000ドン。時期替わりの特製合わせバターが添えられたサワードウブレッド。噛みしめるほどに旨みが出てたまらん!前述のパンプキンスープに合わせても、メインディッシュのソースを拭っても良し。

小鉢の中にはバターが盛られ、その下にはハーブオイルが注がれています。ミルキーなコクとともに、シナモンや生姜のような甘美ながらピリッとスパイシーな香りが鼻を抜けました。サワードウの酸味とエキゾチックなスパイスバターの組み合わせは他では味わえない完成度。

「a thăng eatery」の店舗情報

ホーチミン市旧3区のビストロ「a thăng eatery」の移転後新店舗をご紹介しました。

タマリンドや五香粉、パプリカ、スパイスなど、素材の持つ酸味や甘み、香りがきちんと計算されており、一口ごとに新しい発見がありました。静かなディナーにぴったりのこちらの一軒、ホーチミン市の路地裏の奥深さを改めて実感させられちゃったな…。ここでしか味わえない「ベトナミーズ洋食」をぜひお試しあれ。お店の公式SNSから事前予約も可能。

お店の名前 a thăng eatery
住   所 184/28 Lý Chính Thắng, Nhiêu Lộc, Hồ Chí Minh
営 業 時 間 11:00 〜 14:00、17:00 〜 21:00
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