日常から一步離れ、海の見える田舎町でのんびりしたい…!突然、そんなことを思い立ちました。
それを叶えるべく、ベトナムの南中部沿岸に位置するニントゥアン省(Ninh Thuận)の省都・ファンラン=タップチャム市(Phan Rang-Tháp Chàm、以下ファンラン)へと、ベトナム統一鉄道に乗って行ってきましたよ。
ニントゥアン省についてですが、場所はニャチャンの少し南…といえば分かるでしょうか。美しいビーチや自然景観を有するほかにも、チャンパ王国時代の遺跡が多く残り、少数民族のチャム族が今なお独自の文化を引き継いでいます。
有名な観光地としては、塩田、ぶどう農園(ぶどう栽培が盛んです)、ビンヒー湾(シュノーケリングやダイビングを楽しめる)など。また、海沿いで風が強いことを利用した、数百基の風車が林立する風力発電所もあります。
ただ一人旅の場合、タクシーをチャーターでもしないとこれらにアクセスすることは難しそう。行きは良くても、帰りはタクシーが捕まらないかもしれないし。一応、市内中心部発の1DAYツアーを催行する旅行会社もあるみたいなのですが、例外なく2人以上からのプライベートツアーなので…。
そんなわけで、今回はホテルを拠点にただだらだらすることに。のんびりすることが目的だからね!
本記事では、ベトナム統一鉄道を利用してホーチミン市からファンランにアクセスする方法をご紹介します。
そもそもベトナム統一鉄道とは
先述の通り、今回移動手段に選んだのは飛行機でもなくバスでもなく鉄道だったのですが、まずは「ベトナム統一鉄道とは何ぞや?」というところから。
ベトナム統一鉄道の概要
ベトナム統一鉄道は、首都ハノイから南部ホーチミン市までを結ぶ鉄道。非電化なので、電車ではなく列車ですね。ここを間違えると電車警察がシュバってきます(私です)。
全長は約2,652kmで、ベトナムの主要都市を結んでいます。列車の速度は平均約50km/hで、ハノイからホーチミン市までの移動には約32〜35時間かかりますが、あえて鉄道でハノイ〜ホーチミン市間の移動に挑む旅行者も居るのだからすごい。
座席の種類
座席は大まかに、4列シートの「ソフトシート」「ハードシート」、寝台車両の「ソフトベッド」「ハードベッド」の4種類。座席によって料金が異なりますが、最も高額なのは「ソフトベッド」。
チケットの購入方法
チケットの購入方法は、ざっくり以下の3つ。
【UPDATE】2024年8月20日よりベトナム統一鉄道の公式サイトで、ベトナム国外で発行されたクレジットカードを使用しての決済、Apple PayやGoogle Payを使用しての決済が可能になりました。
さらに在住者であれば、各銀行のアプリや「MoMo」「ZaloPay」といった電子マネーアプリからも購入が可能です。今回は銀行(VietinBank)のアプリから購入してみました。
乗車・降車駅と日時を指定して、座席を選んだらあとは決済するだけ!簡単簡単。
ホーチミン市のサイゴン駅 (Ga Sài Gòn) から、ファンラン最寄りのタップチャム駅 (Ga Tháp Chàm) までは6時間ほどかかります。今回は金に物を言わせ、最高値の「ソフトベッド・下段」席を予約。運賃は、往路:596,000ドン、復路:522,000ドン。
購入が完了したら、統一鉄道のシステムから自動送信メールが送られてきます。原文はベトナム語ですが、「公式サイトからeチケットを確認してね〜」という内容。予約時の情報をもとに照会し、PDFをダウンロードしておきましょう。
また、当日は発車30分前までに駅に到着しておく必要があることに要留意。
早朝の列車でホーチミン市から出発
さて当日。早朝5時のサイゴン駅(ホーチミン市3区)です。こちとら午前2時半起きだよ!
乗り場は、発車30分前くらいに検札が始まってから入ることができます。事前予約したチケットと、あとパスポートを提示できるよう準備しておきましょう。
駅待合室には売店があります。価格は…まあコンビニよりちょっと高いかなって感じ。ロッテリアなんかもあるんですね。
検札を経て、プラットホームへ。乗車時にも検札がありますが、自分の座席がある車両からしか乗れないため、「時間が無い!とりあえず最寄りの車両から乗って自席に移動しよう…」という手段は取れません。ただし、乗車さえしてしまえば、他車両への移動は自由ですよ。
ベトナム統一鉄道・車内の様子
ソフトベッド席の様子。一人旅の場合、ほぼ間違いなく知らん人と同室になりますがそれもまた一興。みんな下段のほうが良いのか私の席におじさんが座ってましたが、言ったら普通にどいてくれました。たぶん、指定席を予約した客が来るまでなら使っても良い…みたいな暗黙の了解があると思われる。
リネン類は定期的に交換している…らしいので、それを信用して枕と布団を使いました。結構エアコンが強くて寒いんだよね。
下段ベッド傍らにはコンセントもあります。オータスカルタスカル。車両によっては付いていないこともあるので注意。
微妙な注意点として、鉄道は人里離れたエリアを走るため、通信が圏外になることがあります(Mobifoneの場合)。
車両を探検してみます。あ、貴重品の管理はくれぐれも自己責任で。一人旅の場合、同室の人に「これ見といて!」みたいなお願いができるよう、挨拶くらいはしておくと良いかもしれない。というか向こうから話しかけてくれます。
カップ麺用と思われる給湯器。中国の鉄道にもこういうのありますよね。というか中国語で書かれてるし、中国から持ってきたものだな。
洗面所。トイレは…写真を載せるのは控えますが、古さは否めないもののちゃんと掃除はされているように見えました。洋式と和式の2タイプで、新幹線や飛行機同様真空吸引式のトイレなので特に臭いなども気にならず。トイレットペーパーも備え付けられていましたよ。
定期的にやって来る車内販売。トウイツテツドウスゴクカタイアイスとかあるかな(無い)。
お昼時には食事の販売も。下車30分前くらいだったので食べなかったのですが、うず高く積まれた茶色いおかずたち、美味そうだ…。
6時間かけ、タップチャム駅に到着
予定より10分ほど遅れ、タップチャム駅に到着しました。地方の駅ってこんな感じなんだあ。駅前には何もありませんが、近くにチャンパ王国の遺跡があります。
駅を出ると押し寄せるタクシーの客引き、客引き、客引き。そしてそれに混ざるセオム(バイタク)の客引き。ホーチミン市ではもはやあまり見られない、ベトナムの原風景だ…。
Grab、使えます
それでは、ここからホテルのある海沿いまで移動します。
近年、ニントゥアン省の一部地域ではGrabが利用可能となりました。Grab Taxiなので、料金は固定ではなく結局メーターに左右されるのですが、Grabという仕組を経由するだけでも安心感がダンチだよね。
…まあ、車両数が少ないのかなかなか捕まらないこともありますが。最悪、白タクじゃ無ければ駅前で屯しているタクシーでも良いかな、と思っていた矢先、無事に1台配車することができました。
車種は、Xanh SMでも無いのに、VinFastのEVカーです。わーいオララッキーガール(ガールでは無い)。
ちなみにですが、市内ではGrab Bikeも利用可能。果たして需要があるのかは謎ですが。いやーだって、地元民は自分のバイクで移動するし、観光客は大抵グループだからタクシーを使うよね…。
まとめ
ベトナム統一鉄道を利用して、ホーチミン市・サイゴン駅から、ニントゥアン省・タップチャム駅へ移動するまでをご紹介しました。ここからは、ファンランで宿泊したホテルや訪れた場所を記事にしていく…予定。
ところで、同僚にニントゥアン出身の人がいたので、旅行前におすすめのスポットなどを聞いてみたところ「何もない」「ダラットに行ったほうがいい」とのことでした。身も蓋もない。
…まあでも、地方出身で都会に出て来ているということは、結局のところ田舎が嫌だから、というパターンが多いですよね。分かるー、私も地元が嫌で、大学進学のときに家を出たからなあ。で、そのまま就職のときに上京して…(以下、自分語りのため省略)