活気と熱気に満ちたホーチミン市。バイクのクラクションが鳴り止まない通りを抜け、路地裏に入り込んだ瞬間に訪れる静寂―そんなコントラストもまた魅力の一つ。
今回は、最近注目のグルメエリアの路地に素敵なカフェを見つけたのでご紹介。無骨なインダストリアルデザインと、温かみのあるレトロな家具、そして溢れんばかりの植物が共存するその空間は、まさに都会のオアシス。
本記事では、タインミータイ街区(旧ビンタイン区)のカフェ「Cà Kê Café」をご紹介します。
「Cà Kê Café」の場所・外観

い つ も の。ということでやって来ました、グエンザーチー (Nguyễn Gia Trí) 通り。近くにHUTECH(ホーチミン市工科大学)などのキャンパスがあり、安くて美味しいグルメや作業向けのカフェがひしめき合う、ホーチミン市屈指の学生街。「松屋」2号店もあるよ。

メイン通りの喧騒から逃れるように、こちらの路地に足を踏み入れます。この辺りは格安のテイクアウト専門ドリンク店(1杯7,000ドン〜とか)が多く、受け取り待ちのバイクで大変混雑。

そこからもう少し歩を進めると…それまでの賑やかさが嘘のように、落ち着いた空気が。夜になると周囲の民家や屋台の明かりが灯り、どこか懐かしい風景。

そこに現れるのが、温かいオレンジ色の光と深い緑に包まれた「Cà Kê Café」ってワケ。

エントランスは開放的な作りになっており、波板トタンや鉄骨といった無骨な素材を使いつつも、グリーンが配置されていることで不思議と柔らかい印象を受けます。コンクリートジャングルの中に現れた小さな森みたい、なんて。

足元には様々な形をした、カラフルなステップストーンが敷かれています。カワイイ〜(笑顔)。
「Cà Kê Café」の内装・雰囲気

店内に入って目に飛び込んでくるのは、ユニークな色彩感覚とインテリアのミックススタイル。

打ちっ放しのコンクリート床というクールなベースに対し、家具やファブリックで大胆な遊び心が加えられています。


ソファや椅子に置かれたクッションたちはキノコ柄やドット柄、レトロな花柄など、一見バラバラ。ですが、それらが赤いビニールレザーのソファやパイプ椅子と妙にマッチしており、結果として空間全体にレトロ・ポップな彩りを添えています。

座席のバリエーションも豊富。壁際には作業に没頭できそうなテーブル席もあれば、グループでの会話も弾みそうな大きな長テーブルも。

日本人としてはホッとする?階段下のスペースなどを活用した小上がり席。靴を脱いで上がり、低いテーブルを囲んでクッションに身を委ねる…いいねえ〜。

店内は本棚がパーティションのように配置されており、それぞれの席に適度なお籠り感があります。ペンダントライトが、ヴィンテージ調の木目家具や本の背表紙を優しく照らし、ムーディーで落ち着いた雰囲気を醸し出している。

秘密基地のような趣の2階。

壁の仕上げによってエリアの雰囲気が二分されており、一方は飴色の板張りの壁に囲まれたダークウッド調の重厚なエリア。もう一方は、白い板壁で明るく開放的なホワイトウッド調のエリアとなっています。

鮮やかなブルーのフレームチェアやイエローのアームチェア、グリーンのワイヤーチェアなどが空間を賑やかに彩っています。1階同様に小上がり席もあり、まるで友達の部屋に遊びに来たかのように寛げちゃうかも。

木板に描かれたシュール…もとい味のある手書きのイラストや、「あなたは誰が一番美しいか知ってる?開けてみて(Bạn biết Ai đẹp nhất không? Mở ra là biết)」というメッセージ。ちなみにその先はトイレでございます。

窓の外に設けられた小さなバルコニー席。狭いですが、ホーチミン市の夜の空気感を肌で感じられるチルスポットです。
「Cà Kê Café」のメニュー

「Cà Kê Café」のメニューはこちら。学生街らしく、リーズナブルな値段設定。
ドリンクメニューは、ブラックコーヒーが37,000ドンから。定番の「Cà Phê Muối(塩コーヒー)」や、ピーナッツバターの風味を加えた「Phin Bơ Béo」、オートミールミルクを使ったヘルシーなアレンジコーヒーなど、トレンドを取り入れたメニューが並びます。
フルーツティーも凝っていますね。「Trà Cam Bạc Hà(ミントオレンジティー)」やら「Trà Sơ Ri Bưởi Hồng(ピンクグレープフルーツアセロラティー)」など、他ではあまり見ないようなラインナップ。

また、レジ横のショーケースには、ベトナム人におなじみの「肉でんぶ(Chà Bông)」と塩卵ソースを使ったクロワッサンや、ガーリックバターパンなどが並びます。あまり惹かれる見た目ではなかったが…。

「Trà Vải Hoa Hồng(ローズライチティー)」49,000ドン。琥珀色のアイスティーに、ライチとミントがトッピングされた一杯。
ローズシロップ漬けの刻みライチが入っており、一口飲むと、バラの華やかな香りがすこーん!と鼻に抜けます。極上のティータイムリァザマス。

「Trà Hibiscus Cam Đào(ハイビスカスオレンジピーチティー)」49,000ドン。鮮やかな赤色が目を引くこちらは、ハイビスカスティーをベースに、オレンジとピーチのシロップを合わせたもの。
ハイビスカス特有のキュッとした酸味が、フルーツの甘い香りでまろやかに調和しています。一口目からガツンとくる甘酸っぱさはリフレッシュ感抜群で、暑い外気を浴びた体に染み渡る美味しさ。
なお注意点として、私このカフェ十数回は行っているのですが、たまーにドリンクの提供にやたら時間がかかることがあります。気長に待つか、「忘れられてる?」と思ったらきちんと主張しましょう。
「Cà Kê Café」の店舗情報

「Cà Kê Café」をご紹介しました。
無骨なインダストリアルと温かいレトロが同居するインテリア、リーズナブルなドリンク。PCを開いて作業に没頭するもよし、友人と語り合うもよし、バルコニーで一人、街の喧騒をBGMに物思いに耽るもよし。
あなただけの席がきっと見つかるカフェ。この周辺を訪れた際は、こちらの路地裏の隠れ家でお気に入りの席を見つけてみてください。

