ホーチミン市の南東部に位置する、ロンハイ村 (Xã Long Hải)。
市内中心部から気軽に行けるビーチリゾートとして名高い、ブンタウの東に位置するエリアです。かつてはブンタウと同様、バリア=ブンタウ省に属していましたが、2025年7月1日の大合併によりホーチミン市への仲間入りを果たしました。
ロンハイには昔ながらの漁村の風情が色濃く残っており、観光地化されすぎていない、のんびりとした時間を過ごしたい方にはまさに穴場的なデスティネーション。外国人には馴染みの薄い場所かもしれませんが、海沿いにはいくつかグレードの高いホテルがあり、ホテルステイもばっちり。
今回は、2024年にロンハイにオープンしたばかりの新築ホテル「Iconic Long Hải Hotel」に宿泊してきましたので、宿泊レポをお届けします。
「Iconic Long Hải Hotel」までのアクセス

今回ロンハイを訪れるにあたって利用したのは、リムジンバスサービス「Anh Quốc Limousine」。ホーチミン市フーニャン街区(旧フーニャン区第8街区)にあるオフィスから乗車し、片道190,000ドン。


車内では無料の水が提供されるほか、USBポートが備え付けられています。

途中、リムジンバスから送迎車に乗り換え。指定した住所まで送り届けてくれます。復路もまた、ロンハイエリア内の任意の場所までピックアップに来てくれます。

ということで到着。「Iconic Long Hải Hotel」があるのは、ロンハイのメインストリートの一つ・ハイバーチュン (Hai Bà Trưng) 通り。ビーチまで徒歩数分、周辺にはローカルのシーフードレストランや市場も点在する、良いロケーション。

白を基調とした現代的なキューブ型の建物は、のどかな漁村ではひときわ目を引く存在。非対称に配置されたバルコニーがリズミカルな印象を与えます。各バルコニーに設けられたプランターから溢れる青々とした緑も、無機質なコンクリート建築に生命感とリゾートらしい爽やかさを与えているよう。
「Iconic Long Hải Hotel」に到着

ホテルに一歩足を踏み入れると、高い吹き抜けが印象的な、広々としたロビー空間が迎えてくれます。外観のクールな印象から一転、内部はベージュやテラコッタなどのアースカラーを基調とした、温かみのある雰囲気に包まれていました。


本物の大きな石を脚に使ったコーヒーテーブルや、ソファの隣に置かれたオブジェが目を引く。自然素材を大胆に取り入れることで、モダンな空間に力強さとオーガニックな温もりを加えていました。

グランドフロアには、自販機が備え付けられています。周囲にコンビニやスーパー等が無いので、これはありがたい。

…思ったよりいい値段するな。一応、日中であれば近くにいくつか売店があるので、そちらで飲み物等を買うのが良いかと。

エレベーターは三菱製。キビキビと動くのでノーストレス。
「Iconic Long Hải Hotel」のお部屋

今回宿泊したお部屋は「Deluxe Room」。Trip.comで予約し、1泊で167万ドン。最安のお部屋は「Superior」グレードとなるので、それよりも良いお部屋ということになります。

いやあ、広い。温かみのあるヘリンボーン張りのフローリングと、スタイリッシュなインテリアが特徴です。

部屋の主役であるベッドは、寝心地の良い大きなキングサイズ。ヘッドボードの背後には縦縞の入った壁紙が使われ、柔らかな表情を加えています。ベッドの上に飾られた、夕焼けの海を思わせる色彩豊かなアートが、部屋のおしゃれなアクセントに。

サイドテーブルには、自然素材で編まれたペンダントライトが吊り下がり、リゾートらしい雰囲気を演出。

この部屋の最大の特徴が、ベッドルームの隣に配置されたガラス張りのバスルーム…って、丸見えじゃん!一人で良かった〜(つよがり)。

下位グレードである「Superior Room」に備えられているのはシャワーのみですが、「Deluxe Room」のバスルームには、美しい曲線を描く置き型のバスタブが鎮座。

シャワーは、水圧・お湯の温度ともに問題無し。朝はお湯が出るまで少し時間がかかりましたが、それでも待てばきちんと温水が出ました。シャワージェルとシャンプーが備え付けられていますが…こだわりがある人は普段使っているものを持ち込むほうが良いかと(髪がキシキシになった)。
「Deluxe Room」からの独特すぎる眺め

私が宿泊した部屋は山・街側。窓を開けると、眼下の緑の先に、ひときわ存在感を放つ古びた洋館が…なんだこれは。

これは「Lầu Chú Hoả(ラウ・チュー・ホア)」と呼ばれる、20世紀初頭の富豪一族の海辺の別荘跡…らしい。新築ホテルの快適な部屋から、静かに朽ちていくコロニアル建築を眺めるのは何とも言えない気分。

近くに寄ってみました。縦横無尽に生い茂る緑が廃墟感を加速させていますね。

入り口には電気がぶら下がり、夜になると点灯していたので、一応の管理者は居る模様。まあ、こんな状態だし間違いなく持て余しているだろうけど。
私有地であることに加え、内部のメンテナンスがされていないことは明らかなので、立ち入りは止めておきました。崩落してもおかしくないしね…。

ちなみに、夜には幽霊が出るとまことしやかに囁かれています。一説によると、富豪の娘の幽霊だとか…?
「Iconic Long Hải Hotel」のプール


ロビーやレストランから直結しているプール。豊かな熱帯植物に囲まれた隠れ家オアシスのような雰囲気。静かで落ち着いた時間が流れており、読書なんかをしながらリラックスするのに最適。レストランのテラス席としても利用可能です。
「Iconic Long Hải Hotel」のレストラン

グランドフロアに位置するレストラン「Delight」。近隣の飲食店はローカル食堂が中心なので、エアコンの効いた清潔感ある場所で食事を取れる選択肢があるのは嬉しいところ。
メニューは公式サイトから確認可能ですが…まああんまりパッとしないかな。一人で食べられそうな食事が少ない…。

その中で目を引いたのは、フーコック名物「Gỏi cá trích」。新鮮なニシンを一口大に切り、タマネギとすりおろしたココナッツを混ぜ合わせた甘酸っぱいサラダです。ライスペーパーと葉物野菜で巻いていただきます。

朝食もこちらで。今回は日曜から月曜にかけて宿泊し、客が少なかったためか、ビュッフェではなく、一品一品を作ってくれるアラカルト形式でした。週の後半から週末にかけてはビュッフェ形式であるとのこと。メニューは、ブンボーフエ・お粥・バインミーなど。

ビュッフェを楽しみにしていたので少々がっかりしつつも、欲張ってお粥・サラダ・バインミーシウマイ・デザート・ドリンクを注文。朝食に程よい量でした。盛り付けは美しく、ホテルの心遣いが感じられます。

料理自体も丁寧な仕上がりで、例えばシウマイ(ミートボール)には刻んだ香草が練り込まれているなど。良い一日のスタートを切らせてくれましたことよ。
「Iconic Long Hải Hotel」の周辺情報

ホテルから徒歩圏内で、ロンハイビーチ (Bãi biển Long Hải) にアクセス可能。ただし、綺麗な水だとか美しい景色だとかを想像すると拍子抜けしてしまうかも。地元の人たちの遊び場という感じです。

海岸に位置するディンコー (Dinh Cô) 寺院。地元の漁師たちの信仰を集める寺院であり、国家歴史文化遺跡にも指定されている歴史のある場所。

徒歩圏内で行ける飲食店はいくつかあります。主にローカル食堂中心で、カフェは少なめ。特に、エアコンの効いた室内型のカフェはまず見ません。

ブンタウ名物・バインコット(海老やイカ、豚肉を乗せた一口揚げパンケーキ)がロンハイでも食べられます。こちらは地元の人気店「Bánh Khọt Cô Tư Vũng Tàu」。ローカル食堂でありながら、ツアーバスの団体が乗り付けるほどです。

特に注文は聞かれず、席に着いてしばらくしたら海老とイカのバインコットが提供されました。お値段65,000ドン。

港町に来たら、やっぱり食べたいシーフード。徒歩圏内の貝レストラン「Ốc Sinh」にやって来ました。


メニューに価格表記が無くドキドキしながら注文しましたが、「Ốc Móng Tay Xào Rau Muống(マテ貝の空芯菜炒め)」と「Nghêu Hấp Sả(二枚貝のレモングラス蒸し)」、それと7UPで計175,000ドンでした。全然良心的。


ちなみに、Grabの利用はあまりアテにしない方が良いかも。一応サービス対象地域ではあるようなのですが、周辺にドライバーがあまりいない。一方、地場系のEVタクシーサービス「Xanh SM」は明確に利用可能っぽい。

実際、「Xanh SM」の車両は何台も見かけました。配車できる可能性は、Grabよりも高そうです。
まとめ&施設情報

2024年、ロンハイにオープンした新築ホテル「Iconic Long Hải Hotel」をご紹介しました。

洗練されたモダン&ナチュラルなデザイン、木の温もりと快適さを追求した客室、ある意味唯一無二のユニークな眺望…と、満足できる滞在だった。チェックアウト時には、おそらくマネージャーと思われる女性からもお声がけいただきました。
惜しい点としては、ビーチ沿いに位置するにも関わらず、ビーチ直結ではないところかな?そのため、リゾートホテルというよりはシティホテルといった趣きのホテルです。
ロンハイで「Iconic Long Hải Hotel」と同等のグレードかつ、さらにリゾート感の強いホテルとなると、以前当ブログで取り上げた「Fleur de Lys Resort & Spa Long Hai」が挙げられます。広々とした敷地にプライベートヴィラ、ビーチ直結のロケーションが魅力的なので、こちらも要チェックだぞ。