ホーチミン市1区、旅行者・在住者双方にとってお馴染みの「タンディン市場 (Chợ Tân Định)」。
そこから徒歩圏内の距離に、巨大なアート作品の中に迷い込んだかのような独創的な空間で、こだわりのスペシャルティコーヒーや創作抹茶ドリンクが楽しめるカフェがオープン。
本記事では、ホーチミン市3区に誕生した新たなカフェ「Nhà Ba Teria」をご紹介します。
「Nhà Ba Teria」の場所・外観

前述のタンディン市場から南へと歩を進め、やって来たのはチャンクオックトアン (Trần Quốc Toản) 通りの一角。
この辺り、ホーチミン市の中心部に近いながらもローカルな雰囲気が漂い、路地裏には新進気鋭の隠れ家レストランが店舗を構えるなど、今注目のエリア(個人の感想です)。

「Nhà Ba Teria」は、こちらの路地(ヘム)に位置しますよ。

周囲の建物とは明らかに違う、異質なオーラを放つ建築物が突如として姿を現します。こちらが「Nhà Ba Teria」。

滑らかな曲線が目を引く建物。テラコッタや赤土を彷彿とさせる、温かみのあるオレンジ色の外壁。隣接するビルやローカルな住宅との対比が、その存在感を一層際立たせています。なんだこれは…バーバパパのおうちかな?(ピンとこない方は適宜ググってください)
ちなみにこちらの「Nhà Ba Teria」、もともとは1区・リートゥチョン (Lý Tự Trọng) 通りにある古アパートに入居していたカフェ「in nờ corner」が名前を変えて移転オープンしたお店のようです。「ビンコムセンター・ドンコイ」の向かいにある古アパート、と言えば分かる人も居るはず。

今回、念には念を入れて、オープン時間である8時半よりも前に訪れました。店内の写真、いっぱい撮るぞ〜。
「Nhà Ba Teria」の内装・雰囲気

…あれ?開店時間前なのに、店内はほぼ満席の様相を見せます。どういうことなの…まあ良いや、切り替えていく。

内装も外観と同じく、オレンジ色の壁に包まれています。壁は洞窟のように滑らかな曲線を描いており、アーチ状にくり抜かれた客席は、まるで自分だけの隠れ家にいるような、心地よいプライベート感に浸ることができる…はずでした。まさか朝っぱらからこんなに混雑しているとは。

建物の中心は大きな吹き抜けになっています。見上げれば空が望め、上から降り注ぐやわらかな自然光が、店内の陰影を豊かに変えていく。
コンクリート打ちっぱなしの床、ダークブラウンの木材を使った柱や梁、そして効果的に配置された観葉植物の緑。これらの要素が、土着的な温かみとモダンな洗練さを両立させています。

空間の中央にはブランコが。客がいなかったら私だって乗ってたと思う。
ちなみに、客席は1フロアのみ。如何にも何かがありそうな、意味ありげな上階へは行くことができません。

一応、上へと上がれそうな階段があるのですが、封鎖されています。多分、ストーリーが進行したら通れるようになるんだと思います(ゲーム脳)。

まあ、こちらはオープン間もないカフェであり、地下(駐輪場?)なんかはバリバリに工事を続けているので、上階もまだ内装を施工している最中なのかもしれない。上のフロア、どんな構造になっているのか気になるな〜。
「Nhà Ba Teria」のメニュー

入店すると、番号とバーコードが記されたブロックを手渡されます。こちらのバーコードを読み取って、スマホで注文。そのため、この手のカフェでは珍しく後会計となります。




日本の宇治産抹茶を使った創作ドリンクや、ベトナム産の希少な豆を使ったスペシャルティコーヒーがメニューに並びます。価格帯は60,000〜85,000ドン程度であり、日本産の抹茶を扱うカフェとしては平均的。もはやこのくらいの価格では驚かないようになってきました。
扱うのはドリンクのみであり、ペイストリーやパティスリーはメニューに無い模様。なんとなくクロワッサンやケーキをメニューに加えるくらいなら、いっそ取り扱わない方針…ってことかな。

抹茶は「セレモニアル・グレード」を謳うものを使用。まあ、「セレモニアル・グレード」が具体的に何なのかの業界標準は無いそうですが…。とりあえず、抹茶味のドリンクやお菓子に使われる食品加工用の抹茶ではなく、茶道などにも使用される飲用の抹茶だよ、ということですかね。
創作抹茶ドリンクをいただく

私が選んだのは、名前とビジュアルに惹かれた「Summer-cha(85,000ドン)」。メニューの説明によると、抹茶、パイナップルジュース、そしてスパークリングウォーターを合わせたドリンクとのこと。
グラスの下層は太陽のようなパイナップルジュースの黄色、上層は深緑の抹茶。

抹茶は苦さが控えめである一方、ほどよい旨味が感じられるもの。「セレモニアル・グレード」は伊達じゃなかった。
で、抹茶とパイナップルの相性ですが…合います。苦味や酸味が喧嘩することなく、とてもバランスのとれた、さっぱりと甘い味わい。
それもそのはず、抹茶に含まれる苦味・渋味・旨味・甘味に酸味が組み合わさると、総合的に整った香り・味となるのです。南国ならではの新感覚ドリンクであり、オススメ。
所感&「Nhà Ba Teria」の店舗情報

ホーチミン市3区のカフェ「Nhà Ba Teria」をご紹介しました。
オープンして間もないカフェであり、現在はソフトオープン中の可能性もあります。今後は客席エリアが拡充されたり、メニューの追加などがあるやもしれません。
特記事項として、「少人数向きの、静かな路地裏隠れ家カフェ」のようなイメージは抱かないほうが良いです。混雑している上に、思いの外家族連れが多く(特に午前中)、結構賑やか。
椅子は背の低い木製のもので、コンセントも周囲に見当たらない。長時間滞在して作業するためのカフェではなく、独特の建築が醸し出す雰囲気とドリンクを1〜2時間楽しむカフェ、って感じかな。
まあー、昨今ベトナムではドリンク1杯でカフェに長時間居座る客について論争が起きていますし、過度に快適な滞在を提供する必要は無いと個人的に思います、ハイ。

一点、解せない点としては、男子トイレが外から丸見えであることですかね…。客席から身を乗り出したら覗けてまうで!?これはもう、開き直って店内中に音(何とは言いませんが)を全力で響かせるしかないな…?