バイクの群れとエネルギーに満ち溢れるホーチミン市中心部。しかし、大通りの喧騒から一本路地へ足を踏み入れるとどうでしょう。そこには街の表情が一変する静寂な世界が広がっており、細い路地の奥には都市の成長とともにひっそりと育まれた独自のカフェ文化が息づいています。
本記事ではホーチミン市旧1区の路地奥に位置する、まさしく名は体を表すカフェ?「rò jì ró ji」をご紹介します。
「rò jì ró ji」の場所・外観


やって来たのは、ホーチミン市旧1区(現・サイゴン街区)のチューマンチン (Chu Mạnh Trinh) 通り。日本人街であるレタントン通りの近く…という一等地ですが、案外ローカル色が強いな?
さて、お店の住所をGoogleマップで確認すると、住所欄には「Chu Mạnh Trinh通り33番地の向かい側にある路地に入る。ハノイ風の蒸しバインクオンを売る屋台を目印に路地を進み、徒歩で約五十メートルの場所に位置する」とあります。まさかの住所ではなく行き方案内だった。そもそも、マップ上では道すら表示されていないという。


ということで、まずは「33 Chu Mạnh Trinh」にある大きなアーチ状の門を目指します。その向かい側、バインクオンを売る屋台が立つ路地の入口が目印です。なかなか賑わってるし、人気店みたい。

表通りの交通量を背にして路地へと入ると、一瞬にして街の音が遠のきました。頭上には洗濯物が揺れ、足元には青々とした鉢植えが整然と並びます。そんな、レタントンエリアそばと思えないほどに生活感が煮詰められた路地で見たものは…。

猫!

猫!!

猫!!!

…はい、ということで、あちこちで猫が横たわり、毛づくろいをしたり日陰でまどろんだりしていました。なんだこの猫ストリートは!人間を恐れる様子もなく自然体で過ごすネコチャンたち。この路地全体が穏やかな日常に満ちていることを物語っています。野良って感じにも見えないし、地域猫なのだろうか。

さて、路地を50メートルほど進んだでしょうか。曲がり角に現れた鮮やかな赤。こちらが「rò jì ró ji」です。年月を感じさせるクリーム色の外壁と、ビビッドな赤で彩られた格子の扉の対比が美しい。
「rò jì ró ji」の店内・雰囲気


内装は、赤色と温かみのあるイエローで構成された、落ち着きとポップさが同居する空間。円筒状のペンダントライトや間接照明が、室内を柔らかい光で照らします。


中心にあるのは、スクエアタイルを一面に貼り付けたカウンター。その周りには、鮮やかなブルーのカフェテーブルに、曲線が特徴的なパイプチェア、シックなトーンの椅子などをバランスよく配置。レトロな雰囲気の中にミッドセンチュリーの要素が溶け込んでいます。

と、まあつらつらとインテリアについて言及してきましたが、主役は店内のあちこちに佇む猫たち。

カウンターの上で香箱座りをする猫、窓際から外の路地をじっと見つめる猫、床の上で寝そべる猫などなど…自由すぎる!

ということでこちら、猫ストリートの奥に位置する猫カフェなのであった。アレルギー等ある方は避けた方が良いとは思いますが、猫好きにはたまらないお店ですよ!
「rò jì ró ji」のメニュー


「rò jì ró ji」のメニューはこちら。定番のエスプレッソや、あまーい「Bạc xỉu(バクシウ)」はもちろんのこと、果汁と炭酸を合わせた「Lime / Passion Fruit Tonic Espresso」のような爽やかな創作系ドリンクも充実。抹茶やほうじ茶を使用したカテゴリーが独立して展開されている点も特徴的。価格は安くは無いものの、昨今のホーチミン市中心部のカフェとしては標準的だし、ネコチャンの餌代に充てられるならそれもいいじゃない?

カウンター脇のガラスのショーケースには、クロワッサンやパン・オ・ショコラ、アップルタルトといったペイストリーも並びます。追加料金でココナッツクリームや抹茶クリームを添えるカスタマイズも可能。

「Dirty Matcha(ダーティ抹茶ラテ)」を注文。価格は85,000ドン。ご存じない方に一言で説明すると、抹茶ラテ+エスプレッソですわね。エスプレッソの芳醇な香りと力強い苦味、中間層の抹茶が持つ深みのある旨味とほろ苦さが重なり、最下層のミルクが優しく包み込むような甘みをもたらします。

