陶芸哲学にインスパイアされた和カフェで、季節の情趣に想いを馳せる*Yakishime@カントー

カントー

ベトナム南部・メコンデルタ地方最大の都市であるカントーに来ています。

カントーの街を散策しようとGoogleマップを眺めていたところ、気になるカフェを発見。

ベトナム人の「仮想生活(=映え写真をSNSに上げてキラキラアピールをすること)」欲を満たしてくれそうなお洒落カフェなのですが、コンセプトはまさかの「和風」、しかも一つ一つの要素が本気《ガチ》なのです。これは…訪れてみなければ。

本記事ではカントー市内中心部のカフェ「Yakishime(やきしめ)」をご紹介します。

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「Yakishime」の場所・外観

Yakishime」が位置するのはグエンクーチン (Nguyễn Cư Trinh)  通り沿い。商店のような小さなお店がいくつか並びますが、基本的には静かな住宅街といった感じです。

早速ですが、「Yakishime」の外観はこちら。提灯に瓦風の庇にと、ザ・和風という感じですが、決してやり過ぎの演出では無いところが良いですね。

竹のような素材で出来たポーチライトは、茶筅のようにも見えるところがポイント。後述の通り抹茶を推しているカフェなのでぴったりですね。

お店の看板は、店名の「Yakishime」に敢えて手書き風フォントを充てがい、ちょっとゆるい感じを出してハズシを加えてきたところがにくいですね。それは良いのだけど、日本語の「やきしめ」に使われてるフォント、『吐き溜』じゃない?ちょっと恐い感じになっちゃったじゃねえか!(三村風)

「Yakishime」に込められた意味

ところで、気になっていたのが、店名の「やきしめ」の意味。よく見ると入口には注連縄が飾られています。つまり、「焼き+注連縄」で「お焚き上げ」のことだったんだよ!な、なんだってー…と言いたいところですが、答えはお店のインスタにありました。

「焼締め」とは、素焼きの陶器を高温で焼き上げる技法です。 これは陶器の最も基本的な製造方法ですが、日本では伝統文化の一環として特殊な方向に発展してきました。

私は本質、シンプルさ、そして「詩」を保つことにしました。 華美ではないが親しみやすく、静かで、素朴―それが私の人生哲学であり、「Yakishime」を通して伝えたいインスピレーションです!

渋すぎる。そもそも「焼締め」と言われて理解できる日本人が何人居るかって話ですよ。(「え〜、そんなのもわっかんないの〜?」と言いたくなる気持ちは分かりますが、どうかこの場は浅学菲才な私を優しく見守ってください)

そんな、「和」に強くインスパイアされたこちらのカフェ。早速入ってみますよ。土足禁止なので入店前に靴を脱ぎましょう。

「Yakishime」の内装

店内に入ると…おお、なかなかの混雑っぷり。あまり大きなカフェではありません。モノトーンと暗褐色をベースとした洗練された空間に、和のエッセンスが散りばめられています。

まずはカウンター。丸久小山園や一保堂をはじめとする、京都産の抹茶が並べられています。

抹茶の種類ごとに解説が。これは…思った以上に本格的な和カフェかも。

自然光を取り入れる大きな窓。窓の外には竹が生えており(日本のより細いけど)、趣たっぷり。

店内奥には座敷席も!そして、和室といえば丸窓だよね。

障子(のようなもの)に映り込む笹の葉の影。これは墨絵の世界観だ。

光と影を意識した空間づくりであるように思えます。

番傘を組み合わせたような形の照明。和風と言えば和風なんだけど、日本人には中々出来ない、斬新な発想が良い!

この照明は…何だろう。鬼灯のモンスターか何かかしら。

「Yakishime」のメニュー

それでは注文。メニューは以下の通り。

「はる」「なつ」「あき」「ふゆ」の4種類のメニュー。ドリンクには二十四節気の名前が充てがわれています。何それ格好良すぎる。

そう言えば入口に「霜降(そうこう)」のタイポグラフィがありましたね。二十四節気のひとつであり、秋が深まり霜が降り始める時期のことを表します。「しもふり」と読むと何か美味しそうな響きになってしまうので注意。

また、抹茶の種類やミルクの種類、抹茶の濃さを選択して自分だけの抹茶ラテを作ることも出来ます。抹茶を扱うカフェはベトナムにも数あれど、ここまでカスタマイズできるお店は限られるのではなかろうか。

二十四節気を冠するドリンクを飲む

私が注文したのは「KINH TRẬP」こと「Strawberry Matcha」。「KINH TRẬP」とは「啓蟄(けいちつ)」のことで、冬眠していた生き物たちが徐々に目を覚ます、春の訪れを感じさせる季節のことです。

抹茶ラテと、ストロベリーソースを合わせたドリンク。抹茶ラテは無糖なので、抹茶そのものの濃厚な旨味を味わうことが出来ます。まずは抹茶ラテとして楽しみ、その後かき混ぜて抹茶いちごラテにするのが良いですね。

ストロベリーソース自体はヨーグルトにかけるような既製品だと思いますが、甘く爽やかでまさに春を感じさせる、そんな「啓蟄」の名に相応しいドリンクだと思いました。

実は翌日にも再訪しました。このとき注文したのは、「BẠCH LỘ」こと「Soya Cream Matcha and Dango」。「BẠCH LỘ」は「白露(はくろ)」のことで、9月ごろにあたる、秋の深まりを感じる季節を指します。

トッピングの煎り大豆が香ばしい豆乳抹茶ラテ…なのですが、メニューにもある「Dango」が何故か付いてこず、それがショックすぎて味の記憶がありません。オーナーには説明を求めたい(その場で聞けよという話)。

「Yakishime」の店舗情報

お店の名前 Yakishime
住   所 57 Đ. Nguyễn Cư Trinh, An Nghiệp, Ninh Kiều, Cần Thơ
営 業 時 間 08:30 〜 22:00
Instagram

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