チキン南蛮警察も納得?宮崎地鶏が織り成す本物の味を堪能*Yakitori Kuwa@1区

日本料理

年々在住日本人が減少していると言われる一方で、ホーチミン市内における日本食シーンの進化は日々留まることがありません。

2024年12月、ホーチミン市1区に、宮崎料理をフィーチャーした日本食レストランがオープン。「寿司」「ラーメン」などの大きな括りではない、「宮崎料理」という細分化されたジャンルが突如現れました。ホーチミン市内で日本各地の郷土料理が食べられる日も遠くない…かも?

本記事では、ホーチミン市1区、宮崎県産の地鶏と高級備長炭を使った本格的な料理が楽しめる「Yakitori Kuwa(炭火焼き鳥 くわ)」をご紹介します。

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「Yakitori Kuwa」の場所・外観

ホーチミン市1区・グエンタイビン (Nguyễn Thái Bình) 通りへとやって来ました。

この通りは、ホーチミン市のビジネスと商業の中心地の一つであり、オフィスビルや様々なジャンルの飲食店、おしゃれなカフェ、マッサージ店などが軒を連ねる活気あるエリア。旅行者を見かける機会も多いですね。

そんな賑やかな通りの中に現れたのが、洗練された和モダンなレストラン。こちらが「Yakitori Kuwa」です。東京・恵比寿にも同名かつ同じロゴの宮崎料理店があるので、おそらく系列店。

上質な食体験を予感させる、黒を基調としたシックなファサード。天然木の風合いを活かした看板が掲げられ、味わいのある店名ロゴが見られます。「桑」の赤い落款が和を感じさせますね。

よくよく見ると、外観で見られる言語はほぼ日本語のみですね。日本人以外には敷居の高さがありつつ、かえってその点が、通りに面していながらもお店の隠れ家感を演出している気がします。

また、ホーチミン市随一の日本人街・レタントン (Lê Thanh Tôn) 通りから離れたエリアであることもポイント。最近は日本人のプレゼンスが低下していると言えど、やはり数は多いですからね。知り合いにばったり出くわしたくない、という人にはピッタリの立地なのでは?

「Yakitori Kuwa」の内装・雰囲気

温かみのある赤みがかった茶色の木製格子戸風のドアを開け、中へ。平日夜の部のオープン時間である18時ちょうどに入ったのですが、すでに1階には複数のお客(日本人)が。

1階のメインは、やはり焼き鳥の醍醐味である調理の様子を間近で楽しめる、ライブ感溢れるカウンター席。職人が備長炭で一本一本丁寧に焼き上げる姿や、立ち上る香り、パチパチと炭がはぜる音をバックに、出来立て熱々の焼き鳥を味わうことができるという寸法です。4人掛けのテーブル席もあり。

さて、「オープンと同時に訪れれば大丈夫だろう」と高を括って予約せずに訪れたのですが…ちょうど良い席が無かったようで、まさかの2階のVIP個室席へと案内されました。申し訳ナイス…。

「VIP1」ルームの中には、大人数でもゆったりと座れる大きな木製テーブルが設えられ、モダンでスタイリッシュな長いペンダントライトが空間を優しく照らします。BGMの無い静かで落ち着いた個室は、会食や接待、家族や友人との特別な集まりなど、周りを気にせずゆっくりと食事と会話を楽しみたい時に最適です。

壁には日本刀を模したオブジェが…と思いきや、よくよく見ると備長炭でした。「ベトナム産の高級備長炭を使用」というのが、こちらのお店の売りのひとつ。

席に着くと、取り皿、店名が印字された割り箸、そしてタオル地の分厚いおしぼりが用意されました。

「Yakitori Kuwa」のメニュー

「Yakitori Kuwa」のメニューを一挙貼り付けしました。

お店の看板メニューは、日本から輸入したという宮崎県産の地鶏を使った料理や、備長炭で焼き上げる本格焼き鳥。他にも一品料理から〆のご飯などのメニューもありますが、メインは鶏肉料理であることが伺えるラインナップ。なおこの日、おでんは品切れでした…かなしみ。

お酒の種類は豊富ですね。下戸の私が飲める数少ないお酒「あらごしみかん酒」をはじめとした果実酒が充実している点も嬉しい。

おそらく事前予約が必須、かつ4名以上からとはなりますが、飲み放題付きのコースメニューも用意されています。お店の名物料理が全て詰まっていそうだし、事前に予約するのであればこれで良いのではなかろうか。

個室は2つ備えているようです。というか、我々が案内されたの、7〜16名用の部屋なのか…本当に恐縮しきり…。

なお、卓上に置かれたバーコードをスキャンすると、モバイルオーダーも可能。どういうことか、紙のメニューには記載されていないメニューも…。モバイルオーダーに気付けた人だけのご褒美…ってコト!?

これを見るとランチメニューも確認できます。いずれも20万ドン以下なので、たまの贅沢に訪れるのも良いかも?ランチなら一人でもふらっと入りやすいですからね。

実食。宮崎地鶏を心ゆくまで喰らう

まずは宮崎名物の代表格、「チキン南蛮」。価格は1個につき40,000ドンです。運ばれてきた瞬間、その美しいビジュアルにテンションがブチ上がりました。こんがり揚がった黄金色の衣の上には、卵の白身がごろっと見える手作り感満載のタルタルソースがたっぷり。

さて、今回は同僚複数名と訪れたのですが、うち2名は宮崎県民と鹿児島県民。…そう、「チキン南蛮警察」です。

単に唐揚げにタルタルソースをかけただけのもの、何故かとろみのついた甘酢もどきのタレがかかっているもの…。チキン南蛮警察は日々、こういった到底チキン南蛮とは呼べない代物がチキン南蛮を名乗っていることに辟易しては、取り締まりを行います。

そんなチキン南蛮警察たちもお墨付きを与えるのが、こちらのチキン南蛮。

衣はサクッと小気味よい音を立て、中からは驚くほど柔らかくジューシーな鶏肉が。箸で切れるくらいに柔らかいです。口の中にじゅわっと広がる甘酢の酸味と甘みのバランスも絶妙で、濃厚なタルタルソースと絡み合い、まさに至福。

…と、そう言えば、チキン南蛮と言えば鶏胸肉のイメージがあったのですが、鶏もも肉を使っても警察的には問題ないのだろうか。

「胸肉かもも肉かは県民の間でも意見が割れています」「チキン南蛮警察はそこは気にしない。宗教だから」そ、そうなのか。宗教ならどうしようも無いよな。

さて、ここで悪魔の囁きが。「米、欲しくないですか?

そう、こちらのお料理、酒のアテであることを見越してか結構濃いめのお味。しかし下戸的にはむしろ白米と合わせて食べたいのです。

と、いうことで「白ごはん50,000ドンと、「おにぎり70,000ドン。日本で米が高騰している最中でありながらも、日本産の米を使用。こだわりがすごい。ベトナム産の日本米も美味しいですが、やはり日本人的には日本の米が世界一だからな…(個人の感想)。

鮭の優しい塩味が、日本米本来の甘さを引き立てます。コンビニで買う16,000ドンのおにぎりとはわけが違う。一口、また一口と、おにぎりを少しずつ崩すようにして噛み締めます。

鶏肝ポン酢100,000ドン。艶やかな照りをまとった鶏肝は、見るからに新鮮そのものです。たっぷりの大根おろしとネギ、玉ねぎスライスと共に上品に盛り付けられています。

臭みがなく、濃厚なコクと旨みが広がります。これをキリッとしたポン酢と薬味がさっぱりとまとめ上げる構図、酒飲みにはたまらないのではなかろうか。

鶏の炭火焼き300,000ドン。備長炭で豪快に焼き上げられたであろう鶏肉は、ところどころ黒く燻され、香ばしさが凝縮されているのが見て取れます。

一口食べると、宮崎地鶏ならではのしっかりとした弾力と、噛むほどに溢れ出す濃厚な旨み。何よりも、備長炭のスモーキーで芳醇な香りがタマランチ会長…(古)。添えられた柚子胡椒をつけると、ピリッとした辛味と爽やかな香りがアクセントになり、さらに味わい深くなります。

鶏の脂の旨味が染み込んだキャベツも見逃せません。

そうそう、添えられた柚子胡椒は使い切れないと思うので、他のお料理にも使えるよう、別の皿によけておくと良いと思います。料理の皿の上に乗せたままだと、ベトナム人のスタッフさんが気を遣って皿を下げてくれるタイミングで、「まだ使うから下げないで!」と言わないといけないので…。

イヤ、日本人同士だったら大丈夫だと思うのですが、ベトナム人店員さんの場合「えっ、皿が空いたら下げるように教育されたのに…何で!?」と、混乱させてしまうかもしれないから、さ…。

鶏のタタキ250,000ドン。生肉最高!!

表面は丁寧に炙られ香ばしく、内側は美しい桜色を保ち、新鮮そのもの。炙られた皮の香ばしさと、内側のレアな身のしっとり&Chewyな食感のコントラストが素晴らしき…。噛むほどに広がる鶏肉のピュアな旨みとほのかな甘みを、キリッとしたポン酢と薬味が引き立てます。

そう言えば、宮崎と鹿児島のスーパーでは、フツーに鶏のタタキが買えるそうですね。鶏のタタキを流通させるための、特別な条例があるとか…。

焼き鳥専門店の真髄「焼鳥盛り合わせ240,000ドン。素材の良さが際立つ塩焼きです。何気に、メニューに記載されていない串が含まれている。

備長炭で丁寧に焼き上げられた串は、どれも外はパリッと香ばしく、中は驚くほどジューシー!一本一本、部位ごとの個性と職人の焼きの技術が光る、大満足の盛り合わせでした。

鶏の唐揚げ150,000ドン。チキン南蛮とは別ジャンルですからね、当然両方注文します。

なお、この場には「唐揚げにレモンかける派」と「どっちでも良い派」しか居なかったため、「唐揚げにレモンかけるか論争」は発生しなかったことを、念の為ご報告いたします。

大ぶりにカットされた鶏肉は、下味しっかり。揚げたての衣はカリッカリ、サクサク!中からは熱々の肉汁がジュワッと溢れ出し、相変わらず柔らかくてジューシー。「いい加減慣れろ」と自分に言いたいくらい、食べるたびその肉質に驚いている。

隠れた宮崎名物「レタス巻き100,000ドン。地元寿司屋のオリジナルメニューとして誕生し、以来、地元で愛され続ける郷土料理だそう。主にレタス・海老・マヨネーズが巻かれた太巻きを指しますが、こちらのお店では海老の代わりに鶏肉を使用した、オリジナルスタイルの一品。

艶やかな海苔で巻かれた太巻きの断面は、シャキシャキのレタス、つやつやの酢飯、そして主役の鶏肉が彩り豊か。一口頬張ると、レタスの軽快な歯ごたえと、鶏肉の旨みが広がります。レタス・鶏肉・酢飯・海苔、どの具材も元気よく主張し、想像以上の満足感。

添えられた醤油は、九州特有の「うまくちしょうゆ」。特有のまろやかな甘みとコクが、レタス巻き全体の味を優しく包み込みます。

なおこのレタス巻き、注文時にもお断りがあったのですが、提供にはかなり時間を要するようです(1時間半くらい待った)。今回はわがままを言って出してもらったのですが、レタス巻きが食べたいのであれば事前にコースを予約しておくのが無難。いずれのコースにも含まれています。

その後、メニューには無いプリンをいただいてしまいました。大変恐縮。

こっくり濃厚で、弾力のある固めプリン。上品な苦みのカラメルソースも相まって、大変上質なデザートでした。

まとめ&「Yakitori Kuwa」の店舗情報

お会計は、4名で飲み食いして計250万ドンほど。なお、この中には「黒霧島(100,000ドン)」5杯、「中々(160,000ドン)」1杯が含まれるため、もし酒を飲まなければ金額はさらに下がります。

留意事項として、こちらのお店、マスター自ら厨房に立って調理をされているようで、混雑時は料理にもよりますが提供までかなり待つ必要があります。一方、タイミングによってはマスター自身が料理をサーブすることもあり、現場はかなりてんてこ舞いであることが想像される。

この辺りは、調理を任せられるお弟子さんのような人が育ってきたら、徐々に改善されるのかな?と邪推。ということで、夜の利用を考えている方は事前に予約しておきましょう。

ホーチミン市1区の一等地にありながらも、日本人街からは少し離れておりどこか隠れ家感のある「Yakitori Kuwa」。様々なシーンで利用できそうなお店なので、覚えておきたい。次は人のカネで来て、思う存分に食べ飲みしたいなあ~、なんて。

お店の名前 Yakitori Kuwa
住   所 62 Đ. Nguyễn Thái Bình, Phường Nguyễn Thái Bình, Quận 1, Hồ Chí Minh
営 業 時 間 下表参照
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定休日
火〜金11:30 → 13:30、18:00 → 22:00
18:00 → 22:00
18:00 → 21:00

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