ベトナム南部のリゾートアイランド「フーコック島(Phú Quốc)」。
美しいビーチやナイトマーケットが有名ですが、フーコック島を訪れる観光客が必ずと言っていいほど立ち寄る麺料理店があります。その名は「Bún Quậy KIẾN – XÂY」。
「Bún(ブン)」は細く丸い米粉麺、「Quậy(クアイ)」はベトナム語で「かき混ぜる」の意。新鮮な魚介のすり身を器に塗りつけ、そこに熱々の茹で汁を注いでその場で調理し、さらに食べる人自身が自分好みのタレを作る…という、エンタメ性抜群のローカルフードです。
その元祖であり、フーコックで有名な「KIẾN – XÂY」が、ホーチミン市中心部にも複数店舗を展開しています。「ローカル麺は衛生面がちょっと…」というあなたも安心して入れるモダンなお店ですよ!
「Bún Quậy KIẾN – XÂY」NTMK店

今回訪れたのは、サイゴン街区(旧1区)にある「Bún Quậy KIẾN – XÂY Quận 1」。
サイゴン動植物園やテレビ局にも近いダカオ (Đa Kao) エリアに位置しています。お店の前を通るグエンティミンカイ (Nguyễn Thị Minh Khai) 通りはまさに市内の大動脈であり、活気のあるエリアです。

お店は、その洗練された外観が特徴。ローカル麺と言えば低いプラスチック椅子が並ぶ路上店を想像してしまいますが…全面ガラス張りのファサードは非常に開放的。まるでカフェかなんかみたいなお洒落さじゃないかい?
ちなみに、ガラス戸に書かれている閉店時間は「22:05」と中途半端。この5分にどのような意味が…!?

店内はコンクリート打ちっぱなし風の壁と、天井の黒い配管が印象的なインダストリアルデザインが光る空間。

ダウンライトの照明が落ち着きを与えます。もちろんエアコンも完備されており、快適。

「KIẾN – XÂY」という店名は、創業者が大学で専攻していた「KIẾN trúc(建築)」と「XÂY dựng(建設)」に由来するとか。建築と建設を学んだ作り上げたブランドだから「KIẾN – XÂY」…ということで、空間作りにもこだわりが詰まっているのでしょう。

店内奥には活気あるオープンキッチンが。スタッフが手際よくすり身を器に塗りつける様子が見られます。
徹底攻略!注文システムについて
注文システムは先払いかつセルフサービス方式。ローカルフードのお店らしからぬ、カフェテリアスタイルです。

入口のカウンターで注文し、先に会計を済ませます。

呼び出しブザーとおしぼりを渡されるので、席を確保し、ベルが鳴るのを待ちましょう。

「KIẾN – XÂY」のメニューはこちら。メインのブンクアイはトッピング違いの4種類であり、それぞれの麺に入っている具材の比率が円グラフで表示されています。
- TÔ GÂY NGHIỆN(やみつきボウル):80,000ドン。エビ30%・牛肉30%・イカ40%。魚のすり身が入っていない代わりに、牛肉が入った贅沢な構成。
- TÔ TRUYỀN THỐNG(オリジナルボウル):70,000ドン。エビ30%・魚30%・イカ40%。海鮮の旨味をバランスよく楽しめるスタンダードな一杯。
- TÔ ĐƠN GIẢN(シンプルボウル):50,000ドン。具材控えめのリーズナブルな一杯。
調味自由自在!タレを作ろう

注文を済ませたら、タレ作りの時間。店内中央にあるアイランドカウンターへ向かいます。

唐辛子、塩、砂糖、MSG(うま味調味料)、そして山盛りの金柑が置かれています。

本来はこれらを自分で配合してシャカシャカとかき混ぜるのですが、このお店では初心者にも優しい完成済みのタレが大きなボウルに用意されていました。オータスカルタスカル。
実食

呼び出しベルが鳴り、カウンターへ麺を取りに行きます。

今回注文した「TÔ TRUYỀN THỐNG」は、ほんのり白濁した透明なスープに真っ白な麺、そしてたっぷりのネギが散らされたシンプルなビジュアル。

スープを一口いただくと…ふむ、味が薄い?

ここで食べ方を要チェック。実際、お店の案内には「スープはあえて薄味にしています」と書かれています。

タレをスプーン1杯ほどスープに投入すると…酸味、辛味、コクが加わり、ぼんやりしていたスープが上質な海鮮スープへへと昇華。

麺(ブン)はお店で製麺された生麺を使用。一般的なブンよりも少し透明感があります。食感はつるつるというより、もっちゃもっちゃとしていて粘り気がある。そのおかげでスープとよく絡みます。


主役の「すり身(Chả)」。魚単体のすり身とエビ入りのすり身の2種類です。ふわふわ、ぷりぷりとしており、冷凍物では出せない食感。また、エビのものはゴロゴロと身が入った贅沢なものです。作りたてならではの旨味と甘みをご賞味あれ。

ゴロッと入ったイカも新鮮で、コリコリとした歯応えが良いアクセント。軟甲は処理されていないので、勢いよくかぶりついて面食らわないように注意。

ドリンクは「Nước mía(サトウキビジュース)」(10,000ドン)。いや、安いな!?街なかの屋台で飲むのと変わらない値段…どころか、中心部だと路上でもこれより高かったりします。
少しヒリついた口の中を、冷たくて優しい甘さのサトウキビジュースがスッと中和してくれます。「辛い×甘い」「熱い×冷たい」のループは中毒性がある。
こういうケースもあります&他店舗の様子

ある日の訪問。


1階はまさかの満席で、2階に案内されました。激レア!2階にもキッチンがあるんですね。
…と思いきや、1階が空いたから降りろと言われてしまいました。まあ、店からしたら1人のためだけに2階を稼働させたくはなかろう。

なお、エビ入りのすり身(Chả tôm)は人気なのか、夜遅くに行くと品切れであることも…悲しい。代わりに牛肉がトッピングされました。これはこれで柔らかくて美味!

ヴオンライ (Vườn Lài) 街区(旧10区)にある店舗にも行ってきました。同じデザインコンセプトを持ち、こちらもまた洗練された雰囲気。

店内に入ると、天井から吊るされた巨大なスタジオライトのような照明が目に飛び込んできます。壁面はグレーのブロックレンガで統一され、太い排気ダクトが剥き出しになった天井は、工場やガレージを彷彿とさせるハードなインダストリアルデザイン。

もちろん、注文方法は同じで、タレ作りコーナーやクオリティの高い麺もまた健在です。
「Bún Quậy KIẾN – XÂY」の店舗情報
※旧4区にも店舗があります。

