とどまることを知らない抹茶ブーム。ベトナム・ホーチミン市でも抹茶を専門としたカフェが増え続けています。
いずれのお店もベトナム人経営によるものですが、日本の茶の湯文化をリスペクトしつつ、日本人の発想には無い独自のクリエイティビティを発揮したカフェも多く、興味深いです。他のローカルカフェよりも高価格であるにも関わらず、どの抹茶カフェも凄まじい人気ぶり。週末ともなると、お昼前にはほぼ座席が埋まってしまうほどです。
今回は、新たな抹茶カフェをご紹介しますよ。本記事では、ホーチミン市3区の抹茶専門店「Midori Matcha & Coffee」を取り上げます。
「Midori Matcha & Coffee」の場所

やって来たのは、ホーチミン市3区・ヴォーティサウ (Võ Thị Sáu) 通り。市民の憩いの場、レヴァンタム (Lê Văn Tám) 公園から、少し南に下ったところです。

そんな大通りの喧騒から少し奥まったヘム(路地)に、「Midori Matcha & Coffee」は佇んでいます。


その名の通り、「緑」をテーマにした、本格的な抹茶と静かな時間を楽しめるカフェ。静かな路地裏というロケーションそのものが、都会の中の「隠れ家」としての期待感を醸成します。また、暖簾を彷彿とさせる生成り色のシンプルな布で、和テイストをさりげなく演出。
「Midori Matcha & Coffee」の雰囲気

一歩足を踏入れると、和モダンでミニマリストな空間が広がります。天然素材の積極的な活用が、デザインの核となっているようですね。

店舗1階の客席は、カウンター席といくつかのテーブル席から成ります。ソファや椅子の座面、クッション、植物と、店名の通り、効果的に緑が配置。ただ、小ぢんまりしたカフェということもあり、1階席は少し狭苦しく感じるかも。

と、いうことで、2階席の方がおすすめです。

2階は、数人で囲める大きな木製テーブルと本棚が印象的なエリアであり、まるで書斎のようなリラックスできる空間。随所に配置された観葉植物や枝もののアレンジメントは、空間に生命感を与え、和の美意識を感じさせます。
店内BGMにはJ-POPが響きますが、会話を邪魔しない程度のささやかな音量だし、スロー〜ミドルテンポの落ち着いた曲が中心なので、雰囲気作りとしては悪くない。

壁際には落ち着いた革張りのアームチェア席が設けられ、プライベート感を確保。

空間は緩やかに区切られつつも、繋がりを感じさせる設計で、全体として静かで落ち着いた雰囲気が保たれています。

ちなみに、本棚のラインナップは活字が中心…と思いきや。


良く見るとマンガ沢山でした。ザ・多趣味な人の本棚、って感じだな…。
「Midori Matcha & Coffee」のメニュー










「Midori Matcha & Coffee」のメニューはこちら。メニューはかなりしっかりと作られた冊子であり、原則1ページにつき1品の記載であるため、まとめて貼り付けしました。
メニューの中心が抹茶であることは言うに及ばず。単に抹茶ラテがあるだけでなく、「Hanamidori」「Kawamidori」「Okumidori」といったオリジナルブレンドの抹茶を提供。
それぞれの産地(鹿児島、宇治京都)、シングルオリジンかブレンドか、味わいの特徴、濃さ、旨味といった詳細情報がメニューに記載されており、自分の好みに合わせて選ぶ楽しみがありますね。
また、独創的な抹茶ドリンクも豊富。ココナッツジュースや自家製ココナッツゼリーと合わせた爽やかな一杯、ライチなどのフルーツとの組み合わせ、自家製フルーツジャムを使ったクリーミーなドリンク、塩クリームを乗せたもの、季節を感じさせる桜フレーバー、炭酸で割った「Matcha Colada」などなど、挙げればきりがありません。
その他、香ばしさを活かしたほうじ茶ラテやコーヒーメニューも扱い、抹茶とは異なる魅力で利用者を惹きつけます。また、飲み物だけではなく、自家製プリンや台湾スイーツ風のパイナップルケーキといった、デザート類も見逃せませんな。
実食。春の記憶を呼び覚ます一品

私が注文したのは「Matcha Sakura」、言うなれば「桜抹茶ラテ」でしょうか。価格は109,000ドンです。グラスの中で織りなす、桜ピンク、無糖ミルクの白、抹茶の緑のコントラストが美しい一杯。

まずは一番下の桜シロップの層を少し。優しい甘さと桜特有の風味が口の中に広がります。桜餅を思わせるような、甘く華やかな香り。
抹茶は、キリッとした苦味と豊かな風味と旨味が本格的。「抹茶の旨味」というものが今まで中々分からなかったのですが、この抹茶は本当に旨味が味蕾に広がる感覚があり、ようやく腑に落ちた感がある。

「One Piece Mochi」65,000ドン。抹茶ラテと合わせて174,000ドン、ということで、日系の店でラーメンが食べられるくらいの金額になってしまった…。

油で焼いて焦げ目を付けた平たい餅に、みたらしを思わせる甘じょっぱいタレがかかっています。
少し粗めの仕上がりの餅なので、もち米の粒感も楽しめます。日本の家庭的な味を、ベトナムのオシャカフェで楽しめる、というギャップが良い。
まとめ&「Midori Matcha & Coffee」の店舗情報

ホーチミン市3区の抹茶カフェ「Midori Matcha & Coffee」をご紹介しました。中心地にありながら、都会の喧騒を忘れさせてくれる静謐な和モダンカフェでしたね。
路地裏という立地が生み出す隠れ家感、天然素材と緑を基調とした落ち着いたインテリアデザイン、産地やグレードにまでこだわった本格的な抹茶を、伝統的なスタイルから独創的なアレンジまで幅広く楽しめるメニュー構成が最大の魅力でした。


ところで、「Midori Matcha & Coffee」が位置するこちらの路地なのですが、他にも隠れ家的カフェやレストランがあり、面白い。このエリア、再度探索しに訪れたいですわね。