説明不要の有名店。喧騒の先で本物の南インドを味わう*Baba’s Kitchen@ベンタイン街区

その他料理

近年、ベトナムで急増しているインド人観光客。

背景には、インドの主要都市とを結ぶ直行便の拡充や、ベトナム政府観光局がインド市場を重要し、現地でのプロモーションを積極的に行なっていることなどがあります。

彼らの多くは信仰上の理由からベジタリアンやハラルといった厳格な食の基準を持っているため、安心して食事を楽しめるインド料理店の需要が非常に高い。

つまり、ホーチミンにある多くのインド料理店は、本場の味を知る人々の厳しい舌とニーズに応えるべく、日々切磋琢磨している実力派揃いなのです。

本記事では、ホーチミン市内に複数店舗を展開するインド料理店「Baba’s Kitchen」をご紹介。有名店すぎて、今更説明は不要かも…?

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「Baba’s Kitchen」Bùi Viện店へ

今回訪れるのは、世界中からバックパッカーや観光客が集まる眠らない街・ブイビエン (Bùi Viện) の店舗。ブイビエン、久しぶりに来たな…。

賑やかな通りの中でも目を引く「Baba’s Kitchen」のモダンで明るい赤と白の看板。看板には「NORTH & SOUTH INDIAN FOOD HALAL & VEGETARIAN」の文字が。このお店は北インド料理と南インド料理の両方を提供していますが、後述する通り南インド料理を強みとしているよう。

Baba’s Kitchen」はここブイビエンだけでなく、外国人街のタオディエン (Thảo Điền) や、市内中心部マックティブオイ (Mạc Thị Bưởi) にも支店を持つ実力派。どの店舗も常に多くの客で賑わっています。

…というかこの周辺、インド料理屋が多すぎる。うっかり間違えて別の店に入ってしまってもおかしくないぞ。そのうち、インド人街になるんじゃなかろうか。

お店は南インド料理推し?

繁華街にある店舗ということもあり、お店の中はコンパクト。今回は同僚が事前に予約してくれたこともあり、2階の個室に案内されました。

前述の通り、こちらのお店は北インド料理と南インド料理の両方を扱います。

小麦文化の北部は、主食が「ナン」などのパンで、カレーは生クリームやバターを使った濃厚でクリーミーなものが中心。一方、米文化の南部は、主食がお米や「ドーサ」で、カレーはココナッツミルクやタマリンドを使った、スパイシーで酸味の効いた、サラッとしたスープ状のものが特徴です。

…が、南インド(チェンナイ)出身の同僚曰く、お店のメインは南インド料理ではないか?とのこと。実際、同僚が、インド人スタッフに南インドで使われているタミル語で話しかけたところ会話が成立していました。さらに、アクセントの特徴から「ケララ州辺りの人」というところまで推察。

北インド料理は北インド人が、南インド料理は南インド人が作らないと美味しくならないのだそうです。曰く、スパイスの配合にそれぞれ特徴があるため、他の地方出身者が簡単に真似できるものではないのだとか。

…そう考えると、インド料理はそれぞれの地方出身のインド人シェフにしか作れないということだな。多分、レシピだけを外国人シェフに渡しても上手くいかないんだろうなあ。

「Baba’s Kitchen」のメニュー

「Baba’s Kitchen」のメニューは、もはやインド料理の百科事典。…うん、さっぱり分からん

一応、メニューにはいくつかおすすめ料理の写真も載っているので、そちらも参考にできます。今回は同僚に全部おまかせ。

実食。五感で味わうフルコース

まずは「パパド(豆のせんべい)」と4種のソースが運ばれてきました。パリッと軽いパパドを、まずはそのまま一口。豆の香ばしさが口に広がります。どこかポテトチップスのような風味も感じる。

爽やかな緑の「ミントチャツネ」は、ハーブの香りで後味をスッキリと。茶色い「タマリンドチャツネ」は、干し柿のような濃厚な甘酸っぱさで、一気にアジアンな雰囲気に。

真っ赤な「アチャール(漬物)」は、辛味・酸味・塩気が一体となった複雑な味の爆弾。そしてシャキシャキの玉ねぎピクルスが、良い箸休めになります。

ドリンクは、究極の口直しドリンク「塩ラッシー60,000ドン)」。飲むヨーグルトに塩…?と思うかもしれませんが、甘さがなく、ヨーグルト本来の酸味とコク、そしてキリッとした塩味が、スパイスで満たされた口の中をリセットしてくれるのです。カレーにぴったり。

マトンサモサ95,000ドン)」「チキンサモサ85,000ドン)」。きつね色に揚がった黄金のピラミッドは、外の皮がカリッ、サクッと小気味良い音を立てます。

チキンをいただきました。あっさりながらジューシーで、複雑なスパイスの香りが口いっぱいに広がる。

チキン65150,000ドン)」。南インド・チェンナイ発祥の代表的な一品であり、その名の由来は諸説あるそうですが、一度食べたら忘れられない鮮烈な旨辛さ。カリッと揚げられた衣と、驚くほどジューシーな鶏肉のコントラストがタマランチ。ライムを絞っても◎。

パニールティッカ140,000ドン)」。インドのカッテージチーズをスパイスとヨーグルトでマリネし、タンドール窯で焼き上げた一品。食感は「キュッキュッ」としていて、木綿豆腐か沖縄の島豆腐みたい。ベジタリアン料理なのに満足感たっぷり。

ミックスグリルプラッター450,000ドン)」。チキンタンドール、シークカバブ、ハリヤリカバブ、マライカバブなど、タンドール料理のスターが勢揃い。これ一皿でテーブルが一気に盛り上がること間違い無し。

そして本日のメイン、カレーとパン、そしてビリヤニの饗宴。

  • バターチキンカレー150,000ドン):ベルベットのように滑らかな、濃厚でクリーミーな絶対王者
  • ゴアフィッシュカレー170,000ドン):スパイスと酸味が効いた、南インドの情熱的な魚カレー
  • マラバールフィッシュカレー170,000ドン):ココナッツミルクやタマリンドを使った、フルーティーさのある魚カレー
  • ダルフライ120,000ドン):インドの家庭料理の定番、豆のカレー
  • チキンビリヤニ165,000ドン):インドの炊き込みご飯。プレーンカレーとライタ(ヨーグルト)付き

…いやはや、圧巻の光景です。なお、辛さは一貫して控えめでした。これは注文時に「Less spicy」と伝えていたから。「辛い」と言われるゴアフィッシュカレーですら辛くなかった。

一粒一粒に、スパイスの香りと鶏肉の旨味がしっかりと染み込んだビリヤニ。付け合わせのライタ(ヨーグルト)を混ぜると、爽やかさとコクがプラスされ、味の次元がさらに上昇。これが、アセンション…?

ナンはチャパティなど、インドパンもあれこれと注文しましたが、お気に入りは「パラタ80,000ドン)」。何層にも重なった生地が、サクサク、ハラハラと崩れるデニッシュのような食感。カレーを吸ってもその食感は健在です。

…なお、チーズナンはあまりの人気さゆえ、テーブルから秒で無くなったことをご報告いたします。

食後には「マサラティー(チャイ)」を。1杯分を2杯に分けて提供してもらいましたが、それでも十分な量です。濃厚なミルクティーに、シナモンやジンジャーのスパイスが効いた、温かい一杯。砂糖は別添えなので、甘さの調整が可能なのも嬉しい。食事のフィナーレを見事飾ってくれました。

「Baba’s Kitchen」Bùi Viện店の情報

ホーチミン市内に複数店舗を展開するインド料理店「Baba’s Kitchen」のブイビエン店をご紹介しました。いやはや、噂に違わぬお店でしたね。

お会計は、8人で食べ飲みして約370万ドン。驚きのコストパフォーマンスです。

なお、在住者的には広々としたタオディエンの店舗の方を勧める人が多い印象。今度はそちらも行ってみたい。

お店の名前 Baba’s Kitchen Bùi Viện
住   所 274 Bùi Viện, Bến Thành, Hồ Chí Minh
営 業 時 間 11:00 〜 23:00
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