【台湾】過去と未来が交差する風景…各駅停車を降りて、屏東・竹田駅周辺をうろつく

屏東県

屏東市の中心部・屏東駅から臺鐵の區間車に揺られて数駅。長閑な田園風景の中に、かつて物流の拠点として栄え、今では静かな時間が流れる街、竹田(ジューティエン)があります。

多くの旅行者が潮州、またはその以南へと向かう中、この小さな駅で途中下車してみました。そこには、日本統治時代の記憶と現代のリノベーション文化が融和した奥行きのある空間が広がっていたのだった―。

今回は、歴史建築の保存と新たな感性が共存する竹田駅周辺の散策記をお届けします。

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竹田駅旧駅舎

やって来ました、臺鐵屏東線・竹田駅。ついつい「たけだ」と読みたくなる地名ですが、まさしくその通りで、日本統治時代に行われた地方制度改正により日本風に命名・改称されたものが今も中国語読みで残っているというわけ。

高架化された現在の竹田駅を降り、改札を出て目の前に現れるのが木造の旧駅舎。

この駅舎は屏東線において現存する稀な日本統治時代の木造建築。その歴史的価値から屏東県の歴史建築に指定されています。建築様式は日本の伝統的な四柱造が採用されており、主要な4本の柱が長い歳月を経てなお、この建物を支え続けています。

駅舎の屋根を見上げると、落ち着いた色合いの瓦が並んでいますが、これは当時の台湾で良質な土が不足していたため、型にセメントを流し込んで作られた「セメント瓦」が使用されています。こうしたディテール一つひとつにも当時の資材事情や工夫が刻まれていることが分かります。

駅舎の入口には「竹田頓物驛」(ついでに「Takeda」)と書かれた暖簾が。ここで使われている「頓物(トゥンウー)」という言葉は客家語で「荷物を積み上げる場所」を意味します。かつてこの地は周辺の農村から集められた米や穀物の集散地として栄え、多くの物資が積み上げられていたことからその名が付きました。

中に入ると、木製の「售票口(切符売り場)」や「行李包裹房(荷物預かり所)」が当時の姿のまま保存されています。

壁には民国87年(1998年)当時の手書きの列車時刻表や、かつての空襲避難図などが掲げられており、ここが人々の営みの中心であったことを物語ります。

竹田驛園

周辺は「竹田驛園」として整備されており、駅舎単体ではなく当時の鉄道員たちの生活を支えた付帯施設がまとめて保存されています。というか、思ったよりも観光客が多くて驚いている。

駅舎のすぐ傍らには、1939年頃に建造されたコンクリート造りの小建築が点在。 一つは「洋燈庫(ランプ小屋)」で、電気のない時代に駅の照明として使われた煤油ランプを保管していた場所です。 また、当時の鉄道員たちが一日の汚れを落とした「澡堂(共同浴場)」も残されています。

こちらは「池上一郎博士文庫」。 日本統治時代に軍医としてこの地に赴任した同博士は、地元の住民に対しても無償で医療を提供し感謝されたのだそう。Wikipediaにおいて日本語を差し置いて中国語記事が作成されていることからもそれが伺える。

入口には「日台交流」の文字が掲げられ、内部には博士自身が寄贈した蔵書を含む約2万冊の日本語書籍が所狭しと並んでいるとのこと。アジア最南端の日本語図書館だそうですが、残念ながらこのときは立ち入りが出来ず。

園区の一角で目を引くのが、壁一面を濃い蔦に覆われた「YAMATO COFFEE ROASTERS(大和頓物所)」。 ここはかつての精米工場の跡地を再活用したカフェで、古い剥き出しの煉瓦壁や鉄骨と、全面ガラス張りのモダンな建築が見事に融合しています。

今回は利用しませんでしたが、掲示されていたメニューには自家焙煎のコーヒーが並び、中浅煎りの「御召」と中深煎りの「彌夫」から選べるこだわりようです。また、羊のミルクを使った「羊小白(Goat Milk Coffee Latte)」や、塩バターロールといった本格的な軽食も。

兩人四口義式冰淇淋專売店

駅から少し歩き、静かな住宅街のなかでモダンな店構えを見せるのが、ジェラート専門店の「兩人四口義式冰淇淋專売店」。DIY感のあるネコチャンの装飾が可愛い。

白と木目、そしてグリーンを基調とした店内には、地元産の素材を活かしたジェラートが並びます。

メニューはこちら。せっかくなので(何が?)「醤油」と台湾らしい「龍井緑茶」の2種類を小杯(120元)でいただきました。

醤油フレーバーは、一見バニラのようですが、口に含んだ瞬間にミルクの甘みの中から醤油のアロマと塩気が!しかしこれは…みたらし団子を極限まで滑らか&クリーミーにしたような味わい。うまい!

一方の龍井緑茶は、抹茶とはまた違う爽やかでナッツのような芳醇な香りが鼻を抜け、お茶の繊細な旨みが喉の奥に長く留まる上品な一品でした。

竹田郷という街が持つ、新しい魅力を象徴するような体験。訪れた際は是非立ち寄ってみて。

その他、町歩きスクラップ帳

道沿いには、白亜のモダンな外観が印象的な「ZTLC³ 竹田生活文創中心」。その先には創業50年を超える「竹田客家鹹湯圓」があり、行列ができていました。

街を縫うように流れる水路の脇には、南国らしいヤシの木が天高く伸び、赤レンガの塀が水面に映り込んでいます。

この辺り、飲食店はあるのだけど、数が少ないのか人気店だらけなのか、どこも混雑気味。昼食難民になる前に帰ろうかしらね。

カーブミラー越しに仰いだ空には、真っ青な外壁が特徴的な親子図書館が丸く切り取られて見え、竹田の穏やかな昼のひとときを象徴しているかのようでした。

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