ベトナムに来て思ったことのひとつは、日本と違って「パン屋(ベーカリー)」と「ケーキ屋(ペイストリー/パティスリー)」の境界がしばしばあいまいだな、ということ。
勿論「ケーキ屋」は狭義の「パン屋」でもあるのですが、日本においてこれらは割と明確に区別されていると思います。一方、こちらでは「ベーカリー」を謳っていても、ショーケースにディスプレイされたケーキ等のデザート類の方が目立つ店も多いです。
今回紹介するお店も、店名に「Bakery」とはあるものの、パン屋というよりは「街のケーキ屋さん」といった風情が漂います。本記事では、ホーチミン市ビンタイン区の「Aroma Bakery」をご紹介します。
「Aroma Bakery」の場所・雰囲気
ビンタイン区・ディエンビエンフー (Điện Biên Phủ) 通りにやって来ました。ビンタイン区から10区までを結ぶ南北に延びる長く大きな通りですね。この辺りは大学があり若者が集まるエリアなので、通りに面してカフェやレストランが沢山あり活気にあふれています。写真は無駄に光芒を出してみました。
「Aroma Bakery」はこちら。モノトーンを基調としたクールな外観ですが、パン屋・ケーキ屋でこのような色遣いは珍しいですよね。「白か黒か」(※高級食パン専門店)くらいしか思いつかないぞ。
店内は少し薄暗く、「あれ、営業してる…よね?」と一抹の不安を覚えましたが、勇気を出して入店したところ、ちゃんと営業中でした。
席数は多くないですが、店内飲食用のスペースもあり、カフェ的にこちらのお店を利用することも可能。ただ、テーブルはもうちょっとこまめに掃除した方が良いと思う(こっそりウェットティッシュで拭いた)。
「Aroma Bakery」のメニュー
ケースにずらっと並ぶ、カラフルなペイストリーにテンションが上がる!18時過ぎと比較的遅めの時間に訪問したのですが、店頭に商品が十分にあって良かった。
もっと嗜好を凝らしたディスプレイにすることも出来るとは思うのですが、無骨というか、その飾らなさが良い。
金額はこちら。ベトナム語表記のみですが、英語をお話しになる店員さんがいて、丁寧に対応してくれました。よく分からなければ、おすすめ等を聞いてみるのも良いかもしれません。
また、ドリンクメニューもあります。「FRUIT TEA」から注文したのですが、甘さを30%・50%・70%・100%の4段階から選べるとのことです。
会計はMoMo(バーコード決済)で支払ったのですが、クーポンがあるとのことで、それをわざわざ教えてくれました。親切が染み入るわあ…。
実食。久々にアリ人間の面目躍如
注文の品が揃いました。
まずはドリンクの「Trà Ruby Đác Dâu」45,000ドン。ストロベリーティーですね。甘さは30%でお願いしたのですが、それでも尚激甘!
一見グミか何かのようにも見えるトッピングは、サトウヤシの種子(胚乳)をシロップで煮込んだもの。東南アジア各国で食べられている食材であり、チェーなんかにもよく入っていますね。
そして「Croissant Nhân Kem Cherry」39,000ドン。つやつやで美味しそうな生地は勿論のこと、表面に巻きつけられた飴状の鮮やかなデコレーションに惹かれ、購入。断面はどんな感じかな、と割ってみると…。
クリームがぎっっちぎちに詰まってました。てっきり、普通のクロワッサンの表面に飴が巻き付けてあるだけだと思ってたら、まさかのサプライズ。商品名に思いっきり「クリームフィリング (Nhân Kem)」とあるのですけどね。
なるほどね…。
なるほどね…。(2回目)
ひとくちにクロワッサンと言っても店によって特徴は様々なので、まずはベーシックなものを食べた方が食レポとしては良かっただろうか、と思いつつ、クリームの魔力からは逃れられない。
まず、少しゆるめで口溶けの良いクリームからは、チェリーの甘酸っぱさと優しい甘みを感じます。その味わいから思わず頭に「恋」の一文字が浮かぶに違いない。恋は探すものではなく落ちるものだってこと、思い出した。
クロワッサン自体は、表面はコーティングも相まってパリパリしていますが、中身はサクッと軽めでほろほろと崩れます。そんな生地にクリームを纏わせて、しっとりさせてから食べるのも良し。
そんなわけで、まるでスイーツのような、こちらのクロワッサン。クリームたっぷりのケーキを食べているような感覚になれるので、甘党の皆さんはマストトライですよ!
最後は「Bánh Phô Mai Cháy Vị Matcha」59,000ドン。ちょっと食べ過ぎだな?クロワッサンにクリームが入ってるとは思ってなかったから…という言い訳。
商品名を日本語にすると「抹茶焦がしチーズケーキ」といったところでしょうか。2010年代後半に流行ったバスクチーズケーキっぽい感じ。
食べてみると…なめらかっ!クリームを食べてるみたいだもの。チーズの味は控え目で、どちらかというと抹茶の風味の方が勝っている感じ。癖がなくて食べやすいということでもある。何にせよ、バスチー好きは必見ですね。
そもそも、先ほどのクロワッサンもそうですが「このクオリティのものがこのお値段で!?」という驚きがある。安易にこの言葉は使いたくないのですが、とにかく「コスパが良い」。
クリスマスバージョンのペイストリーにも注目
と、ここで店員さんが「良かったらクリスマスケーキの写真撮る?」と声を掛けてくれました。え、なんだか申し訳ないな…。でもクリスマスケーキは気になる。
数分後、店員さんが持ってきてくれたものがこちら。かわいい、そして美しい!特にカヌレなんかは見るからに香ばしそうな、ツヤツヤした見た目がたまらんですね。
とか思っていたらなんと、カヌレをサービスで貰ってしまった…(しかも2個)。既にあすけんの女が号泣するレベルで総カロリー(+糖分&脂質)がえげつないことになっているというのに、実にけしからん!ホスピタリティがすごい。
そんなこんなで完食。この後、血糖値の上昇による眠気にクラクラしつつも急いでジムに行き、可能な限り糖分をエネルギーに変えることで帳消しを図りました。あと、カヌレはさすがにお持ち帰りしました。とにかく、何から何までありがとう、と感謝の気持ちでいっぱいです。