外国人駐在員のハブであり、韓国人コミュニティの拠点ともなりつつあるホーチミン市のタオディエンエリア。
それにより、韓国人在住者を主なターゲットとした本格志向のレストランが多く存在。つまりはベトナムに居ながらして、韓国各地のグルメを楽しむことだって可能なのです。
今回取り上げるのは、みんな大好きサムギョプサルのお店。在住韓国人からも根強い支持を受ける「미나리 (Minari)」をご紹介します。
「미나리 (Minari)」の場所・外観

やって来たのは、ホーチミンメトロ1号線・アンフー (An Phú) 駅。ショッピングモール「Vincom Mega Mall Thảo Điền」に隣接する駅です(直結とは言っていない)。
ちなみにベトナムメディアによると、アンフー駅をバックに写真を撮ることが若者の間でトレンドだそう。曰く「この景色はベトナム風でありながら、日本風、韓国風、そしてヨーロッパ風、アメリカ風でもある。どんなファッションで写真を撮っても映える」のだとか。つまり…どういうことだ?

お店があるのは、洗練されたカフェやレストランが軒を連ねるメイン通りから一本入った、閑静な住宅街。この隠れ家のようなロケーションが、これから始まる美食体験への期待感を高めてくれます。

こちらが「미나리 (Minari)」。夜の闇に浮かび上がる、モダンでスタイリッシュな外観。温かみのある照明と、屋根のラインを縁取るネオンが目印です。
店名の「ミナリ」は、韓国語で「芹(セリ)」の意。韓国のバズグルメである、セリを使ったサムギョプサル「ミナリサムギョプサル」がホーチミン市でも食べられます。

鮮やかな緑色の丸いロゴにも、豚肉・海鮮と並んでセリが表現されていますね。ロゴの上部にある蓋のような意匠は…あとで正体が分かります。

なお、店内にはキッズスペースを完備。小さなお子様連れでも安心ですね。
「미나리 (Minari)」の内装

それでは入店。「アンニョンハセヨー」の挨拶とともに出迎えられました。
店内は、木材を基調とした清潔感あふれるモダンな空間。ベージュやブラウンで統一されたインテリアが、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
メインフロアは背の高いソファで仕切られたボックス席が中心で、プライベート感がしっかり保たれていますね。2階にも客席があります。

マネージャーらしき男性店員さん(おそらく韓国人?)に日本語で「どうぞ」と案内いただき、1階の個室へ。広々としており、家族や友人との食事会にも最適。子ども用の椅子も用意されています。

テーブルセッティングも秀逸。お店のロゴとテーマカラーの緑で統一されたメニューや箸袋が、お店のこだわりを感じさせる。

水を飲む場合、写真左の湯呑みのような器に注ぐのだそうです。グラスはお酒用だとか(フツーにグラスにペットボトルの水を注いでしまった)。
「미나리 (Minari)」のメニュー


「미나리 (Minari)」のメニューはこちら。お店の二大看板である「韓国焼肉」と「海鮮料理」を軸に、多彩な一品料理が揃います。
韓国焼肉は、熟成サムギョプサルなどの豚肉、そして高級ブランド牛「韓牛(ハヌ)」まで、質の高いお肉が楽しめます。
海鮮料理は「アグチム(アンコウのピリ辛蒸し)」をはじめとした、本格的な海鮮鍋やチム(蒸し料理)が充実。


こちらは一品料理とドリンク。海鮮チヂミやケランチム(茶碗蒸し)といった定番から、〆にぴったりの麺類・ご飯ものまで、幅広いラインナップ。
ドリンクもまた、定番のソジュやマッコリはもちろん、済州島の「ハルラサン」や高級焼酎「ファヨ」など、こだわりの韓国酒が揃っているのも嬉しいポイント。
実食。釜の蓋で焼く本格の味
では実食。今回は「돼지모듬(豚肉盛り合わせ)」をメインに、気になるサイドメニューをいくつか注文しました。

テーブルにずらりと並んだバンチャン(無料のおかず)。いずれのおかずも一切手抜きの無い、ハイクオリティなもの。

無料のおかずにしれーっと混ざる、ヤンニョムケジャン(渡り蟹のヤンニョム漬け)に注目。普通なら高級な単品料理であるはずのこれが、なんとバンチャンに…!お店の心意気を感じます。
店名を冠するミナリ(セリ)の和え物も美味。ジャキジャキ食感の新鮮なセリに、ピリ辛のヤンニョムが絡み、爽やかな香りが鼻に抜けます。これだけでご飯が進みそうだ…。

その他にも、定番のキムチ、ミニチヂミ、コリコリ食感の干し大根など、どれも丁寧に作られており、これだけで一つのコース料理のよう。

熱々のサービスチゲも付属。ちょっぴり辛い…が、うまい!

おビールはサッポロ。キンキンに冷えたグラスで提供してくれるという、日本の居酒屋にも通ずる嬉しい心遣い。

「해물파전(海鮮パジョン)」280,000ドン。言わば海鮮チヂミですが、「チヂミ」は方言なので、韓国の地域によっては通じないこともあることを注意されたし。

チヂミは見るからに具だくさん。外側はカリッと香ばしく、中は卵たっぷりの生地がもちっとしています。そして噛みしめると、旨みがじゅわっと広がる(擬音ばっかり)。

熱々の土鍋で提供される、韓国風の茶碗蒸し「계란찜(ケランチム)」。価格は120,000ドン。ぷっくりと膨れ上がったビジュアルがたまりません。

スプーンを入れると、驚くほどにふわとろ。出汁の優しい旨みが効いた卵は、辛い料理の合間の箸休めにぴったり。調味料で味変しても良し。

そういえば、卓上に韓国の黒胡椒がありました。K-MARKET等でも売られているようですが、胡椒大国のベトナムでわざわざこれを売るということは、やはりベトナムの胡椒とは明らかな違いがあるのだろうか。

そして本日のメインイベント、サムギョプサル。価格は1セットにつき800,000ドン。

ここでは、スタッフが個室の外で、お肉や野菜をすべて焼き上げてから提供してくれます。服や髪に匂いがつく心配は無し。我々はただ、美味しい一口を頬張ることに集中すれば良いのです。

鉄板は、釜の蓋の形をした「솥뚜껑(ソットゥコン)」。新鮮な厚切りサムギョプサルと薄切り肉が、食欲をそそる音を立てて焼かれていきます。

こちらの鉄板では、キムチ(白キムチと呼ばれる、唐辛子を使わないキムチ)、もやし、そして大量のセリを一緒に炒め焼きに。圧巻の光景です。

焼きあがったお肉は、厚切りはカリッとジューシー、薄切りは香ばしく歯切れの良い食感。

焼きキムチや焼きセリ、そして意外な名脇役?の焼きパイナップルと一緒に、サンチュやエゴマの葉で包んでいただきます。

肉の脂の旨味、白キムチの酸味、セリのどこか野生味がありつつも爽やかな香り、パイナップルの甘酸っぱさ、韓国味噌ことサムジャンのコク。これら全てが口の中で一体となり、奥深い味わいを生み出すのです。

「돌솥 알밥(石焼き魚卵ビビンバ)」180,000ドン。

トビコ、たくあん、ネギ、韓国海苔、そして中央の目玉焼き。この彩り豊かなビビンバを、半熟卵を崩しながら豪快に混ぜ合わせます。

…まあ、今回私は手を付けなかったのだけど。味のご想像は皆さまにお任せします。

気がつけば、広々としたテーブルがバンチャンの小皿や大皿料理の数々で埋まっていました。この光景もまた、韓国料理レストランでの醍醐味のひとつ。
まとめ&「미나리 (Minari)」の店舗情報

お会計は、11人(うち幼児1人・小学生1人)で約350万ドン(税込)。アルコールをもっと注文していたら金額が跳ね上がっていたかもしれませんが、今回は思った以上に安く済みました。
シェアが前提であることが多い韓国料理は、やはり人数を集めてなんぼですね。この会を企画・お店の予約をしてくれた同僚には感謝の気持ちでいっぱいです。誠にカムサハムニダ。