ベトナムで大きな存在感を放つ韓国コミュニティ。ベトナムに居住する韓国人の数は20万人以上にも上ると言われており、ここホーチミン市でも7区やビンタイン区(Vinhomes周辺)、旧2区のエリアを中心にコミュニティが存在します。
となると期待してしまうのは、韓国人在住者を主なターゲットとした、本格志向の美味しい韓国料理レストランの存在。日本人街にあるような韓国料理店とは異なる「ガチ韓国」を求め、トゥードゥック市(旧2区)のアンフー地域まで行ってきましたよ。
本記事では、ほろほろ豚背骨肉の薬膳鍋「カムジャタン」や、魚卵と魚の内臓の蒸し物「アルゴニチム」などのガチ韓国料理を楽しめるレストラン「오! 감자탕(オー!カムジャタン)」をご紹介します。
「오! 감자탕 (Oh! Gamjatang)」の場所・雰囲気
やって来たのは、トゥードゥック市のアンフー (An Phú) エリア(旧・ホーチミン市2区)。ハイウェイの南、ちょうど「Cantavil Premier」や「Estella」といった高層マンションが立ち並ぶすぐ近くなのですが、にもかかわらず道路は未舗装という有様。ホーチミン市近郊屈指のおしゃれエリアと言えど、ちょっと大通りから外れたらこんなもんよ…。
お店の外観はこちら。外から見える店内は薄暗く、営業しているのかどうか不安になりますが、臆せず足を踏み入れましょう。
看板を見て、本当にこの店で合っているのかどうかチェック…って、読めない。「オー!カムジャタン」と読むようです。
お店の内装。韓国料理屋らしく、座敷の席なんかもありますよ。(南国なので、流石に床暖房は無い)
「오! 감자탕 (Oh! Gamjatang)」のメニュー
メニューは表・裏あり、表は上記の画像。英語どころかベトナム語表記さえ無く、溢れるガチ感。とはいえ、料理の写真が載っていることが救いか。
メニューの裏面。サイドメニューが中心かな?
ドリンクはメニューの下の方に記載されており、眞露(130,000ドン)やマッコリ(160,000ドン)といった韓国酒の他、ビールはHaineken(50,000ドン)やTiger(40,000ドン)、サッポロ生(60,000ドン)があります。
ソフトドリンクはコーラと炭酸水(20,000ドン)しかありませんが、卓上には無料の水があります。
韓国人の同僚がメニューの説明をしてくれた後、店員のベトナム人アジュンマといくつかの答酬を交わした上で注文をしてくれました。おお、助かる助かる…。ちなみに同僚曰く、店員さんの韓国語レベルは「割と高かった」とのこと。
眞露と生ビールで乾杯。ちなみにコーラは「コカコーラゼロ」しか無く、残念…(ゼロカロリー飲料苦手)。
そうそう、韓国料理屋ということで卓上にはパンチャン(無料のおかず)が。野菜用のコチュジャンが、辛すぎずコクのある絶妙な味わいで美味しかった…。既製品ならどこで買えるのか教えてほしい。
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カムジャタン(감자탕)
まずやって来たのは、看板メニューであろうと思われる「カムジャタン(감자탕)」。3サイズあるうちの真ん中のサイズで、価格は650,000ドン。
「カムジャタン」とは、豚の背骨肉を、じゃがいも・葉野菜などと一緒に、薬味が入ったピリ辛スープで煮込んだ韓国の伝統的な鍋料理。「カムジャ」は「じゃがいも」の意ですが、具材を見ても分かるとおり、メインはホロホロに煮込まれた豚肉です。ちなみに今回は7人で訪れたのですが、中サイズでも全員に十分行き渡るくらいの背骨肉が入っていましたよ。
豚肉の骨を入れるためと思われる大きな器とともに、透明感のある褐色のソースが提供されました。同僚曰く、こちらは「辛子ソース」であるとのことで、少し舐めてみると酸味の中にもピリッとした後味が広がるソースでした。こってりした鍋料理との相性が良い。
野菜を少しずつ崩しながら煮込んでいると、大量の粉末が現れました。「まさか胡椒!?」と思ったのですが、そうではなく荏胡麻の粉末です。スープに香ばしさとさらなる深みを与えてくれますね。
あっという間に煮立ちましたので、付属のトングとお玉で取り分けていきましょう。
背骨肉、硬いんじゃないかと思っていましたが、実際は柔らか…!長時間煮込んでいるからか、箸でほぐせるほどにほろほろの食感です。スープも、真っ赤なのである程度の辛さを覚悟していたのですが、確かにじんわりと身体の芯が熱くなる感覚はありつつも、思っていたよりも優しい味で、スープに溶けだした豚肉の旨味や野菜の甘みさえ楽しむ余裕があります。
スープがしみ込んだじゃがいもだって、ねっとりほくほくで美味ですよ。
薬膳スープにたっぷりの豚肉、ということで精がつきそうな一品。この日、風邪で1名欠席だったのですが、無理してでも来てこれを食べたら元気出たのでは?って、胃が荒れるか…
トトリムク(도토리묵)
お次は「トトリムク(도토리묵)」。価格は220,000ドン。
「トトリムク」とは、どんぐりのでんぷんを固めたゼリー状の食品。耕地が乏しい一方で木の実が豊富な山間部で生まれた食べ物であるとのことで、それを野菜と一緒に和えたものがこちらの一品です。
どんぐり、日本でも食用にする例は一応あるものの(子どものころに『どんぐりだんご』という絵本を読んだ気がする)、実際に食べるのはこれが初めて。
でんぷんを抽出して作られるものなので、特にどんぐり特有の味がするというわけではなく、寒天などと同様に食感を楽しむためのものですかね。ぷりぷり、もちもちした食感が癖になります。見た目は真っ赤ですが、思ったよりも辛くなく、むしろ甘めの味付け。
カロリーが低い一方で、腹持ちが良さそうな食材なのでダイエットにも向いていそう。どんぐりの下処理から行うのは大変ですが、トトリムク用の粉末も売られているようですし、それを使えば簡単に作れますね。
ヘムルパジョン(해물부추전)
「ヘムルパジョン(해물부추전)」200,000ドン。食べかけなのではなく、2皿に分けて提供してもらいました。葱とシーフードがたっぷり入った、言わば海鮮チヂミですね。ちなみに「チヂミ」は方言なので、韓国の地域によっては通じないこともあるらしい。
付けダレ等は無いので、そのままいただきます(先ほどの辛子ソースに付けて食べればよかったのだろうか)。さくっ、ふわっとした食感が良いですね。海鮮もゴロゴロ入っておる…
しれーっと唐辛子が入っているので、辛いものが苦手な人は注意。
クンマンドゥ(군만두)
こちらは韓国式焼餃子「クンマンドゥ(군만두)」100,000ドン。「クン」=焼く、「マンドゥ」=饅頭、の意です。マンドゥは冷凍食品としてベトナムでも売られていますが、フライパンで揚げ焼きにして食べると美味しいんだ…。
タネは五目的な感じで、ひき肉以外にも色々入っています。日本人が慣れ親しんだ焼餃子よりも大きめなので、食べ応えがありますね。
アルゴニチム(알곤이찜)
韓国人の同僚からメニューの説明を聞いて、興味津々で注文したのがこちらの「アルゴニチム(알곤이찜)」。大・小サイズがあり、小サイズの方を注文したのですがそれでもかなりの量。価格は550,000ドンです。
一見麺料理か何かに見えますが、これ、魚卵と魚のワタ(内臓)をたっぷりの野菜と一緒に蒸した料理なんです。ガチ韓国、ここに極まれりだな…
なんの魚卵か聞くのを忘れてしまったのですが、見た感じタラコですかね。サイズがでかい!
ぷちぷちの魚卵、弾力がありくにくにとしたワタ、しゃきしゃきのもやし…、とにかくいろんな食感があって楽しい。私、尿酸値が7.0mg/dL近いのでこんなん食べたら即痛風になってしまいそうですが、今日は良いんだよ!!
味付けはじんわり辛い感じ。最初は大したことのないように思えても、後から辛味が広がります。少し冷ましてから食べると辛さがマシになるかも。
あと、韮みたいな緑の野菜が入っていたのですが、食べてみると日本の春菊のような、ちょっと苦みのある独特の野菜だった。好きな味だったのですが名前が分からず…
ラミョンサリ(라면사리)
カムジャタンのシメとして、韓国のインスタント麺「ラミョンサリ(라면사리)」を投入。「ラミョン」=ラーメン、「サリ」=鍋の追加食材、の意。価格は30,000ドンです。もしスープが減っている場合は継ぎ足してくれます。
韓国のインスタント麺らしい、太麺でコシの強いちぢれ麵。鍋の〆用に使われる麺であるとのことで、伸びにくくもっちりとした食感となっています。食べ応えあり、お腹いっぱいになりますね。
まとめ&「오! 감자탕 (Oh! Gamjatang)」の店舗情報
7人で食べて飲んで、お会計は227万ドン(≒14,115円)。単純に割ってしまうと、一人当たり32万ドンちょっと(≒2,000円)ですね。一品一品の量が多いためにメニューの単価が高めだったので、総額がどうなるかと思いましたが意外とお安く済んでしまいました。
ポーションが多く少人数ではあまり色々食べられない&メニューは韓国語しかなく日本人に馴染みのない料理も多い、と二重の意味でハードルの高い店ですが、それでも是非行ってみてほしいお店です。この記事を読んだあなたなら大丈夫!…ってブログの内容を過信しすぎだろ(セルフツッコミ)。
あと、一つ注意事項があるとしたら、白い服は着て行かない方がいいです(手遅れ)。