ベトナム南部。ホーチミン市中心部から車やバス、高速船で約2時間ほどの距離にあるビーチリゾート「ブンタウ (Vũng Tàu)」。2025年7月の省合併に伴い、現在の住所は「ホーチミン市ブンタウ街区」です。
以前にも言及したことがありますが、ブンタウにはイタリアンレストランの有名店が2つあります。1つが「David Pizzeria」、もう1つが「Luca」。
前回(3ヶ月前)ブンタウを旅行したタイミングでは「David Pizzeria」は一時閉店していたのですが、いつの間にやら営業を再開。せっかくだし、前回訪れた「Luca」と食べ比べ…なんて戯れも良いのではないか。というわけで行ってきました。
本記事では、ブンタウの海岸線沿いに位置するイタリアンレストラン「David Pizzeria」をご紹介します。
「David Pizzeria」の場所

「David Pizzeria」が位置するのは、海岸線が続くブンタウのメインストリートの一つ「ハロン (Hạ Long) 通り」。店の目の前はすぐ海で、穏やかな波と沖に浮かぶたくさんの船を眺めながら食事を楽しめる、絶好のロケーションです。

お店の外観は、黒を基調としたシックでモダンなデザイン。店名の下には「WOOD FIRED OVEN」の文字が掲げられ、期待がぐっと高まる。イタリア人シェフが作る薪窯焼きのピザがお店の売りだそうで。
それにしても「SINCE 2005」…今年で20周年なのか。今のブンタウとは全く異なる光景が広がっていたことは想像に難くないですが、あえてこの地を選んだ理由が気になる。入れ替わりの激しいベトナムの飲食店において、このようなインディペンデント系のレストランが20年も続いているのは凄いことですよ、あなた(誰だよ)。
「David Pizzeria」の内装

店内は2階建て。オープンエアのテラス席と、エアコン付きの室内席があります。

1階は、ブンタウの潮風を感じられるテラス席が中心。温かみのあるレンガの壁とテラコッタ風のタイルが、まるでイタリアの港町にあるトラットリアのような雰囲気を醸し出しています。

壁にはイタリアの風景画が飾られている一方、なぜか大きな仏頭のオブジェがあったりと、亜・欧が融合したカオス空間。

どの席からも楽しめるオーシャンビュー。行き交う船をぼーっと眺めながら過ごす時間は大変に贅沢。

階段を上がった2階にも、オープンエアの座席が。

1階とはまた違ったリラックスした雰囲気です。壁にはイタリアの風景画に混じってベトナムの田園風景が描かれていたり、ピザのサイズを示すお皿が飾られているなど。

こちらは大きなガラス窓に囲まれた室内席。エアコン付きなので、蒸し暑い雨季の日中はこちら一択ですかね…。くつろげるソファ席も多いです。
「David Pizzeria」のメニュー


「David Pizzeria」のメニューを抜粋してご紹介。看板メニューは、なんといっても薪窯で焼き上げる本格ピザ。「マルゲリータ」のような定番から、フレッシュなブッラータチーズが乗った「ブッラータ」まで、その種類は20以上。Small / Medium / Largeの3サイズから選べます。


パスタの種類も多く、「ニョッキ」や「ラビオリ」といった自家製パスタも楽しめます。


また、オーストラリアやアメリカから輸入した牛肉のステーキやラムチョップ、ブンタウならではの新鮮なシーフードグリルなど、メインディッシュも充実。

「ベトナム料理コーナー」もあります。イタリア人シェフが作るベトナム料理だったら面白いけど、流石にそれは無いか…。


ドリンクメニュー。イタリアンレストランならではの豊富なワインが目を引きますね。グラスやカラフェで頼めるハウスワイン(赤・白)も用意されています。プロセッコなどのスパークリングワインもあるので、お祝いの席にも良さげ。
実食

「Marinara」のSmallサイズを注文。トッピングはエビやイカなどのミックスシーフードが中心で、価格は255,000ドン。コルニチョーネがぷっくりと膨んでおり、焦げ目が食欲をそそりますね。

プリプリのエビと柔らかいイカの旨味を、シンプルなトマトソースとチーズが引き立てます。奮発して注文した甲斐があった。

密度が高く、クリスピーでサクッとした食感の生地が「David Pizzeria」の特徴。全体的にしっかりとした食べ応えがありつつも、軽やかです。持ち上げても形が崩れにくい、クラシックな感じのピザ。

自家製のチリオイルをかけてみる。あまり辛さは無く、どちらかというと香り付けのためのもの…?お店には日本人にもお馴染みのあの小瓶のタバスコもあったので、そちらをもらっても良いかも。

ご参考までに、ライバル(?)である「Luca」のピザ生地は、「36時間低温熟成」を掲げる、もちもちのナポリ風生地が特徴でした。ピザの中心部は生地が薄い一方、縁が風船のように膨らみ、内部に空気をたくさん含んだエアリーな食感が楽しめます。こうやって食べ比べると全然違うな…。



これらは以前注文したメニュー群。2年以上前に食べたものなので詳細に食レポできるほど味は覚えていないのですが、ご参考までに。上から「Margherita(Lucaのものと全然見た目が違いますね)」「David(=自家製ソーセージとマッシュルームのピザ)」「Spaghetti Marinara」でございます。パスタは日本人的に嬉しいアルデンテ仕上げ。
「David Pizzeria」の店舗情報

ブンタウのイタリアンレストラン「David Pizzeria」をご紹介しました。
あえて優越をつける必要は無いと思いつつも、「David Pizzeria」はビーチの真ん前というロケーションの良さと、薪窯で焼き上げたクリスピー・サクサクとしたピザが特徴的。メニュー数もこちらの方が充実しており、海辺の本格トラットリアといったカンジ。
一方で、「Luca」の低温熟成によるもちもちしたピザ生地は唯一無二。メニューは洗練されており、さらに価格帯は「Luca」の方が少し安いため、コストパフォーマンスの面でも優秀。トッピングも豪勢で、「これでもか」というくらいチーズが盛られていました。デザートやカクテルにも専門性が光る「モダンでお洒落なイタリアンビストロ」ですね。
好みや気分によって使い分けられたらと思うのですが、個人的には「Luca」の方がお気に入りかな。

とは言え「David」の方にも思い入れがありまして。ベトナム移住前の2019年、初めてブンタウを訪れた際に立ち寄ったお店だったのです。


特徴的な外の黒い看板こそありませんでしたが、内装はほぼ現在と同じ。いやあ、よくコロナ禍を経ても生き残ったものだ…。
ちなみにこちらの「David」、ベトナムでは珍しくお店の公式SNSアカウントがありません。一方、ピザのデリバリーもやっているようで、お店にはデリバリー用のバイクもあったのですが…どうやって注文を受け付けているのだろう。電話でのみ注文可能ということかな?