ベトナム南東部に位置するビントゥアン省 (Bình Thuận)。南シナ海と面しており、美しい景観とビーチで人気のエリアです。特に、風光明媚なリゾート地・ムイネーは外国人観光客の間でも有名ですよね。
しかしながら、今回は定番観光地のムイネーを避け、本土から遠く離れた島を訪れることにしました。それが「フークイ島 (Phú Quý)」。
ベトナム南部の離島と言えば、「フーコック島 (Phú Quốc)」や「コンダオ島 (Côn Đảo)」がよく知られていますが、とりわけフーコック島では、過剰投資による地価の上昇、オーバーツーリズムによる環境への負荷やサービス品質の低下が危惧されています。
フークイ島であれば、手つかずの自然が今なお多く残り、過度な開発とも無縁。外国人観光客にもまだほとんど知られておらず、人とは違う場所に行きたい天邪鬼なアナタにぴったりの場所です(私のことです)。
本記事では、そんなフークイ島の概要・アクセス方法・楽しみ方をご紹介します。
「フークイ島 (Phú Quý)」の概要
「フークイ島 (Phú Quý)」は、ビントゥアン省の省都・ファンティエット (Phan Thiết) から、南東約120kmの沖合に位置する離島です。行政区分上は「フークイ県 (Huyện Phú Quý)」となり、本島とその周辺にあるいくつかの小島から構成されています。

フークイ島本島の面積は約18平方キロメートルと比較的小さな島で、周囲は約30kmほど。
島の人口は約3万人(2023年時点)で、その多くが漁業に従事しています。近年は旅行先としての人気も高まり、観光業も島の重要な産業となりつつある模様。また、島特有のニンニク栽培も行われています。

気候は1年を通して温暖。季節はベトナム南部の他地域同様、乾季・雨季の2つです。乾季は12月〜5月頃、雨季は6月〜11月頃を目安に見ておくと良いかもしれません。なお、今年は雨季の到来が早いこともあってか、5月頭時点の訪問だったにも関わらず、突発的な雨が降ることが数回ありました。
なお、本格的な雨季の時期は海が荒れることもあり、フェリーが欠航する可能性なども考えられるのでご注意くだされ。
「フークイ島 (Phú Quý)」 への行き方

ビントゥアン省の省都・ファンティエットにある埠頭から、定期船が出ています。
ファンティエットまでは、ホーチミン市からバスまたは鉄道でアクセス。バスの方が便利かつ、所要時間も短いです。今回は「MexBus」のホーチミン市〜ムイネー路線を利用しました。
ファンティエットからフークイ島までは、フェリーターミナルから高速船に乗ります。ターミナルの場所は、上記マップの通り。「SUPERDONG」「PHU QUOC EXPRESS」など、複数の事業者が定期船を運航しています。
高速船チケットを予約するまで
船のチケットは、特に観光シーズンや週末は満席になることがあるため、早めの予約をおすすめします。パスポート情報(氏名、生年月日、国籍、パスポート番号)が必要となります。

今回私が利用したのは「SUPERDONG」の高速船。チケットは、各事業者が提携している予約サイト「Baolau」で予約・購入しました。ベトナムのWebサイトですが言語切り替え可能であり、驚くべきことに日本語にも対応しています。


「SUPERDONG」の定期船は、2025年5月時点で、月〜木曜は1日1本、金〜日曜は1日3本運行しているようです。


日時を選択し、座席を指定します。支払いは、VISA・MasterCard・JCBといった主要な国際ブランドのカードでの支払いが可能です。また、ベトナム在住者であればバーコード決済や銀行アプリでの送金が利用できます。

チケットの予約が完了すると、メールで電子チケットが送られてくるので、乗船の際はこちらのバーコードを提示しましょう。
高速船でホンソン島へ向かう

さて、当日。私が乗船する便は、朝5時発。最大限現地に滞在したいという思いから、自らこのような苦行を選択しました…。チケットには「30分前には来るように」とあったため、念には念を入れて朝4時にホテルを出発。幸い、この時間であってもGrabCarの配車が可能でした。

ファンティエット埠頭へ到着。

24時間営業のコンビニがあります。しかもイートインスペース付き。早く着いてしまっても安心ですね。

朝食と飲み物。この日、体調が絶不調でして、このようなチョイスとなりました…。

真っ白な高速船。こちらが今回乗船する「SUPERDONG」です。

チケットのバーコードを提示し、乗船。また、外国人の場合、こちらでパスポートの提示も必要となります。
ご存知の方も多いと思いますが、ベトナムの島の一部には外国人が立ち入る場合、事前に許可を取得する必要のあるものもあります。
フークイ島に関しては、今のところ外国人でも自由に出入りできるものの、入島の記録はパスポートの情報と併せて管理しているということでしょう。南シナ海に浮かぶ島ということもあり、戦略的にも重要な場所でしょうからね。

船内の様子。座席は、4列・4列の計8列。シートピッチは割と余裕があります。なお、船はめっちゃ揺れました。酔い止め対策はきちんとしていきましょう。

2時間半でフークイ島南部の埠頭に到着です。埠頭からの移動について、それぞれの宿では埠頭からの送迎サービスもあると思うので、問い合わせしてみてくだされ。バイクを借りる場合は、宿から埠頭まで持ってきてくれます。
「フークイ島 (Phú Quý)」内の移動方法

島内に公共交通機関は無く、Grabなどのライドシェアリングサービスはおろか、タクシー会社もありません。そもそも、トラックや工事車両以外の乗用車はほぼ走っていません。ただし、一部の宿やツアー会社は乗用車を保有しています。そんなわけで、島内の移動は原則としてバイク一択となります。

バイクはそれぞれの宿でレンタル可能。私の宿泊した「Chanky Hotel Phú Quý」では、1日15万ドンで借りることができました。充てがわれたのはHONDAのVISION(スクーター)だったので、チャリみたいな感覚で乗り回すことができ、快適でしたね。まあ、燃料計が壊れていましたが。

レンタル品として貸し出されるのは、大抵、上記のHONDA・VISIONか、YAMAHA・CUXIになると思います。特にCUXIはめちゃくちゃ見かけた。このカラーリングと、ミニオンみたいな目は一体何なのだ…。

免許証のチェックはされませんでしたが、ホテルのスタッフ曰く、この島には交通警察が居るらしく、「ヘルメットを被るように」とのことでした。そのため、有効な免許も必ず携行しておくようにしましょう。

持ってて良かった、ベトナムの運転免許。なお、日本で取得できる国際免許は無効なので、注意(日本とベトナムで加盟している条約が異なるため)。

島内は交通量が少なく、信号もありません。ただし、一部に「中央分離帯のある片側二車線道路」があるので、標識は注意して見ておきましょう。道中、もし気になるものを見つけたら、道端に自由にバイクを停め、周囲を散策することができます。
なお、バイクを運転できない方は、運転手付きのバイクや車の手配が可能かどうかを、宿泊先に相談してみてください。私の泊まったホテルでは、「50万ドンでツアーガイドが付けられるよ」という提案もありました。
「フークイ島 (Phú Quý)」の楽しみ方
基本的にはバイクを乗り回し、長閑な暮らしの風景や自然を楽しむことがメイン。手つかずの自然と素朴な島の暮らしが魅力のフークイ島では、様々な楽しみ方ができます。

まずはビーチ。透明度の高い海と美しい砂浜がフークイ島の最大の魅力です。個性的なビーチは島の各所に点在しているので、お気に入りの場所を見つけてみてください。

続いて、景勝地巡り。例えば、透き通った海水と奇岩が織りなす絶景や…。

カム山 (Núi Cấm) の頂上、フークイ灯台 (Hải đăng Phú Quý) のふもとから望む360度のパノラマビューなど。

離島ならではの、独自の信仰にも注目。島内にはいくつかの寺院が存在します。
シュノーケリング・ダイビングやSUP、釣りなどのマリンアクティビティもあります。フークイ島周辺の小島へのツアーもあるようなので、興味がある方は参加を検討してみてください。
旅行にあたっての注意事項
前述の通り、乾季、特に波が穏やかな12月~4月が旅行のベストシーズンです。雨季はフェリーの欠航リスクが高まるため注意が必要です。

高速船のチケットは必ず事前に予約すること。特に週末や連休は混み合います。天候による欠航や遅延は常に考慮に入れ、旅程には余裕を持たせることが重要です。欠航した場合の代替プラン(ファンティエットでの滞在など)も考えておくと安心です。

また、島内の宿泊施設は限られています。特にハイシーズンは早めに予約を済ませましょう。「Agoda」や「Trip.com」などの予約サイトでも探せますが、Facebookなどで直接連絡する方が選択肢が多く、かつ安い場合があります。
島のインフラについて、水道・電気は整備されており問題無し。また、データ通信(4G)も問題ありません。
島内には一応ATMが設置されていますが、数が少なく、故障や現金切れの可能性も考慮し、ある程度の現金(ベトナムドン)をファンティエットで用意していくことをおすすめ。銀行のアプリ等でのオンライン送金を受け付けているところもありますが、店によっては現金しか受け付けていません。

コンビニやスーパーは無く、必要なものは個人経営の売店で手に入れることになります。幸い、売店はあちこちにあり、飲み物や最低限の日用品は容易に手に入れることができます。

どういうわけか、離島の割に物価は安い(売店で買ったアイスが、何故かたったの1万ドンだった)。
まとめ
ベトナム南東部・ビントゥアン省に属する離島「フークイ島 (Phú Quý)」の概要をご紹介しました。
今後は、フークイ島で宿泊したホテルや、島内のおすすめスポットについても紹介する予定。少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。