説明不要!みんな大好きイタリアンレストランチェーン「サイゼリヤ」が、2025年5月8日、ベトナム1号店をグランドオープンしました。中国・台湾・シンガポールに次ぐ海外店舗となります。
サイゼリヤはこれに先立つ2024年8月、ベトナムに100%出資子会社を設立することが報じられるなど、着々と布石を打っていましたが、ついに…!といったところでしょうか。
サイゼリヤが1号店をオープンしたのは、ベトナム南部に位置する同国最大の商業都市・ホーチミン市。
しかし、そのロケーションが、中心部の1区でも外国人が集まる旧2区でもなく、同市直轄トゥードゥック市(旧・トゥードゥック区)のショッピングモール「Gigamall(ギガモール)」というのだから驚き。確かに大きなショッピングモールではありますが、在住者としては「何でそんなところに…?」と疑問を抱くようなエリアです。
その謎に迫るべく…行ってきましたよ!サイゼリヤ・ベトナム1号店に。
本記事では、ベトナムに進出した「サイゼリヤ」1号店の場所・雰囲気・メニュー等をご紹介します。
今後、オペレーションが成熟していくにつれて変化が生じると思われるので、あくまでグランドオープン直後の参考情報として見てもらえると幸いです。
「サイゼリヤ」1号店の場所

やって来ました、ホーチミン市直轄トゥードゥック市・ファムヴァンドン (Phạm Văn Đồng) 通り。同市の主要な幹線道路のひとつであり、タンソンニャット国際空港へのアクセス路としても重要な役割を果たします。

そしてこちらが、サイゼリヤが1号店をオープンした「Gigamall」!2019年開業の比較的新しいモールであり、地下2階・地上7階建ての、近隣では群を抜いて大きな商業施設です。
なお、「Vincom Megamall」と混同しないように注意。「メガ」じゃなくて「ギガ」ですからね、1000倍ですぜ1000倍。

フロアガイドにも…ばっちり、「サイゼリヤ」の看板があります。

立地的には、観光客が必ず訪れるであろう、ホーチミン市1区の中心地から北に8km程度の距離にあります。車やバイクであれば、混雑具合にもよりますが30分弱程度を要します。

さて、サイゼリヤは4階にオープンしたことを聞き及んでおります。「CHEESE COFFEE」と韓国料理レストランの奥に…。

ありました。フロアの端ですね。
「サイゼリヤ」1号店の雰囲気

店内はこんな感じ。平日夜8時前の訪問だったため、グランドオープン直後ではあったものの、さほど混雑しておらず。
一方、店員さんの数は沢山。日本からもがっつり応援に来られているようでした。日本人から指示を受けた日本語話者のベトナム人スタッフが、他のスタッフを取りまとめているようですね。

客席はボックス席中心で、清く正しいファミレス的内装。すごく安心する。
アースカラーを基調とした店内は、決して簡素・質素なものではないのですが、どこかてらいのない感じというか、素朴さを覚える雰囲気。

だけど、その肩肘の張らなさこそがサイゼリヤ。ベトナムに進出するにあたって高級路線に切り替えるのかと思いましたが、そんなことはありませんでした。ベトナムでも「今日サイゼ行こうよ!」と、気軽に言える存在です。

おしぼり、結構分厚くて質が良さそうなものなのですが、無料。これは嬉しいですね。

カトラリーの洗浄は…甘いかも。今後の改善に期待です。

ベトナムらしく、卓上にはローカルブランドのチリソースが。日本のサイゼリヤのように、オリーブオイルや塩胡椒といった無料調味料は有るのだろうか?
「サイゼリヤ」ベトナム版メニュー

それではベトナムの「サイゼリヤ」のメニュー。一気に貼り付けますので、適宜クリック or タップして、拡大してご覧ください。








さて、「アラビアータがある!」「生ハムが無い!」「ほうれん草のソテーが無い!」など、悲喜こもごもかと思いますが、驚くべきはその価格。4万〜7万ドン(≒223〜391円)がボリュームゾーンであり、高いものでもグリル料理の10万ドンに収まっているのです。
代表的と思われるメニューの価格を抜粋すると、以下の通り。
- ミラノ風ドリア:6万ドン(≒335円)
- エスカルゴのオーブン焼き:4万ドン(≒223円)
- ポップコーンシュリンプ:4万ドン(≒223円)
- マルゲリータピザ:6万ドン(≒335円)
- ペペロンチーノ:5万ドン(≒279円)
- 辛味チキン(2ピース):3万ドン(≒167円)
あえて中心地を外し、ローカルな地域のショッピングモールへの出店、そしてこの価格設定。間違いなくベトナムの中間層をメイン顧客に見据えての戦略でしょう。

ドリンクバーもあります。価格は30,000ドン(≒167円)。ドリンクバー自体はベトナムでも食べ放題の店等で目にする機会があるのですが、ホシザキ製の製氷機(コップを押し当てると「ガラガラ〜」と氷が出てくるやつ)は初めて見た!
実食。気軽にイタリアンを楽しもう

「Cà chua & phô mai(カプレーゼ)」40,000ドン(≒223円)。

ベトナムではなかなか口にする機会のないモッツァレラチーズのミルキーさを味わえる一品。…が、一つ言いたいこととしては、オリーブオイル、かけ忘れた?あと、全くの無味だったので、卓上に塩が欲しいところです。

「Mì Ý mực(イカスミパスタ)」60,000ドン(≒335円)。日本のサイゼリヤで近いメニューで言うと、「イカの墨入りセピアソース」ですかね。
日本のサイゼリヤでは「お口周りが汚れないセピア色のソース」を謳いますが、こちらは漆黒とまではいかずとも、割としっかり黒いイカスミソース。

イカスミのコクと旨味が感じられつつ、クセのないあっさりとした味わい。万人受けする味にまとまっている魚介系パスタ…という感じです。

あと、麺がブヨブヨでは無い!アルデンテではないにしろ、芯が程よく残った、小気味よくちゅるちゅると食べ進められる仕上がりでした。

おかわりだ。「Tiramisu」40,000ドン(≒223円)。
マスカルポーネクリームとコーヒー味のスポンジ、そして底はビスケット生地から成り、トッピングとしてココアパウダーがたっぷりとかかっています。おそらく、日本の「ティラミスクラシコ」と同じ…かな?

日本人が思うティラミスの王道でしょう。甘みが強く苦さは控えめで食べやすい。しっとり食感ではあるものの、べちゃべちゃと水っぽくも無い。4万ドンで安定したクオリティのティラミスが食べられるの、良いですわね。

3品食べて、ドリンクバーも付け、VAT(付加価値税)込みで183,600ドン(≒1,025円)でした。
再訪。ミラノ風ドリアやマルゲリータはこんな感じ

また来ちゃった(※翌日です)♡
今回は仲良しのTさんも道連れ…もとい取材同行いただきました。奇しくも、Tさんとは1年半前に某日系イタリアンチェーンに行っております。

「Soup Minestrone(ミネストローネ)」40,000ドン(≒233円)。

具材は細かくカットされた玉ねぎやきのこ類が中心。日本のサイゼリヤの「田舎風ミネストローネ」には、じゃがいもや豆なども入っているようですが、それらは特に見当たらず。
しかしながら、トマトのコクの中にそれぞれの具材の旨味が感じられる一品で良いです。具材が柔らかく細かいので、口当たりが良いのもポイント。

同行者注文の「Bông cải xanh & nấm xào(ブロッコリーとマッシュルームのソテー)」40,000ドン。日本に類似のメニューは無さそうです。
で、一口貰ったのですが、完全なる無味でした。これはさすがに、塩胡椒のかけ忘れじゃな…?

ある意味本命!?同行者注文の「Cơm đút lò kiểu Milan & rau củ chua ngọt kiểu Ý(ミラノ風ドリア)」60,000ドン(≒335円)。
「ドリア」が和製外国語であることは周知の事実ですが、これをベトナム語にすると「Cơm đút lò」、つまり「ベイクド飯」。そのまんまだ。

ドリアをはじめとするメニューに使用されているホワイトソースは、オーストラリアにある自社工場で製造されているもの。つまり、味の根幹は日本で提供されているものと変わりないということですかね。

「Pizza Margherita(マルゲリータピザ)」60,000ドン。カットされない状態で提供されるところ含め、日本のサイゼリヤで食べたものと全く同じです。

「プレミアムモッツァレラチーズ」の使用を謳うこちらのマルゲリータピザ。ミルキーでコクのあるチーズの味わいがガツンとやって来ます。

生地は、クリスピーで香ばしさがありつつも、耳のあたりはもっちり。

あとはドリンクバーも注文して、2人で税込280,800ドン(≒1,568円)でございましたよ。
開店祝いを眺めてニヤニヤする
ところで、お店のグランドオープン…それもベトナム1号店ということもあり、店頭には沢山のお花が。

BIDV(ベトナム投資開発銀行)より。銀行からもお花が来るのだな。融資元かな?

SUNTORY PEPSICO。サントリー(日本)とペプシコ(アメリカ)の合弁会社です。ドリンクバーで同社のドリンクを扱っている関係からでしょう。そしてお花をよく見ると「S」の形となっています。これは「サントリー」の「S」なのか、「サイゼリヤ」の「S」なのか、議論の余地がありますね…(※無い)。

MATSUYA FOODS VN。「松屋フーズベトナム」…ということは、あの「松屋」の運営会社でしょう。一見2社間に関係は無さそうだけど、「ベトナム新参者同士、これから頑張っていきましょう」みたいなメッセージだとしたらアツい。

日本語での祝辞が目を引く「HTH国際株式会社」と「アジアンG事業協同組合」。似たメッセージ内容ながら別会社なのですが、それぞれ実習生の送り出し機関・受け入れ機関らしく、何らかの関係があるのかもしれない。

「MUFG BANK, LTD.」。へえ、三菱UFJ銀行からもお花が…と思って眺めていると、「JUNICHI HANZAWA (PRESIDENT & CEO)」の文字。まさかの頭取名義による開店祝いであり、この日一番びっくりした。「リアル半沢直樹」として話題になった方ですね。