屏東の街を歩いていると、歴史の断片が独自の風景を作り出していることに驚かされます。特に前回紹介した「勝利星村創意生活園區」の周辺はリノベーション建築の宝庫。

で、その勝利星村のすぐ隣、康定街の路地裏に何やら面白そうなスポットを発見。本記事では、「夢想街(ゆめまち)」と、その一角で営まれる「藤原菓子店」をご紹介します。
日本愛溢れる「夢想街(ゆめまち)」

勝利星村の区画の南、少し細い路地に「夢想街(ゆめまち)」はあります。足を踏み入れると、風景は一変。赤レンガの古い建物が並ぶ一方で、ビビッドな壁画や日の丸、そして青天白日満地紅旗が彩ります。

中央のアトリウムまで進むと…な、何事!?クラシックカーが鎮座してるわ、毛利探偵事務所(よく見ると「偵探」になっている)があるわ、鴨川ボクシングジムがあるわ、一体ここは何なのだ?

この場所の歴史は、約80年前にまで遡る模様。もともとは屏東客運(バス会社)の宿舎として使われていた建物でしたが、長年放置され、一時は廃墟のような状態にあったそうな。
その場所を「一針一線、夢の庭を築く」という信念のもと、私設のマーケットとして蘇らせたのが、主理人の容哥(ロンゴー)氏です。
容哥氏は、幼少期から自動車整備を学び、カーレースや改造車文化を深く愛したとか。彼はこの歴史的な建物の原汁原味(本来の持ち味)を壊すことなく、自身の情熱である自動車文化と日本的要素を融合させることを決意しました。日本人パートナーたちと共に議論と試行錯誤を重ね、デザインを練り上げたといいます。
AE86が鎮座する「藤原菓子店」

そんな、誰かの夢を形にした基地のような夢想街。その中でも特にインパクトを放つのが、屏東在住の日本人夫婦が経営する「藤原菓子店」。オーニングだけ見ると、よくある日本の和菓子屋みたいに見えますが…?

異様な存在感を放っているのが、店前に鎮座するパンダトレノの愛称で知られる「AE86(ハチロク)」。

やたら海外人気も高い『頭文字D』の主人公、藤原拓海が乗る「藤原とうふ店(自家用)」のロゴ入りであり、単なる飾りではなくお店のアイデンティティそのものです。

当然、ナンバーも「群馬55 お 13-954」なので安心!(何が?)このお店のオーナーも「拓海」さんであり、出身地も物語の舞台である群馬県。ご夫婦が容哥氏の想いに共鳴してこの場所で創業したそうな。Takumi〜 Takumi〜 wow wow wow You got to be a star〜

店内は、カウンターがわずか6席という、非常に限られた空間です。内装は明るい色味の木材を基調としており清潔感があります。なお、BGMとしてゴリゴリのユーロビートが流れているわけではないのでご安心を。

「藤原菓子店」のメニューを手に取ると、日本の「御食事」と「和菓子」が並びます。
食事メニューは、素材にこだわった「純日式カレーライス」や「自家製チャーシュー丼」など。一方で、甘味も充実しており、三色団子や醤油団子、抹茶や桜を用いた最中など、海外在住者の身としては目移りするようなラインナップが揃っています。
ドリンクメニューも独創的。地瓜(さつまいも)や黒胡麻を合わせた豆乳シリーズのほか、日本の喫茶店と言えばなアイスクリームソーダが、桜、メロン、ブルーの3色で展開されています。

今回は、「醤油団子(60元)」と、季節感溢れる「櫻花冰淇淋蘇打(桜アイスクリームソーダ・130元)」を注文。

醤油団子。花を象った小皿に盛られたその姿は、琥珀色のタレが照明を反射して艶やかに輝いています。作りたての団子は柔らかく口内で溶けていくよう。過度な甘さはなく、香ばしさが後を引く品のある味わいでした。

櫻花冰淇淋蘇打。春の訪れを告げるかのような美しさ(もう5月だけど)。粉砂糖?がかかっており、シャリシャリした食感がユニークでした。

勝利星村の観光で歩き疲れたら、ぜひこの夢想街と藤原菓子店へ。ハチロクの横を通り抜け、和菓子を頬張ってみては?


