スフレパンケーキ。日本では2010年代にブームとなり、一時期は多くの専門店がオープンしていた記憶です。私も、パンケーキブームを牽引した「幸せのパンケーキ」で食べたことがあります。3回くらい。
今は以前ほどの人気では無いとは思うのですが、なんにせよあの「ふわっ」「しゅわっ」とした食感は何物にも代えがたい。
で、そんなスフレパンケーキがホーチミン市でも食べられる、というじゃないですか。こうしちゃいられねえぜ!(興奮)
本記事では、ホーチミン市旧1区のデザートカフェ「THE CORY COFFEE & BAKERY」をご紹介します。
「THE CORY COFFEE & BAKERY」の場所

旧1区の南西部、グエンヴァンクー (Nguyễn Văn Cử) 通りにやって来ました。JollibeeやSacombankの大きな看板が並ぶ、交通量の激しい片側3車線ほどの大通りであり、道路の向かい側は旧5区です。

この通りのどこに? と思いきや、目印は小さなヘムの入口。青いゲートに「KHU PHỐ VĂN HÓA(文化街区)」と書かれた看板が目印です。

ゲートをくぐると、そこは大通りの喧騒が嘘のような、ローカルな生活空間。人々が暮らし、バイクが停められた狭い通りをどんどこ進んでいきましょう。

壁一面を覆うように、ツタや観葉植物が溢れる緑の一軒家。こちらが「THE CORY COFFEE & BAKERY」です。ヘム(路地裏)の生活感あふれる風景の中で、ここだけがまるで小さなオアシスのように際立っている。

お店の看板には「Do you have 20-30min for a fresh cake?」という、お店のこだわりを感じさせるメッセージが。まあ、20-30分どころではなかったのだが…(後述)。
「THE CORY COFFEE & BAKERY」の店内

えー、朝10時に訪れたのですが…ほぼ満席でした。テーブルは、1階に3つ、2階に4つとごくわずか。かろうじて2階の小さなテーブルが1つだけ空いていましたが、3人で共有するにはちと辛い。その後、別のテーブルが空いたのでそちらに移動しました。

ということで店内の紹介。1階は大きな木製のカウンターと、その奥のオープンキッチンが特徴。壁には水槽、レトロなステレオ、ステンドグラス調のランプシェード…と、装飾はされていますが、映え狙いではない感じです。

足元には黒いワンちゃんが。この子がここの看板犬のようです。ドアの隙間からひょっこり顔を出す姿がたまりませんな。

カウンターの脇にある、少し…いや、かなり急で細い木製の階段を上がっていきます。

2階の客席スペースに入るには、階段を上がったところで靴を脱ぎます。まさにお家スタイル。


壁は鮮やかなグリーンと温かみのあるイエローで塗られ、窓からはヘムの風景が差し込みます。本がぎっしり詰まった本棚、懐かしのラジカセ(ただのインテリアでした)、ゆったりしたソファ席や、私たち3人がギリギリ座れた小さなテーブル席。

で、意外だったのが、複数の欧米人グループや中華系のカップルなど、外国人客の姿が多く見られたこと。たしかに中心部ではあるけど、偶然通りがかって見つけられるようなロケーションではないし、ガイドブックに乗るようなお店でも無いと思うのだが…?やはりTiktokなのか。

そして、奥のバルコニーを覗き込むと…。

そこには大きなケージがあり、数匹の看板猫たちがくつろいでいました。

さらにはインコも。1階に犬、2階に猫と鳥。動物好きにはたまらない空間です。
「THE CORY COFFEE & BAKERY」のメニュー
それではメニューを拝見。ベトナム人の同僚2人と行ったのですが、全員まとめて外国人と思われたのか英語メニューを出されました。まあ、日本語で会話してたし…。

主役は「ジャパニーズ・スフレ・パンケーキ」。もちろん、お目当てはこれ。そのバリエーションの多さに圧倒されます。

さらに、「今月の新作」としてアップルパイもプッシュされていました。

ドリンクメニューはこちら。コーヒーはベトナム定番のPhin sữa đáはもちろん、Cà phê trứng(エッグコーヒー)や、Muối phô mai(ソルトチーズコーヒー)、Tiramisu coffeeなど、デザート系のコーヒーが充実。抹茶やティー&ソーダも豊富に取り揃えています。

パンケーキとドリンクのお得なコンボもありました。
実食。待ち時間の価値はあるのかどうか
で、迷いに迷ってパンケーキを注文したのですが…「40分待ってね」とのこと。おおお、マジか…。同僚に「待っている時間が食事を美味しくする」というベトナムの言い回しを教えてもらいつつ、辛抱強く待つことに。

まずはドリンク。私の注文した「Soda Chanh Mint(レモンミントソーダ)」と、同僚のひとりが注文した「Earlgrey Matcha」。大体10分以内に提供されました。

甘さは控えめで、ライムのキリッとした酸味とミントの程よい清涼感が心地よい。濃厚な抹茶パンケーキの甘さを、うまくリセットしてくれそうな1杯。
で、ここからが長かった。もう1人の同僚が注文したドリンクが一向に来ないのである。

結局、注文から40分ほど経ったタイミングで「Cà Phê Trứng(エッグコーヒー)」が提供されました。一からエッグクリームを作っていたのだろうか…。

カクテルグラスで登場したエッグコーヒー。もったりと重いカスタードクリームのような泡は、確かに手間がかかりそう。コーヒー自体も加糖されていたようで、全体的にかなり甘い、というのは同僚の弁。
そして、メインのパンケーキ。予告の40分を過ぎ、50分が過ぎ…。
最終的に私たちのテーブルにパンケーキが運ばれてきたのは、注文から1時間後だったのであった。日曜朝の満席時という最悪のタイミングだった可能性もありますが、ドリンクもパンケーキも、提供までにかなりの時間がかかることを覚悟しておきませう。

というわけでご対面、「Cream Brulee Matcha」。1時間待ったフラストレーションもどこかへ吹き飛ぶ、圧倒的ビジュアル…!待って無理しんどい(限界オタク)。

高さのある分厚いスフレパンケーキが2段。その上から、鮮やかな緑色の抹茶クリームソースがとろーりと。名前の通り、ソースの表面はパリパリにキャラメリゼされています。脇にはたっぷりのホイップクリームと、スライスされた新鮮なイチゴ。

というか、思った以上にデカいぞ!?サイズ比較用に、脇にスマホ(Xiaomi 14)を置いてみました。

しゅわ、という繊細な音とともにスプーンが吸い込まれていきます。

一口食べると、これは、もう、革命不可避の美味しさ。万国の労働者よ、団結せよ…!(プロレタリア国際主義)

ふわふわでありながら、口に入れるとしゅわっと溶けて無くなります。これはもう飲むパンケーキ。

濃厚な抹茶クリーム。抹茶のほろ苦さがしっかり効いていますが、クリームのまろやかさと、ブリュレされた表面のカリッとした食感、そして芳しい苦味が、全体の味を引き締めています。

生地が軽いので、みるみるうちに減っていきます。2人か3人でシェアしてちょうど良い量ですね。たぶん、1人で食べると半分くらいで飽きが先に来ちゃうかも…甘党ならいけるか?

そのままあっという間に完食。1時間待った甲斐がありました。
「THE CORY COFFEE & BAKERY」の店舗情報

ホーチミン市旧1区のデザートカフェ「THE CORY COFFEE & BAKERY」をご紹介しました。
ヘムの奥に進む探検感、犬や猫が出迎えてくれるアットホームな雰囲気、そして何より、現在のホーチミン市ではほぼ唯一無二と言ってもよさそうなスフレパンケーキ。
ただし、人気店ゆえの「待ち時間」はガチ。混雑時だったとはいえ、注文から提供まで1時間(ドリンクも40分)かかりましたので…。
ということで、アドバイスとしては「時間に余裕があり、お喋りをしながらのんびり待てる人と行くこと」。これに尽きます。
…正直、店員さんも余裕が無い感じだったので、あまりホスピタリティとか求めてはいけません。広い心を持ちつつ、自分からアクションを起こしましょう。
「今日はパンケーキ食べるぞ!」と固く心に決めた日に、ゆったりした気持ちで焼き上がりを待つ。そんな感じで楽しんでください。
…でもまあ、私はまた行くと思います。パンケーキのため、喜んで1時間待とうじゃないですか。

