昼はコーヒー、夜はウイスキー。緑越しに歴史を眺める特等席*Whisfee Café@サイゴン街区

カフェ

ホーチミン市の金融街である、サイゴン街区・トンタットダム (Tôn Thất Đạm) 通り周辺。

荘厳なベトナム国家銀行の向かいに建つ古アパート「Chung Cư 14 Tôn Thất Đạm(トンタットダム14番地アパート)」は、カフェの宝庫。廃墟のような外観に圧倒されながら足を踏み入れると、そこには感性を爆発させる個性的な空間が広がっています。

今回ご紹介するのは、そんなアパートの一角にある「Whisfee Café」。

昼下がりには濃いベトナムコーヒーを、日が暮れたら琥珀色のウィスキーを―青い闇に包まれた空間には、街なかの喧騒が嘘のような、ムーディーな時間が流れていたのだった。

Sponsored Link

「Whisfee Café」の場所

ということで、件のアパートにやってきました。

「Whisfee Café」が入居するのは1階(日本的には2階)。エレベーターのないこのアパートにおいて、階段を1フロア分登るだけで着くのはありがたいポイント。

階段を上がり、薄暗い廊下を進むと…周りの空気がふっと変わった。壁一面が、深く落ち着いたダークブルーで塗装されているのです。

まあ、これは「Whisfee Café」の向かいのお店の塗装なのだけど、昼間でも少し落とされた照明と相まって、そこはまるで深夜の路地裏のよう。知る人ぞ知る「Speakeasy」―隠れ家バーのようなオトナの気配が漂っていますよ。

「Whisfee Café」の内装

ドアのないオープンなお店ですが、一歩足を踏み入れると、そこはサイゴンの喧騒とは無縁の、静まり返った時間が流れていたのでした。

店内の照明は全体的に落とされており、昼間であっても宵の口のような雰囲気。

打ちっ放しのコンクリートの壁に、洋書のページが無造作に貼られたパーテーションや、人物画のデッサン、そしてアコースティックギター。アーティストの屋根裏部屋を想起させるような空間である。

カウンターには、ウィスキーやリキュールのボトルがずらりと並ぶ。お酒も楽しめる場所であることを静かに主張しています。

席ごとに異なる表情を持つヴィンテージ家具たちもまた魅力。赤いファブリックソファと木製のトランクテーブルの席で友人と語らうも良し、鮮やかなブルーの布張りチェアや、重厚な革張りのソファに深く腰掛けて一人の時間に耽るも良し。

そしてこのお店のハイライトが窓際の席。

薄暗い店内で唯一、自然光がたっぷりと差し込むこのエリア。窓枠いっぱいに生い茂るモンステラやポトスの緑の隙間から、向かいのベトナム国家銀行の白い列柱が見え隠れします。

廃墟のような古アパートの中から、グリーン越しに荘厳なコロニアル建築を眺める。この退廃と権威のコントラストに情緒がどうにかなっちゃいそう。

「Whisfee Café」のメニュー

「Whisfee Café」のメニューはこちら。サイゴンの中心部にありながら、ドリンクは40,000ドンからと良心的。

定番どころは押さえつつも、「EGG COFFEE WITH RUM(ラム酒入りエッグコーヒー)」といった変化球に注目。「Salt Coffee(塩コーヒー)」や「Coconut Coffee」など、トレンドも当然のように取り揃えています。

そして日が暮れてからの主役はやはりアルコール。ジョニーウォーカーやジャックダニエルなどの定番に加え、メニューには「Vietnamese Whiskey(ベトナム産ウィスキー)」の文字も。この景色を見ながら地元のウィスキーを試してみるのも良い思い出になりそう。

実食

MATCHA COFFEE LATTE75,000ドン)」と、友人が注文した「MATCHA COCONUTE69,000ドン)」。

抹茶とコーヒーを掛け合わせたラテ。下から「ミルク・抹茶・エスプレッソ」の美しい3層のグラデーションを描いています。トップに注がれたエスプレッソが抹茶の緑色に滲んでいく様子は、まるで砂時計。

まずエスプレッソのキリッとした苦味が走り、すぐに抹茶の香りと渋みが追いかけてきます。種類の違う2つのビターさを、ミルクが優しくまとめ上げている。なお、抹茶は少しケミカルさを感じたので日本製ではなさそう。

薄暗い店内でランプを囲みながら、それぞれの「緑」を味わう昼下がり。最高にチルい時間でございました。

「Whisfee Café」の店舗情報

お店の名前 Whisfee Café
住   所 Lầu 1, 14 Tôn Thất Đạm, Sài Gòn, Hồ Chí Minh
営 業 時 間 09:00 〜 23:00
Instagram Facebook

インスタやってます