ホーチミン市第二の日本人街・ファンビッチャンエリア。市内のグルメ激戦区のひとつであり、ファンビッチャン (Phạm Viết Chánh) 通りだけに留まらず、周囲の通りも含めて新たな飲食店がどんどんオープンしています。
そんな折、ファンビッチャン通りから一本入った小路に、丼ものをフィーチャーした新たな日本食店がオープン。見た感じ、日本人経営では無いようですが、果たして…?
本記事では、ファンビッチャンエリアの新店「Fukumachi Donburi & Sushi」をご紹介します。
「Fukumachi Donburi & Sushi」の場所

やって来たのは、ファンビッチャン通りから一本入ったグエンコンチュウ (Nguyễn Công Trứ) 通り。バイクが行き交い、ローカルの生活感が色濃く残る、まさにホーチミンらしい路地裏。

一方で日本食レストランも多く見られ、ファンビッチャンエリアが拡大していくのを感じる。あと、バーね。夜、客引きのお姉さんから「お疲れ様。一杯どう?」と声を掛けられてびっくりした。何で日本人って分かるの…?

そんな通りを歩いていると、誰もが二度見してしまうであろう、巨大でカラフルな看板が目に飛び込んできます。こちらが「Fukumachi」。

ドラゴンとだるまが一体化した、力強くも愛嬌のあるキャラクターが描かれています。日本食レストランらしからぬ、オレンジを基調としたビビッドなデザインが斬新。
ドラゴンのキャラクターや色遣いから、どことなく中華圏っぽいセンスを感じていたのですが、それもそのはず、こちらのお店のオーナーは台湾人。日本人やベトナム人が手がける日本食とは異なる、タイワナイズ(って言葉があるのかは知らない)された日本食に期待。
「Fukumachi Donburi & Sushi」の内装

お店の中はこんな感じ。1階はカウンター席のみですが、上階にも客席があるようです。


店内は木目調で統一された、奥に深いレイアウト。何よりも目を引くのが、カウンター周りや棚に所狭しと飾られたフィギュアやステッカーの数々。まるでおもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさです。


オーナーは日本語こそお話しにはならないものの、日本への愛はこれでもかというほど伝わりました。店内BGMはアニソン・特撮ソングが延々と流れており、特にアラサーにはぶっ刺さること間違い無しの選曲。

客層は、主に在住台湾人が中心であるとお見受けしました。そういえば、近くのコンドミニアム(City Garden)には台湾人富裕層が多く住んでいると聞いたことがあるな…。その他、中国語をお話しになるベトナム人のお客さんの姿も。店員さんの中にも流暢な中国語を話す女性が居て、オーナーの指示を他のスタッフに伝達しているようでした。
「Fukumachi Donburi & Sushi」のメニュー


「Fukumachi」のメニューはこちら。初回訪問時はソフトオープン中ということでモバイルオーダーのみ対応でしたが、再訪した際はしっかりした紙のメニューが完成していました。英語と日本語表記。それにしても、全体的に安い。
メニューを見ると、寿司・刺身に加え、丼物も豊富。生の魚介を使った海鮮丼系と、火を通したお肉などの丼物に分かれており、気分に合わせて選べます。海鮮丼はサーモン丼だけでも数種類あり、親子丼、牛丼、唐揚げ丼といった定番メニューも手頃な価格で揃っています。
また、タコスのように海苔で具材を挟んだ「TACO寿司」にも注目。明太子やアボカドを使ったものなど種類も豊富で、片手で気軽に楽しめる新しいスタイルは、試してみる価値あり?
それにしても、メニューの種類がちょっと心配になるレベルで多い。これだけのメニュー数をオーナー一人で、クオリティを保ちつつ捌き切れるものだろうか…?実際、料理の待ち時間はそれなりにありました。今はソフトオープン中なので、反応を見てメニュー数を絞っていくのかもしれないね。


ちなみに、先述の通りモバイルオーダーも利用可能。こちらはベトナム語と中国語(繁体字)での記載。


何となく文字の並びからメニューの内容が推測できるから面白いですね。「福福豪華海鮮丼」すき。
丼物は見た目以上のボリューム

「三福丼」108,000ドン。サーモン・マグロ・カジキの海鮮丼です。価格相応に小ぶりな見た目か…?

と、思いきや、見た目から受ける印象以上にネタがぎっしりと盛られていました。これ、もっと大きい器に盛っても良いのでは!?


ネタの鮮度良し。厚切りで食べ応えがあり、満足感高いです。

ご飯はプレーンな酢飯。酸味はほどほどで、「カーッ」となる酸っぱさのない、バランスが取れた仕上がりです。

「玉ねぎサラダ」24,000ドン。価格の安さに惹かれ、箸休め的に注文したわけですが…丁寧に辛味が抜かれており、シャキシャキの食感もたまりません。これは良い。

「味噌汁」18,000ドン。この価格ながら魚…おそらくカジキの切り身入りなのですが、もしかしたらサービスだったのかも?

そして、突然差し出された寿司下駄。なんと、オーナーさんからマグロの炙りをサービスいただいてしまった!いやいや、サービスで貰ってしまってよい量では無い…。
お会計は、オープン記念の10%割引もあって、135,000ドン。や、安い…。この値段で海鮮丼を食べられる日本食屋が他にどれほどあるというのか。
内容充実の寿司盛りを実食


そんなこんなで(?)、1週間後に再訪。なんか、内装がパワーアップしているような!?

「福福マネージャーセット」98,000ドン。寿司盛り合わせのメニュー名は、内容に応じてキッズ→マネージャー(小經理)→BIG BOSSと徐々にパワーアップしていきます。

10万ドン未満の寿司盛りにしては、かなり豪勢な内容。生魚のネタがサーモン、カンパチ、イカ、鉄火巻きと充実しています。子持ちニシンなどで種類をかさ増ししていないところに好感が持てる。

シャリは、多少の団子っぽさはありましたが、この価格でこの内容なので文句ありません。ネタの鮮度も、前回同様良し。

イカの寿司って、取り扱う店があまり無いので、食べられるの嬉しい。いかのおすし一人前(それは防犯標語)!

「天使エビ味噌汁」46,000ドン。「天使エビ」ってなんぞや?と思ったのですが、どうやらアルゼンチンアカエビのことを中華圏ではそう呼ぶらしい。茶碗からはみ出すほどに大きな海老が丸ごと一匹入っており、風格がすごい。

海老の頭から出た濃厚な出汁の香りと旨味が口いっぱいに広がります。甲殻類特有の甘く香ばしい風味が凝縮された味噌汁。

海老の身も、もちろん入ってます。食べ応え抜群。これが46,000ドンって、かなりお値打ちなのでは。

そして今回もいただいてしまったサービス品。味がようしゅんでる(関西弁)大根。濃いめの煮汁の色に反して、とにかく優しい味でほっとする。

さらに差し出された寿司下駄、その上には炙り明太卵焼きが…。そ、そんなサービスいただかなくとも…。恐縮しきりです。
今回のお会計も10%オフが適用され、計14万ドン。やはり安い…安すぎる…。お店の皆さんに盛大に見送られ、照れ臭さもありつつ温かい気持ちでお店を後にしました。
「Fukumachi Donburi & Sushi」の店舗情報
ファンビッチャンエリアの日本食店「Fukumachi Donburi & Sushi」をご紹介しました。
日本人を明確にターゲットとしたお店では無いと思いますが、「この内容がこんな安い価格で!?」という驚きもあり、もっと注目されるべきお店。台湾人のオーナーさんや、先述の中国語を話す女性店員さんを始め、お店の人たちもフレンドリーです。「ファンビッチャンで日本食を食べたいけど日本人に出くわしたくない」というワケありさんにおすすめ(?)。
余談ですがこちらの「Fukumachi」、以前冷やし中華の記事で紹介した「Peco Peco」の跡地でもあります。聞いた話、「Peco Peco」のオーナーが日本に留学するのでお店を売却したとかなんとか。