ベトナム・ホーチミン市で急拡大中の新興カフェチェーン「Every Half Coffee Roasters」。
コンセプトの核となるのは、「こだわり」を持つ層に向けた高品質なスペシャルティコーヒー。白を基調としたミニマルなデザインの店舗で、ライフスタイルとしてのコーヒー体験を提供しています。
これまでは1区や3区など、ホーチミン市内中心部への出店が中心でしたが、この度、タンソンニャット空港にも近いゴーバップ区の目抜き通りに新店舗がオープン。早速行って来ました。
本記事では、ベトナムのスペシャルティコーヒーチェーン「Every Half Coffee Roasters」ならびに、ゴーバップ区・Phan Văn Trị店をご紹介します。
「Every Half Coffee Roasters」について

まずは、このカフェチェーンそのもののご紹介。「Every Half Coffee Roasters」は2021年の設立ながら、すでにホーチミン市内に10店舗以上を展開し、急速に支持を広げています。
コーヒーの価格は1杯5万〜7万5000ドン(約300円〜450円)と、スペシャルティコーヒーとしては比較的手頃に設定されているのも特徴です。

Every Halfは、ベトナムのカフェチェーン「The Coffee House」の元共同設立者であるヴォー・ズイ・フー氏と、同チェーンで焙煎士を務めたチャン・レ・ミン・チュック氏によって設立。
さらに、「The Coffee House」をゼロから成長させたカリスマ創業者グエン・ハイ・ニン氏が、同社を退任後、Every Halfのアドバイザーとして参画しています。

「The Coffee House」はここ数年で急速に勢いを失っており、店舗数は大きく減少。昨年、地場系外食チェーンを手がける「Golden Gate」に買収されました。
以前、The Coffee Houseの高級業態がいまいち振るわなかったということもあり、その「こだわり」のコンセプトを、より洗練された形で実現しようとしたのがEvery Half、ということなのでしょう。

今後のビジョンとして、ベトナム産コーヒー豆の使用比率を2024年時点の3割から4〜5割にまで引き上げ、高品質なベトナム産コーヒーを世界市場へ輸出することを目標に掲げています。
また、気候変動に適応可能な新品種の栽培を農家と共同で行うなど、持続可能なコーヒー生産にも力を入れており、単なるカフェチェーンに留まらない事業展開を目指しているようです。

なお、ハイ・ニン氏はサービスアパートメントチェーン「M Village」のオーナーでもあり、その関係から、Every Halfの一部の店舗はM Villageの敷地内に出店しています。
Phan Văn Trị店の場所・外観

さて、今回ご紹介する新店舗があるのは、ゴーバップ区を南北に貫く主要な通り・ファンヴァンチ (Phan Văn Trị) 通り。市内では5区などにも同名の通りがあるので、混同しないよう注意。

中心部に近いベッドタウンとして人気のあるゴーバップ区。
この辺りは韓国系大型スーパー「eMart」をはじめとして、レストラン、ファッション、電化製品店などが集まり、昼夜を問わず多くの人で賑わっています。高級ヴィラ・タウンハウス群から成る住宅地プロジェクト「Cityland Garden Hills」もすぐそばに展開。

そんな賑やかな通りの一角、「KHU PHỐ VĂN HÓA(文化通り)」と書かれた青いゲートのすぐ隣という、分かりやすい場所にカフェはありました。
様々なデザインの建物が並ぶ中でも、真っ白な外観は目を引きます。ブランドのコンセプトであるミニマリズムを体現した、非常に洗練されたデザイン。

特に印象的なのが、ファサードに多用されているパンチングメタル。
これが建物全体に軽やかでモダンな印象を与え、日差しを受ける角度によって様々な表情を見せてくれます。ガラス面が大きく取られた1階は、外からでも店内の様子が伺え、開放的で入りやすい雰囲気。
Phan Văn Trị店の内装・雰囲気

お店に入ると、まず温かみのある木目調のカウンターが出迎えてくれました。奥に見える、壁面の深いブルーが空間のアクセントになっています。

通りに面した半屋外のテラス席もまた魅力。天井のファンが心地よい風を送る開放的な空間で、大通りの雰囲気を感じながらリラックスできること間違いなし。スタイリッシュなステンレス製の椅子で統一されていることも特徴。
ただ雨季の真っ只中、日中だとちょっとツラそうなので、涼しい朝の時間帯に風を感じつつ過ごしたいものです。

1階の奥には、グループで利用できそうな大きなテーブル席も。

2階に上がると、そこは大きな窓からたっぷりと自然光が差し込む、明るく広々とした空間。通常のテーブル席からゆったりとくつろげるソファ席まで、様々なタイプの座席が用意されています。ソファ席を利用したのですが、背もたれのクッションが大変快適でございました。

お水はセルフサービス。ストローもこちらから取ります。

3階へと続く階段からはルーフトップに出ることが出来ます…が、今のところ屋上には何も無し。将来的にはここにも客席を設置するのだと思われます。
「Every Half Coffee Roasters」のメニュー
ドリンクメニューの多彩さもまた、Every Half Coffee Roastersの魅力のひとつ。

メニューの中心は、やはりこだわりのコーヒー。特筆すべきは、Every Halfの大きな特徴である「浅煎り(Light Roasted)」の豆を使ったエスプレッソメニュー。もちろん、ベトナム産ファインロブスタを使った伝統的なベトナムコーヒーもラインナップされています。
その他、フルーツと組み合わせた斬新な水出しコーヒー(コールドブリュー)や、大流行中の抹茶、その他ノンカフェインや季節のドリンクなどなど、充実のメニュー。メニュー中央下にある「メロンコレクション」がめちゃくちゃ気になるな…。

勿論、ペイストリーも扱います。ガラスケースには美味しそうなクロワッサンやエッグタルトなどのペストリーが並び、コーヒーを待つ時間も楽しませてくれそう。
と、ここで店員さんから、朝限定「ベトナムコーヒー+ペイストリー」のお得コンボのご提案。じゃあー、まあそれにしますかね。メロンコレクションはまた次回…。
朝限定のお得なコンボを実食

「Cà phê sữa(ミルクコーヒー)」50,000ドンと、「Pain aux raisins(パン・オ・レザン)」65,000ドン。ですが先日の朝限定コンボにより、お会計は89,000ドンでした。お得!

表面がきめ細かい泡で覆われた美しい一杯。今回は甘さ控えめの「ít đường」でお願いしました。
…で、すみません。私、普段コーヒーを飲まないため、コーヒーの味については一切コメント出来ません。さすがに「苦い」とか「酸味がある」くらいは何となく分かるのだけど。とりあえず、飲みやすい味だったことは確かだ。

コーヒーのお供に選んだのはパン・オ・レザン。リベイクしてくれたおかげで、ナイフを入れると「サクッ」という小気味良い感触。外側のデニッシュ生地はハラハラと崩れるほど軽やかで繊細。

一方で、生地の内側はしっとり。甘さ控えめで上品なカスタードクリームと、噛むほどに甘酸っぱさが弾けるジューシーなレーズンが絶妙。
ビターなカフェスアと、バターリッチで上品な甘さのパン・オ・レザンの組み合わせは、一週間頑張ったあとの週末の朝にぴったりなご褒美でしたのよ。

また、オープン記念ということでプレゼントをもらいました。同僚にあげよう(私はコーヒー飲まないので)。

私が訪れたのは朝8時だったのですが、10時を回る頃にはこの混雑ぶり。ほんと、みんなどうやって新しくオープンするカフェの情報を得ているのだろうか…。
まとめ&Phan Văn Trị店の店舗情報

ゴーバップ区に新しくオープンしたカフェ「Every Half Coffee Roasters – Phan Văn Trị」をご紹介しました。
これからも勢力を拡げていきそうな「Every Half Coffee Roasters」。私は今回初体験でしたが、比較的手の届きやすい価格帯でありながらも大衆路線に走ることなく洗練された雰囲気を保っており、まあ人気出るよなーって感じ。「The Coffee House」での失敗を活かしているのですかね。
ライバルとしては、同価格帯の「KATINAT」や「Phê La」あたりになるでしょうか。今後もホーチミン市のカフェシーンから目が離せません。