ベトナム南部、ホーチミン市の東に位置するビーチリゾート「ブンタウ (Vũng Tàu)」。
バリア=ブンタウ省の省都でもあるブンタウ市は、南シナ海に面した半島に位置し、三方を海に囲まれています。ホーチミン市からは車や高速船で比較的簡単にアクセスできるため、日帰り旅行や週末のショートトリップにも最適。
「大都市から2時間程でアクセスできる近場の海」という立ち位置から、誰が呼んだか通称「ベトナムの熱海」。
何故湘南や九十九里浜ではなく熱海なのか…という疑問もありつつ、坂が多く起伏のある地形だったり、山があったり、ロープウェイがあったりという共通点から、自然と熱海が連想されたのかもしれません。


ね、なんとなく似てるでしょう。話が進まないから「似てる」って言って!
そんな、ホーチミン市から一番近いビーチリゾートであるブンタウ。本記事ではブンタウへのおすすめのアクセス方法と、私なりのブンタウの楽しみ方をご紹介します。
2025年4月、大幅に加筆しました。
ブンタウ各エリアをざっくり解説
ブンタウはかつてのフランス植民地時代に保養地として開発された歴史があり、複数のビーチや、巨大なキリスト像、灯台などの見どころがあります。また、港町ならではの新鮮なシーフードも魅力のひとつ。
それぞれのビーチはエリアごとに特性があります。「どこに滞在すれば良いか分かんないよ!」という方のためにまとめると、以下のような感じ。こだわりが無ければ「バックビーチ」沿いに宿を取れば、困ることは無いはず(※個人の意見です)。
バックビーチ / バイサウ (Bãi Sau)

ブンタウの南東に位置し、長く広がる砂浜が特徴。海水浴に最適なエリアであり、地元の人々や観光客で常に賑わっています。ただし、ブンタウ全体に言えますがあまり水は綺麗ではない。そういうところも熱海っぽいのか…?

ビーチ沿いには多くのホテルが立ち並んでいます。安価なホステルから5つ星相当のホテルまで選択肢は潤沢であり、ブンタウ初訪問であれば、まずはこちらのエリアから宿泊先を検討するのが良いと思われる。ビーチから離れると、さらに選択肢は広がります。

メインの通りから中へ入ると、シーフードレストランが軒を連ねます。週末の夜は多くの観光客で盛況を見せるさまに、圧倒されること間違いなし。

2025年4月現在、バックビーチでは大規模な改修・美化工事が行われており、間もなく一部が完成する予定。将来的にはこの光景も様変わりすることでしょう。
フロントビーチ / バイトゥオック (Bãi Trước)

ブンタウの南西に位置し、三日月形をしたビーチ。大小の山々に囲まれた湾にあり、景色が良いです。夕日の名所としても知られています。

以前は漁船の停泊地として利用されていましたが、現在は公園や遊歩道が整備されており、散策やピクニックを楽しむのに最適。
バックビーチ同様、ホテルやカフェ・レストランの選択先が豊富です。宿泊先にフロントビーチエリアを選んでも不便することはあまり無いでしょう。
その他のエリア
バックビーチとフロントビーチの他にも、いくつかのビーチが存在します。
パイナップルビーチ / バイズア (Bãi Dứa)

バックビーチとフロントビーチの間に位置する、静かなビーチ。
海に面するようにして建てられた、多くのカフェやレストランがあります。ホテルもいくつかあり、有名どころでは「メルキュール (Mercure)」など。

ところで、南部でパイナップルを「Dứa」と呼ぶのは少し珍しい気が。(「芳香」を意味する「Thơm」が使われることが多い)
ストロベリービーチ / バイザウ (Bãi Dâu)

自然に囲まれた、地元の人々に愛されるエリア。ビーチ沿いには写真映えを狙って建てられた大型のシービューカフェが沢山あり、フォトジェニックな写真を撮りたい多くのベトナム人を惹きつけます。

週末ともなるとこの有様。車道も歩道も路上駐車で溢れかえりますが、尚客足が止むことはありません。

ドリンクは最早、カフェという名のフォトスタジオへの入場料のようなもの。落ち着いて過ごしたい人にお勧めは出来ません。
ただ、平日であれば混雑も比較的マシかと思われるので、潮風を浴びつつ風景を楽しめるだけの、ゆったりとした時間が過ごせると思います。
以前、当ブログでも、Z世代を誘う「映える路地」が特徴のカフェをご紹介しましたね。
リムジンバスに乗ってブンタウへ行こう
多くの場合、ブンタウへはホーチミン市からアクセスすることとなります。
自前の車やバイクが無い場合、ホーチミン市からブンタウへの移動は、高速船かバスの二択。旅情という点では高速船も素晴らしいのですが、個人的に利便性が高く快適なのはバス、それもリムジンバスと考えます。
と、いうことで、今回はリムジンバスを利用したブンタウへのアクセス方法をご紹介。

ホーチミン市1区のグエンタイビン (Nguyễn Thái Bình) 通りまでやってきました。同通りにはいくつかバス会社が並びますが、私は「Vie Limo」推し。

オフィスでお菓子とジュースが食べ飲み放題。推せる!

バスが綺麗。推せる!

座席にマッサージ機能と、USBポート付き。推せる!
…まあ、上記のポイントは他のリムジンバス会社も同様なのですが、最も重要な「運行オペレーション」という点で、Vie Limoは一番安定している印象を受けています。

ブンタウでの宿泊先まで送っていってくれる他、Vie Limoのオフィスでも降りることができます。あまりメリットは無いが…。
ブンタウ市内の移動方法

ブンタウ中心部内の移動は、ベトナム国内の他地域と同様に、ライドシェアアプリの「Grab」が圧倒的に便利。「GrabCar」「GrabTaxi」「GrabBike」ともに利用可能です。

また、地場系巨大コングロマリット・ビングループ傘下のGSM(グリーン・スマート・モビリティ)による「Xanh SM」も利用可能。すべての車両にビンファスト製のEVカーが投入されていることが特徴です。
利用できるのは四輪車の「Xanh SM Car」のみですが、「BShip」という別サービスと提携しており、EVバイクタクシーを配車することも可能なようです。
「Xanh SM」に関しては、ドライバーを雇用し自社車両を割り当てる関係から、そこまで台数は多くないことが予想されるため、時間・場所によっては配車できないかも。
困ったときの大型スーパー

「あっ、アレ持って来るの忘れた!」というときに頼りになるのが、大型ショッピングセンターの「Lotte Mart(ロッテマート)」。食料品ならず日用品や衣類等も扱う所謂「ハイパーマーケット」です。少なくとも、ベトナムで広く手に入るものであれば揃うはず。
水着・サンダル不要!ブンタウの楽しみ方
ここからは、完全なる独断と偏見で、私なりのブンタウの楽しみ方をご紹介します。
先に伝えておくと、私は海遊び自体には興味が無く、単に海を眺めるのが好きというだけ。水着やサンダルが無くても楽しめる、ブンタウでの過ごし方を列挙していくよッ!
ローカルフードを楽しむ
まずはローカルフード。「ベトナム風たこ焼き」とも称される「Bánh khọt(バインコット)」が有名ですが、海鮮をフィーチャーした麺料理も人気なのです。

バックビーチとフロントビーチとを結ぶ、ホアンホアタム (Hoàng Hoa Thám) 通り。人気ローカルレストランがずらりと並び、週末ともなるとどのお店も大混雑。お店への駐輪のためスピードを緩める車やバイクが交通の流れを止め、プチ渋滞が起こることもしばしば。
ただ、人気のお店は座席数が多く、また麺料理であれば提供が早い上に食べ終わったらさっと出ていく客が殆どのため、回転は早いです。一見満席に見えても座れる席はあるはずなので、臆せずに入店しましょう。

「Thuận Phúc」というお店にやって来ました。

私のお気に入りは、ベトナム南部の麺料理「フーティウ」に、海鮮をトッピングしたもの。このときは、汁無しフーティウ(スープ別)にイカとシャコをトッピングした、「Hủ Tiếu Tôm Tích + Mực」を注文しました。

普段食べる機会が少ないシャコなどの海鮮を気軽に味わえるのもブンタウならでは。似たようなお店はたくさんあるので、自分だけのお気に入りを見つけてみて。
絶品ピザを楽しむ
港町でわざわざピザ?とお思いの方もいるかも知れませんが、イヤイヤ、有名なお店が、それも複数あるのです。


ひとつは「David Pizzeria」。レストラン前には海が広がり、ロケーション抜群。
もうひとつは「Luca Pizza & Italian Restaurant」。ロケーションはDavidに負けますが(店の真ん前は農道)、味ではDavidに負けず劣らず…!と思います。

店の中に、スキンヘッドな白人のおじさんが座っていたので、「外見からしてイタリア系だな。本場の人間の胃袋をも掴むくらい本格的なイタリアンが食べられるんだろうなあ」と期待に胸を膨らませていたのですが、何のことはない、お店の方でした(オーナー、では無いのかな?)。
ちなみにそのおじさん、自分でピザの配達も行きます。働きすぎ!


ここの、パリッ、モチッとした生地が本当に美味しいのです…。鼻孔をくすぐる芳香もタマランチ会長(古)!ベトナムはチーズが高いのですが、ふんだんに使ってくれています。それでいて、価格は手頃なのが嬉しい。
あえて日本食を食べる
ブンタウは都会なので、日本食の選択肢も豊富です。あえて旅行先で日本食レストランに突撃することもまた一興。
以前なら、ブンタウでおすすめの日本食と言えば、新潟・佐渡島発の日系寿司レストラン「寿司弁慶」一択でした。かつては、日本人の板前さんが常駐しており、確かな腕を持ったベトナム人の職人さんが握ってくれるおいしいお寿司が食べられた…のですが。
いつの間にやら店名が変わっており、どうやら経営が乗っ取られた模様(言い方よ)。日本人の板前さんも居なくなってしまったようです。怖いもの見たさで行ってみようと思いましたが、そんな店にお金を落とすなんてことはしたくないわけで。

と、いうことで、ここは別のローカル日本食レストラン「SUSHI TOKYO」をご紹介。

日本人からの開店祝いメッセージ。クオリティはお墨付き?


驚くべきはランチの安さ!
特に寿司・海鮮丼系メニューの安さが際立ち、「にぎりセット」110,000ドン、「ちらし寿司セット」99,000ドンなど、冗談のような数字が並びます。この価格を実現する企業努力に平伏するばかり。

鉄火丼セット、110,000ドン。ご飯はつややかな酢飯で、酸味が強めのシャープな味わい。まぐろは不快な水っぽさが無く、クオリティが安定しています。この価格で小鉢・味噌汁・茶碗蒸しも付いてくるのだから、本当に利益が出ているのか心配になってしまう…。
ホテルステイを楽しむ
夢の5つ星ホテルステイ。それ、現実にしちゃいましょう!
雨季(5月〜10月)が訪れるとブンタウはオフシーズンとなり、5つ星ホテルであっても手が届きやすい金額となります。雨の時期こそ、割り切ってホテルステイを楽しんでみてはいかがでしょう。

以前、雨季に入りたてのころに、5つ星ホテルの「Pullman Vung Tau(プルマンブンタウ)」に宿泊したことがあります。

「Pullman」と言えば、世界的なホテルチェーン「Accor(アコー)」のプレミアム帯ブランドのひとつとして広く知られる憧れのホテル…!

このときは、Executive RoomにClub Roungeのアクセス権まで付いて、約350万ドンでした。


最安プランだと、宿泊直前であっても、週末1泊200万ドン程度からと、5つ星ホテルとしては破格。
思いのままに海鮮を楽しむ
港町と言えばやはりシーフード。ひとたび日が暮れると、多くの海鮮レストランが開店します。

「ザ・観光客向けの店」ということであれば、「Pullman Vung Tau」辺りの向かいに、大型の海鮮レストランが固まるエリアがあります。


中でも一番賑わっているのは、こちらの「Hải Sản Cô Thy 2」かな?消費者というのは正直なもので、このお店だけ目に見えて客入りが違います。

周りを見渡しても一人客なんて自分だけですが、キニシナイ。

ただ単に貝料理というだけならホーチミン市でも食べられますが、おすすめは焼き魚。こちらはサバです。

身がふわふわで、ほどよく脂が乗っており美味かった…!一人で食べるにはきついかなーと思ったのですが、ぎりぎり完食できるサイズでした。


あとはマテ貝の空芯菜炒めや、タコのグリルですかね。無難に。

「一人で旅行してるのにそんなに食べられないよ!」というソロトラベラーの方は、さらにローカルな海鮮レストランをお試しください。

例えばこちらの「Ốc 30K」、ひとつひとつのポーションが小さく、少人数であっても色んなメニューを試せます。


マテ貝の空芯菜炒め・ハマグリのレモングラス蒸し・牡蠣のチーズ焼き&葱油焼きを注文して、お会計たったの110,000ドン。驚愕!
週末は海を見てリフレッシュしよう
とにかくブンタウって「ちょうどいい」んですよね。ホーチミン市から近く、栄えていて買い物や食事に困らず、それでも普段とは違う非日常感はしっかり味わえて。
海は擦り切れた心を優しく包み、きっと何かを教えてくれるはず。…あっ、何か急にスピリチュアル的な話になってる!?