ホーチミン市では、日本人経営・ベトナム人経営問わずラーメン屋のオープンが相次いでいます。
中でも「ベトナム人客をターゲットとしたラーメン屋」は侮れません。現地の人々の好みに合わせた多少のローカライズはあれど、単に「流行っているからラーメン屋を始めた」というだけではない、そんなこだわりの詰まった1杯をお手頃価格でいただけます。
本記事では、ホーチミン市ビンタイン区に、2025年5月にオープンしたばかりのラーメン屋「Ramen Teppen(てっぺん)」をご紹介します。
「Ramen Teppen」の場所

ビンタイン区・チュオンサ (Trường Sa) 通りへとやって来ました。ニエウロック=ティゲー運河沿いを走り、フーニャン区と3区にまたがる交通の要所。運河沿いには飲食店やカフェが多く、ローカルな雰囲気が魅力です。

「Ramen Teppen」の外観がこちら。
まず目に飛び込んでくるのが、大きく黄色い看板。筆文字のような「てっぺん」の力強いロゴは、ちゃんとデザイナーが入っていそうな印象を受けます(どういう感想だ)。
「からあげ」「チャーハン」「ギョーザ」といったお馴染みのメニューも書かれており、期待感が高まりますね。入り口横には赤い提灯が灯り、日本的な風情を演出。ガラス張りのファサードからは店内の賑わいが少し見え、入店しやすい雰囲気。
「Ramen Teppen」の内装

足を踏み入れると…オープンして1ヶ月経っていないとは思えない、何とも言えない「こなれ感」があります。この、インテリアのごちゃごちゃ感、十数年くらいは営業していそうな「町のラーメン屋」ってカンジ。

壁面で圧倒的な存在感を放つのが、歌舞伎の女形っぽさがありつつも、色々と間違っている艶やかな女性が描かれた大きな絵画。AIが描いた絵かな!?

壁の絵に目が行きがちですが、味のある筆体で書かれたメニューにも注目。「『俺の』ワンタン麺」に「『元祖』みそらぁめん」など、いちいち枕詞が心をくすぐってくれます。

これ、字体だけ見たら日本人が書いたようにしか見えないのですが、ベトナム人経営のお店…ですよね?よくよく手書きメニューをガン見すると下書きのような跡があるのと、後述するメニュー内の日本語も自然なので、もしかしたらオープンに際して日本人がサポートしたのかも。

何故か貼られている金閣寺の御朱印。いや、何で!?そして、こんなところに貼っても良いものなのか…罰当たりだと見なされて祟られそう。

そして、唐突な暴走族カルチャー。一体誰の趣味なのだ…。

ピカピカ車体には「なめんなよ」といったステッカーが。なめ猫とか、もう知ってる人居ないでしょ…。その下に貼られているステッカーは…色々まずいので、ここでは言及しないことにします。
そんなわけで、日本の伝統と、ちょっと意外なサブカルチャーが見事に融合した、非常にユニークな空間です(言葉を濁した)。
「Ramen Teppen」のメニュー




「Ramen Teppen」のメニューはこちら。
ラーメンは60,000ドンからと、お手頃価格。醤油ラーメン・てっぺんラーメン(豚骨か白湯ベース?)・エビラーメン・味噌ラーメン・ゆず塩ラーメン…と、種類も豊富です。
サイドメニューには「豚キムチ」「焼肉」「たこ焼き」「唐揚げ」「餃子」など、お酒のアテにもなりそうな一品料理がずらり。ご飯物も「チャーハン」「チャーシュー丼」「からマヨ丼」と、ラーメンのお供にぴったりのラインナップ。
さらに、ラーメンとご飯物や一品料理を組み合わせたお得なセットメニューも多数用意されているので、お腹の空き具合や気分に合わせて選べるのが嬉しいですね。
初訪問:濃厚すぎ!エビラーメン

「エビラーメン」に、「チャーシュー丼セット」を付けました。価格は120,000ドン…だったかな(ど忘れ)?なお、VATは別です。トッピングのなるとが、古き良き町中華感を演出してくれます。

見てください、超が付くほどに濃厚なスープを。油の層が出来ちゃってるもの。

オレンジがかった鮮やかなスープを一口。これは…口の中に広がる、エビの圧倒的な旨味。甲殻類ならではの、ミソの風味と殻の香ばしさまでも感じられるほどにエビエビしいお味です。かなりオイリーなので好みは分かれるかもしれないけど、エビ好きなら試す価値あり。
ベトナムローカライズされたラーメンのスープと言えば、味薄め・温度ぬるめの印象ですが、こちらは味濃いめ・温度熱め。日本人好みの仕上がりになっているんじゃないかな?

麺は細めのちぢれ麺。硬くも柔らかくもない茹で具合です。

チャーシューは薄切りで、ぺろりといただける。味がよく染みている…というわけではないですが、スープに浸せば気になりません。

メンマは、タケノコ感が残る珍しいタイプ。どこかから仕入れているのか、それとも自家製なのか?

チャーシュー丼。チャーシューはラーメンに使われているものと同じです。ラーメンのスープを少しご飯にかけて食べても美味しいかも。

味玉は、塩辛くはないものの、かなり甘めの仕上がりでした。「砂糖味」と言っても過言ではないくらいの甘さだった。
再訪:飲み会後に食べたいゆず塩味

そしてすかさず再訪。今回は友人のTさんも一緒だよ。おかげでテーブルの上がなかなかに賑やかに。


Tさん注文の、「チャーハンセット」100,000ドン。醤油ラーメンとミニチャーハンのセットですね。スープにはぎょっとするくらいの背脂が浮いており、所謂「背脂チャッチャ系」なのかもしれません。

そして私の注文した「ゆず塩ラーメン」80,000ドン。半透明のスープに浮かぶゆず皮がキラキラと黄金色に輝き、かいわれ大根の緑・なるとのピンクも相まって、色鮮やかで清涼感ある見た目の一品。

スープを一口飲むと、キリッとした塩味の奥から、柚子の華やかな酸味が追いかけてきます。おそらく鶏ガラかな?出汁の旨味も感じられる奥深い味わいです。飲んだあとのシメに食べたくなるタイプのラーメンですね。

見た目からあっさりした口当たりを想像していましたが、結構オイリーかつ濃いめの味付け。こちらのお店のスープは全体的に濃厚路線なのかもしれない。

「アジフライ」50,000ドン。まさかの、白飯も一緒に付いてきました。
アジフライ、ホーチミン市内の日本食だとあまり目にする機会が無いので、ついつい注文してしまいました。おそらく既製品だとは思うのですが、それでも食べられることが嬉しい。

衣は…油切りが少々甘いかな。とは言え揚げたてなので、べちゃべちゃしていることは無く、サクサク食感を楽しめました。肝心のアジは、パサつきがなくしっとりジューシー。少し生臭さはあったけど、マヨネーズを付ければさほど気にならず。

欲を言えば、マヨネーズ以外にも、ウスターソースなどのアジフライに合うソースが欲しかった…!と、いうことで、物足りない方は卓上の醤油をかけて食べるのもありです。

あと、添えられていたキャベツ千切りにかかっていたごまドレッシング、普段口にする機会の多いキユーピーのごまドレとは味が違った…!キユーピーのよりも甘かったです。
そして完食。文字通り「お腹のてっぺん」まで満たされた我々は、大満足で店を後にするのでした(やかましいわ)。