沖縄料理。ここ、ベトナム・ホーチミン市でも、その特有の食文化を楽しむことのできるお店がいくつかあります。
しかしながら、今までの人生で沖縄料理という道を殆ど通って来なかったワタクシ。唯一、「にんじんしりしり」だけは頻繁に作って食べていたのですが。
そんな沖縄料理と向き合うときが来た!本記事ではホーチミン市・ビンタイン区にある沖縄料理レストラン「Mi Soba Okinawa」をご紹介します。
「Mi Soba Okinawa」の場所
やって来たのは、ビンタイン区・グエンコンチュー (Nguyễn Công Trứ) 通り。ホーチミン市第二の日本人街・ファンビッチャン (Phạm Viết Chánh) 通りにある「寿司きよ田」の脇から入る通り、と言えば分かるでしょうか。
道路がボッコボコで、いかにもローカルな感じの通り。そんな中に突如首里城が現れました。こちらが「Mi Soba Okinawa」です。
2023年に誕生した「Mi Soba Okinawa」、当初はデリバリー専門店だったとのこと。2024年8月に、この地に実店舗をオープンされたとのことです。
「Mi Soba Okinawa」の雰囲気
座席はカウンター席が中心の、居酒屋的な様相。写真では分かりづらいかもですが、店内の壁は沖縄のロイヤルカラーである黄色をベースに、色鮮やかな油絵が描かれています。
店内に鳴り響く沖縄ソングも、気分を高めてくれます。あれ、ここ本当にベトナムだっけ…?
沖縄ソング、恥ずかしながら造詣が深くなく、民謡やゆったり聴かせるバラード的な音楽しかイメージが無かったのですが、むしろ、ロックやスカのような元気で底抜けに明るい曲もいっぱいあるのですね。
2階も見せていただきました。こちらは漫画喫茶になっており、2時間5万ドン(1ドリンク付き)で利用できるようです。
ベトナム語版の漫画が中心ですが、中には日本語のものも!
「Mi Soba Okinawa」のメニュー
メニューを一挙貼り付けしました。店名にもある沖縄そば各種はもちろんのこと、ご飯ものも充実!「Small Bowl Menu」や日替わりのおばんざい(50,000ドン)など、メインにちょい足しできるメニューが充実しているのも嬉しい。
沖縄を代表するビールである、オリオンビール。
ビール市場でのシェアは日本全国で見ると最下位ですが、沖縄では圧倒的シェアを誇ります。1瓶100,000ドン。
私は飲めないので、代わりにルートビア(45,000ドン)を注文しましたよ。ワタクシ、ルートビアやドクターペッパー、黒松沙士(台湾コーラ)をはじめとする薬っぽい味の炭酸飲料がだ〜い好きなんザマス。
ちなみに、卓上にはさんぴん茶が用意されていました。ほっとする苦味。
数々の沖縄料理を満喫しました
ジャンク上等、スパムカツ。65,000ドン。
結構厚切りのスパムだったので、くどいかな?と思ったのですが、そんなことは無く想像よりも軽くいただけました。別添の甘辛いソースもまた美味しい。
もずく、1皿45,000ドン。日本に居たときは、ほぼ毎週スーパーで買っていたのですが、ベトナムに来てから食べるのは初めて。そもそも売ってるの見たことないし(レタントンのファミマにあるとは聞いたのですが)。
つるっとしたのど越しがたまらない太もずく。シャキシャキとした歯ごたえも楽しく、延々と食べ続けてしまう…。
ポン酢と三杯酢を用意していただきました。私はもう断然ポン酢派なのですが、三杯酢も「カーッ」となる酸っぱさが無くて食べやすい。
ポーク玉子おにぎり2種類。1皿80,000ドンです。沖縄ではチェーン3社のコンビニで販売されているほどにポピュラーなものであり、2021年にはファミマが全国販売にも踏み切りました(今もまだ売られているかは知らない)。
片方はツナマヨ入り、もう片方は沖縄の油味噌である「あんだんすー」入りです。お話によると「ベトナムで手に入る材料だけで初めて作った」とのこと。
私がいただいたのはあんだんすー入りのおにぎり。いわゆる「おにぎらず」形の、ベーシックな見た目です。
焼き上げたポークのカリッとした食感に、卵焼きの優しい口当たり。あんだんすーは豚肉と味噌を炒め合わせ砂糖を加えて仕上げたシンプルなおかず味噌なのですが、ポークの塩気と上手く合わさって、絶妙な甘じょっぱさ。毎日のランチに食べたい一品です。
この日のおばんざいは、昆布を使った沖縄の郷土料理・クーブイリチー。50,000ドンです。
「クーブ」は昆布、「イリチー」はいり煮のことを指します。一見すると馴染みのある昆布炒めですが、豚肉が入っているので肉の脂特有の旨味もあり、ご飯とも相性が良さそうな一品。
そして本日のメイン!沖縄そばです(紅しょうがは後からトッピングしました)。私が注文したのは、手前のソーキそば。価格は145,000ドンです。
ひとくちに沖縄そばと言ってもトッピングは多種多様。豚肉ならソーキ派、三枚肉派、てびち派に分かれるとか。こちらは同行者の注文した三枚肉そば・160,000ドン。
まずは澄んだスープを一口。優しい味で、出汁の旨味が味蕾にぎゅっと染み渡りました。うま味調味料では出会えない感覚だ(うま調はうま調で良いものだとは思うのですが)。
沖縄そばのスープは豚と鰹節が基本という話もあるのですが、こちらのお店では鰹節と昆布で出汁を取っているとのことです。
麺は、もちもちで噛み応えのある平麺。麺の太さについては沖縄県内でも地域差があるようで、このタイプは本島北部で好まれている麺なのかな?
そしてソーキ。骨付きのいわゆる「本ソーキ」です。先述のソーキ派の中には「本ソーキ」派・「軟骨ソーキ」派が居るようで、奥の深い世界だ…。
箸でつまむと、ほろっと骨から剥がれるほど柔らかい。味付けは結構しっかり目で、甘辛い。メニューにはソーキ丼もあったので、今度は米とも合わせて食べてみたい。
沖縄そばには、島唐辛子を泡盛に漬け込んだ調味料「コーレーグース」も付いてきます。沖縄のタバスコのようなもの…かな?厳密には「コーレーグース」とは島唐辛子そのものを指す方言なのですが、こちらの調味料もその名で呼ばれています。
少量加えるだけで一気にスープの表情が変わります。結構辛いのですが、すぐにすっと辛味が引いてシャープな後味となります。
最後にはちんすこうまでいただいてしまいました。うれシーサー。写真に乗せていないものも含め、お会計は3人で約120万ドン。やっぱり複数人で行くと色々食べられて良いな…という、当たり前すぎる事実に気が付きました。
「Mi Soba Okinawa」の店舗情報
ホーチミン市・ビンタイン区の沖縄料理レストラン「Mi Soba Okinawa」をご紹介しました。
こちらのお店、客層は日本人・ベトナム人のみならず、多国籍に渡るそう。台湾人(近くの高級コンドミニアム・City Gardenに多く住んでいるらしい)をはじめとし、欧米人も訪れるそうです。年末に訪れたフランス人のお客さんは、年越しそば需要のためスープが鍋の底をついたことを知り「俺の胃袋をどうしてくれるんだ…」と落胆したとか。
何にせよワタクシ、沖縄料理にこれまで触れてこなかったことを反省しました。誠に申し訳ございまセンチメートル(反省しろ)。こんなにも奥深い沖縄料理の世界をもっと知りたくなったところです。