2024年11月、ホーチミン市1区に牛丼チェーン「松屋」がベトナム1号店をグランドオープンしました。これをもって、ベトナムに日本の3大牛丼チェーン店である、すき家・吉野家・松屋の全てが出揃ったことになります。
当ブログでも先日「松屋開業予定地を見に行こう」と題した記事を上げていたのですが、実際に食べに行くのはもう少し後になってからでも良いかな、なんて考えていました。プレオープンに呼んでもらえなかったし(まだ言ってる)。
が、ある日、流れで同僚たちと「食べに行こう!」という話に。11月21日のグランドオープンから数日経った、松屋1号店の様子をお届けします。
松屋は三番手。先行する他社の状況は?
松屋1号店の紹介…の前に、既にベトナムで展開しているライバルたちの情報から。いずれも2024年11月時点のデータです。
すき家
進出年 | 2016 |
店舗数 | 21 |
牛丼のサイズ | S・M・L・2X・Mega |
牛丼の価格帯 | 45,000〜130,000ドン |
まずはすき家。2016年の進出後、順調に出店を進めています。今や日本人が殆ど訪れない地域にも店舗があり、ベトナムローカライズに成功した貴重な日系チェーン店のひとつと言えるでしょう。ラーメンなど、ベトナム独自のメニューも扱います。
補足として、サイズの「2X」は「アタマの大盛」のこと。また、Mサイズの牛丼は54,000ドンです。
吉野家
進出年 | 2020 |
店舗数 | 3 |
牛丼のサイズ | R・L |
牛丼の価格帯 | 68,000〜85,000ドン |
お次は吉野家。実は2015年にベトナムへ一回進出していたのですが、その後撤退。公式サイトでも触れられていないため、一度目の進出は完全なる黒歴史と化した模様です。
その後、ベトナムにおいて「丸亀製麺」や「CoCo壱番屋」などを手がける「LOTUS GROUP」と組み、2020年に再度ベトナム進出を果たしました。現在は再び店舗数を増やしている段階です。
吉野家の価格帯は、すき家と比較すると少し高め。店舗の内装も凝っており、高級路線を目指しているように見えます。
松屋・ベトナム1号店の場所
さて、ホーチミン市1区にある「mPlaza Saigon(Mプラザ・サイゴン)」にやって来ました。
「mPlaza Saigon」は、オフィス・商業施設・高級レジデンス・5つ星ホテル(JWマリオットホテル&スイーツサイゴン)から構成される複合施設です。日本人が想像する牛丼チェーンとしての「松屋」のイメージからすると意外も意外というか、かなりおハイソなところに出店したな、という印象。
お、やってるやってる。見覚えのある青と黄のカラーリングとロゴを発見し、一安心。場所は1階、カフェチェーン「PHUC LONG」の隣ですね。
ベトナム版松屋のメニュー
ベトナムにおける松屋のメニューはこちら。揚げ物など、日本の松屋には無い独自メニューにも注目!
丼はMサイズの値段しか書かれていませんが、実際はそれ以外のサイズもあります。一番ベーシックな「牛めし」はMサイズが55,000ドンですね。
松屋の牛めしの紹介。カナダ産牛肉のほか、米はメコンデルタ産のジャポニカ米を使用しているとのこと。
注文ですが、セルフオーダーキオスクか有人カウンターで行います。
セルフオーダーキオスクではMoMoや銀行のアプリなどを用いたバーコード決済のみを受け付けます。言語は日本語とベトナム語の2種類がある…のですが、切り替え方が分からない。何とかベトナム語表示のキオスクで支払いまで完了させられました。
有人カウンターで注文する方が楽かもしれないですね。こちらは現金に対応。
おそらくマネージャーの方だと思うのですが、非常に流暢な日本語をお話になるベトナム人スタッフさんが居ました。日本語話者のベトナム人同僚も「日本人じゃないの!?」とざわつくほど。
松屋・ベトナム1号店の様子
店内の様子はこんな感じ。出店場所が出店場所なので、果たして高級路線な内装とするのかどうかが気になっていましたが、ファストフード店らしい合理性はありつつも、黒と木目を基調とした明るい雰囲気で好印象。同フロアの他のレストランとは違い、肩肘張らずに入店出来そうです。
客層的は、平日18時に訪れたこともあり、やはり近隣で働いていると思わしき日本人ビジネスマンの姿が目立ちますが、ベトナム人の姿もちらほら。
店内にはモニターがあり、料理が出来上がったら呼び出しがされます。レシートに印刷された番号を要チェック。なお、スタッフによる番号の読み上げも、当然のようにベトナム語・日本語の両方で行われておりスゲエ!と思いました。
ベトナムでは珍しい、食器の返却口。マクドナルドなどでもゴミ箱兼トレーの返却場所がありますが、明確に「食器返却口」を設けるのはなかなか無いのでは。日本在住経験のあるベトナム人同僚は「ここ日本?」「(ベトナムに戻ってきて長いから)このシステム忘れちゃった」などと言いつつ楽しげでした。ところで、日本の松屋って食器返却はセルフだったっけ…?
紅しょうがなどのトッピングや、調味料は一箇所に纏められており、ここから適宜取っていくことになります。
すき家や吉野家では卓上に紅しょうがや調味料が置かれているわけで、あえてこのようなシステムとした理由が気になる。上記の食器返却口と合わせて、オペレーションの負担を軽減するためだろうか。
まあ、この店舗は大きくないし、立地的に日本人(=セルフサービスに慣れている)が多く訪れるから、このシステムで問題ないと判断したのかな。2号店となるであろう、ビンタイン区・Nguyễn Gia Trí店ではまた違ったシステムとなりそうですね。
ネギたま牛めしを実食!
着丼。私の注文した「ネギたま牛めし(M)」がやって来ました。
赤いコチュジャンソースがかかっているところを見ると、日本の松屋における「ネギたっぷり旨辛ネギたま牛めし」に該当すると思われます。サイズは、日本のMサイズと比べると気持ち小さめかな?2年以上松屋食べてないから分かんない。
単品では75,000ドン。それに、味噌汁とサラダのセット(35,000ドン)を付けました。日本の松屋では味噌汁が無料ですが、価格を抑えるためにそういった要素がスポイルされるのは仕方がない。まだ一店舗目だから工場大量生産でのコストメリットも見込めないだろうし。
うーん美味い美味い。とろーり半熟卵と、シャキシャキのネギ。日本のものは根深ネギを使用しているようですが、こちらは葉ネギですね。お米もガス炊飯しているとのことで、ふっくら美味。
サラダのドレッシングも、ベトナムではあまり見ない味。すりおろし野菜のドレッシングかな?ごまドレッシングが定番すぎて少し飽きが来ていたので、このような変化球は良いですね。
アタマの味は…前述の通り、2年以上日本の松屋に行っていないので、厳密に比較は出来ないのですが、記憶の中の松屋に近い…と思いました。個人の感想です。
同僚(日本人)の注文した「ネギ塩豚焼肉定食」89,000ドン。豚焼肉定食は日本にもありますが、ネギ塩ソースはベトナム独自かな?
結構辛めの味付けだったらしく、「米が進む!」とご飯をおかわりしていました。…松屋のご飯、丼で提供されるから結構量多いですよね。リアルもちづきさんかな?
同僚(ベトナム人。日本に住んでいた頃は吉野家に2年間通い詰め、その結果飽きた)の注文した「豚生姜焼定食」99,000ドン。ベトナム独自メニューですね。
豚ロースに、見るからにたっぷりとすりおろし生姜が入ったタレが絡んでおり美味しそう。生姜の香りが「ムワッ」と漂うため、かなり生姜の味が強いと思われる。私としては断然好みの味な気がしているので、次回試してみたい。
同僚(ベトナム人。3大牛丼チェーンでは松屋が一番好き)の注文した「キムカル丼」99,000ドン。一口貰ったのですが、完全に日本の松屋と同じ味で感激しました。
完食。そういえば、飲み物注文してなかったな…。無糖の緑茶(19,000ドン)がメニューにあるので、次は注文するようにしよう。
松屋のベトナム進出を祝し、記念撮影。「地元のクセ強めの友達」みたいな感じだな…。
松屋・ベトナム1号店の店舗情報
ホーチミン市1区にある、松屋・ベトナム1号店の様子をご紹介しました。
価格帯的から見るに、すき家と吉野家の中間ポジションを狙っていく感じなのかな。特に、すっかりローカライズの進んだすき家の牙城を崩すことは難しいと思いますが、今後の店舗数拡大やメニュー拡充に期待したいところ!
ところで気になったのが、店内のベトナム語に併記されているのが日本語のみで、英語表記が無いのですよね…。現状、ベトナム人と日本人だけをターゲットにしているのか、それとも日本っぽさを出すためのブランディングの一環なのか…!?
何にせよ、日本のお店が増えていくのは嬉しいことです。サイゼリヤ・ロイヤルホストの出店も控えているらしいし、楽しみ。
なお、オープン記念で、Facebookにチェックインするなどの条件を満たすとグッズを貰うことができます。数量限定・期間限定と思われるため、お早めにどうぞ。