早寝早起きなベトナムの人々。朝5時台には既に車やバイクが走っており、公園では早朝から筋トレ・スポーツ・謎の体操(!?)などのアクティビティに勤しむ老若男女が溢れかえります。
カフェや食堂は朝7時台から営業していることも多く、来越当初は驚いたものですが、むしろ今はそれに慣れきってしまい、周辺国を旅行した際に「あれ、まだ店開いてないの?」となることもしばしば。
そんなベトナムですが、とりわけホーチミン市のような都市部では、ここ10年ほどで人々のライフスタイルが変化し深夜経済が活性化。マクドナルドのベトナム進出や外資系コンビニの台頭が皮切りになったのだと思いますが、24時間営業のお店がしばしば見られるようになりました。
ベトナムでよく見かける24時間営業のお店と言えば、専らカフェ。「終電という概念も無いベトナムで、わざわざ深夜に訪れる客が居るのか…?」とお思いの方も居るかもしれませんが、これがもう、若者で大・混・雑しているのです。
そんなわけで本記事では、ホーチミン市内の24時間営業カフェチェーンを特集したいと思うよッ!
ほぼない!?深夜のカフェあるある
それでは、各チェーン店のご紹介…の前に、誰にも共感されなさそうな「ベトナムの24時間営業カフェにおける深夜あるある」をお伝えしたいと思います。
混雑し始めるのは22時以降
カフェ文化が根付くベトナム。飲み屋ではなくカフェで夜遅くまでお喋りに興じるのがベトナム流です。そんなわけで、主要カフェチェーンはもちろん、たとえ路地裏のお洒落カフェであっても22時くらいまでは営業していることが多いです。


そして22時以降、行き場を失ったカフェ難民が24時間営業のカフェに押し寄せます。上記の画像は、24時間カフェ「Three O’clock」のビンタイン区・Nguyễn Gia Trí 店の店内で、このときは20時。ほぼ客が居らずガラガラですが、この2時間後、誇張無しで満席となりました。
始発待ちを思わせる腐った雰囲気

こうして22時以降カフェに押し寄せた人々。テーブルを囲みお喋りを楽しむ仲良しグループ、ラップトップを広げて作業をしている学生や夜型フリーランサーなど、人々の属性や過ごし方は様々です。

あとは、模造紙と画材を広げ、集団で何やらクリエイティブな作業をしている若者。この手のグループをよく見かけるのですが、一体何を創っているのだろうか…。机に画材の跡がべっとりと残っていることもままあります。
とまあ、各々が深夜のカフェで思い思いに時間を過ごしているわけですが、徐々に様子が変わり始めます。丑の刻をまわる頃には、まだまだ元気にお喋りに興じる人々や無言で作業を続ける人も居る一方、テーブルに突っ伏す者、周囲も厭わず長椅子に横になる者も現れ始めます。
この溢れるグダグダ感、どこか既視感があるな…と思っていたのですが、アレだ。オールで飲み会やカラオケをしたときに、ひとしきり盛り上がったあとに広がる腐った雰囲気だ。始発を待つために明け方までダラダラしている、あの感じです。深夜のカフェで人間観察をするのもまた一興。
清掃のため座席から追いやられがち
そんな腐った雰囲気は徐々に店員にも波及。客席に置かれた飲み残しのカップも下げられず、掃除が疎かになり始めます。せっかく整然としていた椅子やテーブルの配置も、客がフリーダムに動かすため乱れまくり。
これは深夜帯だからスタッフが少なくオペレーションが回っていない…ことは無く、確かにスタッフの数は少ないのですが、大抵カウンターの中で椅子に座り足を投げ出してスマホをいじっています。もしくはスタッフ同士で楽しくお喋りしているか。
とは言え、深夜の勤務は心身共にしんどいことでしょうし、「ああ、仕事なんてこのくらいの姿勢で良いんだよな…」と思わさせられます。
とは言え、決められたオペレーションはしっかりやります。複数のフロアを備えるカフェの場合、深夜3時くらいを回ると、稼働率が低いフロアの「締め作業」が始まります。
そうなると「ここ締めるから、下のフロア行ってくれる?」と言われてしまうので、夜を明かすつもりであれば、なるべくカウンターのあるフロアから近い低層階に陣取る方が良いです。
チェーン紹介①「Three O’clock」
ホーチミン市における24時間営業カフェの先駆者のひとつ「Three O’clock」。以前、当ブログでも記事にしたことがあるのですが、今読み返すと内容スカスカで目も当てられないため、再度取り上げたいと思います。

「Three O’clock」の1号店は、ホーチミン市10区・グエンチーフオン (Nguyễn Tri Phương) 通りにオープンしました。1号店は現存しないものの、その後も堅実に成長を続け、現在は1区・5区・11区・ビンタイン区・ゴーバップ区・トゥードゥック市などに幅広く店舗を展開します。

「Three O’clock」の店内はモノトーンを基調としたスタイリッシュな雰囲気。


扱うドリンクは、コーヒー・ミルクティー・フルーツティーを軸としています。

また、ドリンクのみならずペイストリーや軽食も扱います。ペイストリーのラインナップは以前記事を書いたときから変わっており、味も美味しくなった気がする。種類も豊富です。

おすすめは、大きなライチがゴロゴロと入った「Trà Nhài Vải(ライチジャスミンティー)」58,000ドンと、プリンとガトーショコラが合体?した「Flan Gato」35,000ドン。「Three O’clock」のお茶系メニューは、独特の苦みがあって好きなんです。
チェーン紹介②「Thức Coffee」

「Thức Coffee(トゥックコーヒー)」は、高品質のコーヒーとくつろげる快適な空間を顧客に提供することを目的として2017年に設立されたカフェチェーン。
ホーチミン市内の1区・4区・フーニャン区・ゴーバップ区などで複数の店舗を展開します。観光客にとって馴染み深い1区にも店舗がありますよ。

コーヒー・ミルクティー・フルーツティーといったベーシックなドリンクは勿論、スムージーやジュース、ヨーグルトドリンクなど、メニューはバラエティ豊か。全国チェーンでは無いながら期間限定メニューもあり、客を飽きさせない工夫があります。

軽食も扱います。この写真だとあんまり美味しそうには見えないですが。

いつぞやにケーキを食べましたが、美味でしたよ。

また、コーヒーの質には自信があるそう。ベトナムの主要コーヒー栽培地域から厳選された高品質のロブスタとアラビカのコーヒー豆を使用している、とのこと。

おすすめは「Mix Fruit Strawberry」65,000ドン。バナナの甘さとベリーの爽やかな酸味が広がるデザートスムージーです。
チェーン紹介③「Kai Coffee」

「Kai Coffee」は、広々とした店内が特徴の24時間営業カフェ。店舗は主に、1区・5区・ビンタイン区・タンビン区などにあります。1区の店舗は、バス会社がいくつか位置するグエンタイビン (Nguyễn Thái Bình) 通り沿いにあるので、旅行者でも目にする機会があるかも。

自然光を取り入れる大きな窓を備えていることが多く、木目を基調としたインテリアと相まって、居心地の良い雰囲気を醸し出しています。

夜になると、たくさんの照明が店内を優しく照らし、格調高いながらも賑やかな雰囲気に。…いや、比喩ではなく実際に賑やかなのだった。


メニューはこちら。なかなかにバラエティ豊かですね。フラッペの種類が多く、甘党としては心惹かれるものがある。メニューは英語表記の方が強調されており、また写真があるのが嬉しいですね。

ペイストリー・軽食もあります。所謂「総菜パン」的なものが多く、小腹が空いても安心ですね。

おすすめは「Fresh Fruit (L)」55,000ドン。細かくカットされたフルーツがゴロゴロと入っており、まさに「食べるドリンク」です。
チェーン紹介④「Bamos Coffee」

ホーチミン市・7区の路地裏にある小さなカフェから始まった「Bamos Coffee」。現在は7区・ビンタイン区・ゴーバップ区・トゥードゥック市に店舗を展開します。郊外への出店がメインのようですね。
他の24時間営業のカフェチェーンに無い特徴として、「Bamos Coffee」は単なるカフェではなく、コミュニティの生活空間の創造を目指しているとのこと。店内では石膏人形の色塗りイベント、アコースティックライブ、タロットカード占いなど、様々なアクティビティが催されています。
おそらく、利用者側でフロアの一角を貸し切ることも可能だと思います。何かイベントを開催したい方は会場として検討しても良いかも?(詳細は店舗にお問い合わせください)

メニューはコーヒーやミルクティー、フルーツティーの他、スムージーやフラッペも扱います。他チェーンよりも全体的に価格が安く、それもあってか若者から支持されているように思えます。

ビンタイン区・ンゴタットトゥ (Ngô Tất Tố) 店は、今まで訪れた24時間営業カフェの中で一番カオス。利用客は「思い思い」を通り越し「好き勝手」に過ごしていると言ったほうが正しいですが、若者たちからはある種の勢いというか、エネルギーみたいなものを感じます。

なお、上記店舗の店内は年季を感じる上、お世辞にも清掃が行き届いているとは言えません。広い心で利用しましょう。コンセントはあちこちにあるし、Wi-Fiの速度も悪くないので、便利は便利。他の店舗は、写真を見る限りもっと綺麗に見えるので、機会があれば行ってみたい。

おすすめは「Trà Lài Đác Thơm」55,000ドン。パイナップルジャスミンティーに、サトウヤシのシロップ漬けをトッピングしたボリュームたっぷりのドリンクです。
チェーン紹介⑤「YoshiYoshi Coffee & Tea」

最後に紹介する「YoshiYoshi Coffee & Tea」は、24時間営業カフェの中でも後発のチェーン店。店舗は現在、1区・5区・ゴーバップ区に3店舗があるのみですが、そのうち1区店はベンタイン市場から徒歩数分という、なかなか良いロケーション。


新興のカフェということもあり、内装は今回紹介したチェーンの中で最もスタイリッシュかもしれません。モノトーンを基調としており、デザインコンセプトが近しい「Three O’clock」よりもさらにミニマルな印象を受けます。

メニューも、他のカフェに無いような個性的なドリンクが多くて面白い。氷の量・甘さといったオプションが明示されているのも好印象です。

カフェオリジナルグッズもあります。お土産にどうぞ!?

取材のために店内を写真に収めていたのですが、店員さんがカメラを向けても無いのにポーズを取ってくれるなど、ノリノリでした。このとき朝の5時だったので、夜勤明けでハイになっていただけかもしれませんが。

おすすめは「Trà Xanh Yakult (L)」55,000ドン。台湾でお馴染み?の、緑茶ヤクルトがココでいただけます。緑茶と言っても苦味はなく、ただただ爽やかな後味が広がりますよ。
なお、1区店は客席が3フロアあるのですが、上記の訪問時、2階が貸し切られており、中を覗くとズラッと並んで座った男性たちがスタイリストにより一斉にメイクをされていました。果たして何だったんだあれは…。もしかしたら明け方に夢を見ていたのかもしれないな。
まとめ
「ホーチミン市の24時間営業カフェチェーン特集」ということで、5つのカフェを一挙ご紹介しました。
カラオケや居酒屋など「朝までやってる」お店なら日本にも多くありますが、24時間営業のお店というのは近年の働き方改革の影響もあり、日本国内では減ってきているのでは無いでしょうか。そして、ネットカフェならまだしも、「普通のカフェが24時間営業している」というのは日本ではなかなか見られない光景のハズ。
コンセントや無料Wi-Fiを備え、時間制限も原則無しと、とにかく利用者に優しいベトナムのカフェ。夜通しお喋りや作業に没頭する若者からエネルギーを貰いつつ、24時間営業のカフェで夜を明かしてみては!?