ベトナムと言えばコーヒー…と思われがちかもしれませんが、その一方で、最近はお茶専門カフェの人気が高まっています。
大都会・ホーチミン市でのストレスフルな生活の中で自らを癒したい人々を惹きつけるお茶専門カフェ。当ブログでも、茶筅で抹茶を点ててくれるような本格的な抹茶カフェを紹介しました。
本記事では、ホーチミン市・ビンタイン区の「Lạc Teahouse」をご紹介。抹茶は勿論のこと、ベトナム国内や世界中から厳選されたお茶と、それらとマッチする和菓子・洋菓子を楽しむことが出来ます。
「Lạc Teahouse」の場所・外観
ホーチミン市・ビンタイン区。3区・10区方面とビンホームズセントラルパークとを結ぶ大動脈であるディエンビエンフー (Điện Biên Phủ) 通りを渡り、ソヴィエトゲティン (Xô Viết Nghệ Tĩnh) 通りへとやって来ました。このときは日曜でしたが、休日の朝8時だというのに交通量が著しい。
バックダン (Bạch Đằng) 通りを左に曲がります。
おおよそ2024年のホーチミン市中心部とは思えない未舗装の歩道ですが、それも厭わずディンボリン (Đinh Bộ Lĩnh) 通りを進みます。ああ、どこかこの喧騒から逃れられるような、そんな隠れ家的空間は無いだろうか…。
ふと、現れた古びた集合住宅。通りに面しているはずなのに、緑の木々が溢れ鳥が囀る不思議な静けさ漂う空間に惹かれ、思わず足を踏み入れてしまう…。
というわけで、穏やかさ溢れるこちらのアパートの一角に「Lạc Teahouse」はあります。
モダンでありながらも、知らなければ通り過ぎてしまいそうなミニマルな外観。フルーテッドガラスが特徴的な、大きなドアを開けて店内に足を踏み入れます。
「Lạc Teahouse」の内装・雰囲気
店内もまた、外装から感じ取った印象通りのミニマル空間。白と暗褐色の木目を基調としたインテリアを、柔らかい照明が優しく照らします。古びたアパートの中にあるとは思えないほどに洗練されており、ドアを通った瞬間異空間に飛ばされたのかな?という気分に。
カウンターが5席と、大きなテーブルが3つ。決して大きな店内では無く、時間帯によってはすぐ満席になってしまいそう。お喋りを楽しむというよりは、静けさを嗜みリラックスするための空間ですね。
和風カフェ…というわけでは無いのですが、そこかしこに和のエッセンスを感じることができます。また、花瓶に生けられたダリアと百合の花は、あまりに状態が良いので精巧なフェイクグリーンかと思いきや生花でした。とにかく、雰囲気作りに隙が殆ど無いというか、世界観が作り込まれていますね。
こちらのお店の特徴は、ずらりと並んだ十数種類ものお茶のサンプルの香りを嗅ぎながら、好みのお茶を選択できること。種類も、ピュアティーからハーブティーまで豊富です。お店のティアリスタ(日本風に言えばお茶バリスタ)から、お茶選びに関してアドバイスを受けることもできます。
「Lạc Teahouse」のオーナーは、元々広告代理店で働いていたとのこと。そののち、パートナーと共にこちらのお店を立ち上げました。多忙な広告業界に居たからこそ、心休まらない現代生活と慌ただしいホーチミン市において、リラックスできる場所が必要だと考えたのでしょう。
こちらは…コミュニティノート?最後のページには、まさかの日本語が!
「Lạc Teahouse」のメニュー
「Lạc Teahouse」のメニューは2枚あります。
1枚目のメニューにはティーポットの価格が記載されており、先述の通り自身で選んだお茶を楽しむことが出来ます。1人分が90,000ドン、2人分が140,000ドン。
2枚目のメニューは、抹茶・ほうじ茶を使ったドリンクと、フルーツティー。最下段は、ドライフルーツなどのお茶請けです。
また、お茶に合うスイーツとして、抹茶バスクチーズケーキ等のケーキに加え、和菓子(練り切り)まで用意されています。まさかベトナムで練り切りに出会えるとは思わなかった。また、日によってはいちご大福も扱うようです。
今回は抹茶のドリンクを注文しました。茶筅でお抹茶を点ててもらいます。
実食。苦・甘・酸が溶け合うさまが絶妙
注文した「Yuzu Matcha Soda(ゆず抹茶ソーダ)」85,000ドンと、「Bánh Chanh & Mật Ong(はちみつレモン練り切り)」90,000ドンがやって来ました。
抹茶と柚子ソーダの二層が美しいですね。抹茶単体では芳醇ながらかなり強い苦味・渋みがありますが、そこに柚子蜜とピールの甘み・酸味が組み合わさり、総合的に整った味となります。弾ける炭酸の爽快感も合わさり、週末の朝を爽やかに彩ってくれるようです。
そして、練り切り。レモンを模した可愛らしい見た目は夏を感じさせます(こちらは年中夏ですが)。
形に合わせて、中身の餡も勿論レモン餡。白あんにレモンピールが入っており、程よい酸味と微かな苦味が常夏のホーチミン市にぴったりの爽やかさ。蜂蜜の優しい甘みも感じられます。今回は甘いドリンクと一緒に注文してしまいましたが、薄茶やホットのお茶と合わせるともっと良さそうですね。
お茶に留まらない、総合的なライフスタイルの提案
ところでこちらのお店、お茶のみならず、店頭ではお香も販売しています。「Quinta Essentia」という、2021年に生まれたメイドインベトナムのお香だそう。
また、店の奥では服の販売も。「Lạc Teahouse」のオーナーが立ち上げた「Tênh Tênh」というブランドのものです。
メンズ服・レディース服の両方を扱い、リネンを用いたゆったりしたシルエットのアイテムが多め。中にはアオザイのような形のものもあります。公式Facebookの投稿を見ると、なんとなくイメージがつくかと思います。
お茶以外を扱っていることを見るに、「Lạc Teahouse」を単なるお茶専門カフェでは無く、オーナーが理想とするライフスタイルを総合的に提案するような場にしていきたいのかな、という印象を受けました。